デジタルアーキテクチャ・デザインセンター
公開日:2020年10月21日
デジタルアーキテクチャ・デザインセンター
Society5.0の進展に伴い、多様なステークホルダーがリアルタイムかつ複合的に連携し複雑化したシステムが、生活や産業の基盤を形成しつつあります。
こうした中で、Society5.0、つまり、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の両方を解決する、人間を中心とした社会を実現するにあたり、特にサイバー・フィジカルの融合領域を中心に、大きく二つの課題が顕在化しています。
一つは、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアや制度も含む社会システムや産業構造の全体について、それが果たす役割を機能の観点から見直す中で、その要素の位置づけや要素間の役割分担や関係性を適切に明確化すること等を通じ、全体としての総合的な信頼性を安定的に確保すべきことです。
もう一つは、海外の巨大IT企業等による独占・寡占が繰り返し進むなど、変化が激しく将来の不透明性が高まる中で、日本が自律的にイノベーションを起こす基盤を形成すべきことです。
上述の課題に対し、これまでは産学官が縦割りでばらばらに対応していました。したがって、局所的な文脈での議論にとどまり、社会システムや産業構造全体として横串の対応に限界がありました。
特に、これらシステム全体の構造自体やその運用の仕組み等に関する複雑性、不透明性が増し、異なる分野や文化へも影響範囲が拡大し、デジタル技術の革新をはじめとする変化のスピードが高まる中で、システム全体を把握した設計を迅速に行う必要性が増大しています。国際的にも、こうした動きに対し、官民が協力し国を挙げて対応する事例が増加しつつあります。
システム全体を把握し全体の最適化を目的としたアーキテクチャの設計を進めていくためには、政府がSociety5.0の実現のために重要分野を定めるとともに、その方針に基づいて産学官の卓抜した専門性を有する人材を結集し、その社会実装を後押しするため産学官に働きかけ、フィードバックを元に常にアーキテクチャを改善していくための場が必要不可欠となっています。
またこの議論は、法とアーキテクチャの再設計の在り方も併せて考慮する必要があるため、イノベーションの促進と社会的価値の実現を両立するための新たなガバナンスの在り方に関する検討を踏まえて進めることが求められています。
このようにサイバーとフィジカルの融合が進む中で、これまでソフトウェアの信頼性やサイバーセキュリティを中心にミッションを抱えていた独立行政法人情報処理推進機構(以下、「IPA」という。)に、こうしたシステム全体のアーキテクチャを設計・提案するための組織として、デジタルアーキテクチャ・デザインセンターが設立されました。
DADCは、新たな社会システムの構築において総合的な信頼性等の確保と日本の産業競争力の強化を図る政府方針の下で以下に取り組み、Society 5.0時代の新たなデジタル市場基盤の構築において中心的な役割を果たします。
Society5.0を形成する基盤となるシステム全体のアーキテクチャを産官学の連携の下で設計・提案するとともに、その設計のための方法論を開発・確立する
検討において見いだされる制度的・技術的な課題等について、産官学の関係機関等と連携、または必要な働きかけを行うことにより、制度の見直しや各種標準の整備、更なる研究開発等につなげていく
アーキテクチャ設計を担う中核的な人材を実践を通じて育成する
上記の取組みを国際的な協力・連携の下で行うことにより、世界の課題解決にも貢献し、人を中心とした自由で信頼ある国際社会の発展に貢献する。こうした取組みにより、Society5.0時代の新たなデジタル市場基盤の構築において中心的な役割を果たす
IPAデジタルアーキテクチャ・デザインセンター
2020年10月21日
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