Science
希少な羊のクローン作成、新技術の普及で広がる懸念
密輸した「マルコポーロヒツジ」のクローンを違法に作成し、その子どもを販売した容疑で、米モンタナ州の男性が実刑判決を受けた。当局は身近になりつつあるクローン技術が突きつける新たな課題に直面し、その対応に追われている。
By Matt Reynolds
マイクロプラスチックで発生した雲が、気候変動リスクになる可能性:研究結果
大気中のマイクロプラスチックが、雲を形成する能力を持つことが実験で判明した。研究チームは、この現象が気象システムに影響を与え、気候変動を加速させる可能性があると指摘している。この論文を執筆した科学者2人が寄稿した。
By MIRIAM FREEDMAN、Heidi Busse
愛犬のクローン作成に高まるニーズ。顧客の窓口担当者が語ったこと
深い喪失感からペットクローン企業に問い合わせをする飼い主たちに、担当者は同じペットとまた一緒に暮らせるとは思わないでほしいと告げるという。遺伝的にはつながっていても「初めて会うあなたのことをまだ何も知らない」から、と。
By Camille Bromley
「シュレーディンガーの猫状態」を23分維持── 量子物理学で新記録報告
量子の「重ね合わせ」と呼ばれる状態を長時間維持したという実験結果が発表された。中国の研究チームによるこの成果は、量子技術を利用した機器開発の進化につながるかもしれない。
By Marta Musso
植物の葉の構造に着想。霜の発生を完全に防げる表面加工、米国の研究チームが開発
植物の葉のうねり構造をヒントに、1週間以上にわたり霜の発生を完全に防げる表面加工の技術を米国の研究者たちが開発した。自然環境下での耐久性にも優れているといい、幅広い分野における防霜対策として期待されている。
By Ritsuko Kawai
SZ MEMBERSHIP
花粉媒介生物と太陽光発電──生物多様性と気候変動の危機に同時に対処する方法
ひとつの土地を農業と太陽光発電の両方に利用する「アグリボルタイクス(営農型太陽光発電/ソーラーシェアリング)」のなかでも、花粉媒介生物に着目した取り組みが米国の15の州で進んでいる。
By Bill Mckibben
動物細胞に光合成機能を移植、日本の研究チームが成功
藻類から分離した葉緑体を動物細胞に取り込ませて一時的に光合成機能をもたせる技術を、日本の研究者たちが開発した。生体組織工学や持続可能なエネルギー供給技術に革命をもたらす可能性があるという。
By Ritsuko Kawai
きらめく星空に潜む漆黒のオオカミ「ダークウルフ星雲」の正体
ヨーロッパ南天天文台(ESO)が、ハロウィンに合わせて不気味な画像を公開した。そこにはカラフルな星空を背景に“ダークウルフ”と呼ばれる星雲がシルエットになって浮かび上がっている。そのダークウルフの正体とは?
By Shigeyuki Hando
太陽エネルギーを10倍の効率で貯蔵する手法、ドイツの研究チームが考案
植物の光合成に似た仕組みを構築することで、太陽エネルギーを効率的に貯蔵できる技術をドイツの研究者たちが開発した。化石燃料に代わる持続可能な熱エネルギーの供給源として、大きな可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
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地球滅亡の日に備えて、科学者は月面に貯蔵庫をつくろうとしている
気候変動が地球の生物多様性を脅かしている。月の凍結領域は生命を「バックアップ」するのに適しているのだろうか?
