食品や飲料の品質や成分を評価するための分析事例を紹介します。蛍光分光分析、ラマン分光法、イオン電極法などを用い、微量成分の検出や物性評価など、品質管理や栄養評価に貢献します。
蛍光X線で測定した塩素(Cl)のX線強度を食塩相当量に換算し、塩分濃度測定を行いました。
測定結果と塩分濃度の優れた相関性から、MESA-50を用いて簡便な塩分濃度管理が可能であることがわかりました。液体・粉体用セルに試料を注ぎボタンを押すだけで簡単に測定でき、作業者による誤差を最小限に抑えられます。JAS規格の測定で必要とされる硝酸銀水溶液は不要です。
卓上型蛍光X線分析装置
蛍光吸光分析技術A-TEEM※1 と多変量解析を組み合わせることで、多成分系の迅速な定性・定量分析ができます。この手法を用いれば、ワイン・ビール・日本酒などの多成分系の成分管理において、質量分析計やクロマトグラフィーに比べ、迅速で低コストな分析が可能です。
※1 Absorbance, Transmittance and a fluorescence Excitation Emission Matrix:励起-蛍光マトリクス(EEM) 測定において、1台の装置で蛍光と吸光を測定し、吸光度の影響を補正したEEM測定(A-TEEM)
多変量解析により測定したワインの成分1はプロシアニジン様、成分2はフェノールアルデヒド類、成分3はゲンチシン酸と同定されました。
蛍光吸光分光装置
オリーブオイル中のクロロフィルは、パッケージング直後からフェオフィチンに変化します。そのため、これらの成分比は、製品の鮮度と関連するといわれています。生産者から直接入手した収穫した年のエキストラバージンオリーブオイル30種と市販のオイル20種を分析した結果、一部の市販品に変化が見られました。
劣化により、クロロフィルの蛍光の消失を確認しました。(赤枠)
三次元蛍光測定装置
サプリメントの模倣品は、商品パッケージ・内容物ともに正規品にかなり類似しており、正規品と見比べる、または正規品との違いを把握していないと偽物と気付くことは困難です。そこで、透過ラマン分光装置を用いて正規品と模倣品の測定をし、スペクトル解析・比較を行ったところ、使われている賦形剤の成分が異なることがわかりました。試料の溶解などの前処理が不要なため、非破壊で試料の分析が可能です。また数秒から数十秒といった短時間での成分測定が行えます。
正規品はマルトースが賦形剤として使用されており、マルトース(麦芽糖)のラマンスペクトルが検出されましたが(1)、模倣品のラマンスペクトルはスターチ(デンプン)と一致したことから、スターチが賦形剤として使用されていたことがわかりました。
透過ラマン分光装置
スプレードライによりマイクロカプセル化したリモネン(約30 μm)香料粒子(担体:マルトデキストリン)をラマン分光分析装置でイメージング解析しました(b)。この結果、リモネンが比較的均一に分布していることが確認されました。
さらにシクロヘキサン中で抽出した溶液のラマンスペクトルからリモネンの定量を行い、その結果がGC-FID※と一致することが確認されました。
※ Gas Chromatography–Flame Ionization Detector
Particle Disperser
試料中のタンパク質結合性カルシウムを前処理操作でイオン化することによって、イオンメータによる総カルシウム量の測定が可能です。
液状の食品を平面センサに数滴垂らすだけで、食品中の塩分量の指標となるナトリウム濃度を簡単に、且つ正確に測定可能です。コンパクトに持ち運べるため、食品生産ラインなどでの製品の成分管理にお勧めです。
食肉の新鮮さを評価する指標の一つとしてpHがあり、新鮮な食肉はpH5.5~6.2と言われています。LAQUAtwinのpHメータは水分が含まれる食品などの固形物の測定に対応し、センサ部に刻んだ肉片を置くだけで簡易にpH測定が可能です。
コンパクトpHメータ LAQUAtwin