HORIBAは、燃料電池の領域で研究開発・検証に役立つ分析技術を駆使し、燃料電池材料(電解質膜・触媒インク・セパレータなど)のナノレベルの分析からセル・スタックの性能評価まで、幅広い分析・計測ソリューションを提供します。
触媒インク原液の粒子径分布の設計は、触媒の性能・品質に大きな影響を与えます。 Partica LA-960V2の高濃度セルユニットは、インク原液を希釈せずに、もしくは最小限の希釈率で粒子径分布を評価でき、生産工程におけるMEA乾燥後の状態を、インク原液の状態から推定できます。
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ
原液(希釈なし)または原液に近い状態で測定できます。
燃料電池材料中のFeなどの金属が溶出し、金属イオンが電解質膜に混入すると、ラジカル生成が加速され電解質膜の劣化が進行してしまいます。 このため、電解質膜にはラジカル生成を抑制するラジカルクエンチャー(Ceなど)が添加されますが、クエンチャーが膜内を移動して耐久性にむらが生じないよう、均一に固定する必要があります。
セパレータ上の異物は電解質劣化の原因になる可能性があり、品質管理において、金属異物の検出と元素組成の解析が求められています。
微小部X線分析装置 (X線分析顕微鏡)
セパレータは、その導電性の向上また鉄原子の溶出防止などの観点で、一般的に表面には炭素皮膜がコーティングされていますが、 より良い発電性能を得るために様々な研究開発が行われています。 HORIBAでは以下のようにセパレータ上の炭素皮膜を評価する手法を数多く取り揃えています。
セパレータは、その導電性の向上また鉄原子の溶出防止などの観点で、表面に炭素皮膜がコーティングされている場合があります。
DLC:Diamond Like Carbon
ラマンイメージング装置
分光エリプソメーター
マーカス型高周波グロー放電発光表面分析装置(GDS)
炭素の皮膜量についてはセパレータ金属中の炭素と区別して分析する必要があるため、昇温しながら炭素量を定量できる炭素・硫黄分析装置EMIA-Stepが有効です。
炭素・硫黄分析装置(管状電気抵抗加熱炉方式)
PEFCのセパレータなどに金属部材が使用されていますが、耐水素脆化性能の向上を目指した研究が進められています。 この中で表面からの水素の分布状態を観察することが重要ですが、従来法のRBS(ラザフォード後方散乱分光法)などでは最表面の水素量のみしか分析できません。 酸素・窒素・水素分析装置EMGA-930では数分でバルク表面、内部それぞれの水素量をppmオーダで定量することができます。
酸素・窒素・水素分析装置
インラインX線モニタリングは、製造ラインのCCM※中の白金(Pt)量をリアルタイムにモニタリングすることで、塗布量の増減や、異物の早期発見をサポートします。
※ CCM(Catalyst Coated Membrane):触媒層付き電解質膜
固体高分子形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセル、スタック、システム向けの評価装置です。また、水電解セルの評価も可能です。 性能・耐久性評価に加え、燃料電池から排出されるガスや水の同時分析が可能です。
ガス・水同時分析 組み合わせ例
●Total Sulfur計
:劣化時に排出される硫黄ガスを測定
●CO, CO2, O2, NOx, THC計
:劣化時に排出されるCO2などを測定
●pH、導電率、TOC計
:排水のpH、導電率などを測定
HORIBAは燃料電池・バッテリの分析・計測に加え、モータやインバータ、エンジン・車両のための分析・計測技術を備えています。 これらの技術を組み合わせ、コンポーネントから完成車両まで、幅広いソリューションを提供します。
当社の自動車計測研究開発・生産拠点「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」(滋賀県)に、自動車計測ソリューションを「見て」「使って」効果を「体感」いただけるテスト センター「E-LAB」がございます。
CELL 0は燃料電池・バッテリ試験室、
CELL 1はパワートレイン試験室、
CELL 2はエンジン試験室、
CELL 3は完成車両試験室となっています。
HORIBAは、各CELLの燃料電池、バッテリ、モータ、パワートレイン、エンジン、車両の実機やモデル、評価装置を自由に接続し、実使用環境を再現した状態でのコンポーネントや車両システムの評価を行う、“Test in the LoopTM*”をご提案します。 これにより、車両開発・設計段階でのコンポーネントやシステムの確度の高い性能検証や、システムの最適化を可能とします。
* Test in the Loopは、(株)堀場製作所の商標または登録商標です。
従来の内燃機関車両では、エンジンからの熱を回収し、暖房の熱を供給するなど、熱エネルギーを回収することでシステム全体のエネルギー効率を向上させています。
一方、排熱が少ない電動車両(ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車)では、エネルギー効率を最大化するために、限られた排熱を何に利用するかが重要です。
HORIBA MIRAは、車両・パワートレインなどシステム全体のサーマルマネジメントの設計・開発・試作・評価まで支援します。
バッテリシステムの設計・開発・試作・試験において、豊富な専門知識や経験を活かしたソリューションを提供します。
高電圧バッテリシステムにおいて、バッテリマネジメントシステム(BMS)は、セル性能および寿命を最適化するために最も重要なサブシステムです。独自のセル評価プロセスに基づいたBMS最適化設計を提供します。
HORIBA MIRAの試験設備では高電圧バッテリシステムの開発に必要なすべての試験が可能です。