By Ayurella Horn-Muller、Syris Valentine
マヤ文明の古代都市、レーザー測量データから偶然発見される
メキシコの密林地帯から、古代マヤ文明の都市が新たに見つかった。研究チームのメンバーである博士課程の大学院生が、環境調査用のLiDARデータをインターネット検索中に「偶然」発見したことがきっかけとなった。
By Anna Lagos
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寄生虫を使って脳に薬を届ける研究が進行中
トキソプラズマのような有害な寄生虫が、いつの日か脳に薬を届けてくれるようになるかもしれない。血液脳関門を通過できるこの微生物を活用し、宿主の細胞内にタンパク質を分泌する機構を「ハイジャック」することに科学者たちが成功した。
By Bill Sullivan
温暖化で加速する「暑さ」が、日本の人々の健康にもたらす3つの脅威:『Lancet Countdown』報告書から見えてきたこと
地球温暖化による気候変動は全世界の人間の健康にかつてない脅威となっている──。世界的医学誌『The Lancet』が10月30日に公表した『Lancet Countdown 健康と気候変動に関する2024年報告書』は、そう警鐘を鳴らしている。その「日本版データシート」を読み解くと、日本の人々の健康にもたらされる3つの脅威が浮き彫りになってきた。
By Shigeyuki Hando
未来の都市に提案したい「リジェネラティブな技術」は? 大阪・関西万博の参加企業に訊いてみた
世界人口の約70%が都市で暮らすことになるという未来においては、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点が重要になる。そこで未来社会のショーケースとしての役割を果たす大阪・関西万博の参加企業に、それぞれが提案する「リジェネラティブな技術」について訊いた。
By WIRED STAFF
SZ MEMBERSHIP
AIにロボットの身体を与える──グーグルが7年の歳月を費やしたミッションの内幕
グーグルの親会社アルファベットでAIロボットを開発するムーンショットの責任者を務めたことで、わかったことはたくさんある。ひとつは、ロボットをすぐに完成させるのは不可能なこと。もうひとつは、ロボットは人間と同じ姿をしていなくてもいいということだ。
By Hans Peter Brondmo
失明状態の人が網膜インプラント手術で「本を読めるようになった」──ニューラリンクのライバル企業が発表
Scienceは、2mm四方のチップを網膜下に埋め込む臨床試験で、法的に「失明」状態にあるとされる人たちが、文字を読んだり、人の顔を認識できるようになったと発表した。
By Emily Mullin
動物由来の栄養素を植物に生成させる手法、中国の研究チームが考案
動物由来の食品にしか含まれない特定の栄養素を植物に生成させる技術を中国の研究者たちが開発した。まだ概念実証の段階ではあるが、将来的に持続可能なかたちで栄養素を生産できるバイオファクトリーとなる可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
脱炭素化とビジネスは両立できる──1,650の方法で示す未来への道筋
ソーラー飛行機「ソーラー・インパルス」での世界一周を成功させ、水素飛行機での飛行を計画中のベルトラン・ピカール。彼には環境保護と経済成長を両立させるアイデアが山ほどある。夢のようなプランとその実現性について聞いた。
By Rob Reddick
複雑系と創発の謎──マクロスケールの秩序はいかにして生まれるのか
無数の要素で構成される複雑なシステムにおいて、マクロスケールで現れる規則性はいかに創発しているのか? 物理学者や神経科学者、複雑系科学者ら、新たなフレームワークを手にした研究者たちは、その解明へと近づいている。
By Philip Ball
SZ MEMBERSHIP
宇宙太陽光発電を実現する、安全で費用対効果の高い方法
宇宙から太陽のエネルギーをビームで送る──以前ならSFで描かれた世界の話だった構想が、かつてないほど現実に近づいている。だが、残る課題もまた多い。その実現性、安全性、経済性のリアルに迫る。
By Kat Friedrich
イルカは仲間同士で遊んでいるとき“笑って”いる:研究結果
バンドウイルカは仲間同士で遊んでいるとき、相手に“笑顔”を見せることで社交的に振る舞っていることが、最新の研究で明らかになった。相手の笑顔を視認したイルカは、それに応えるように表情を模倣するという。
By Ritsuko Kawai
SPACE
プラダが宇宙服を共同開発し、人類は月へ“帰還”する
NASAが主導する有人月探査計画「アルテミス」。2026年9月以降に予定されている「アルテミスⅢ」のミッションにおいて、月面や軌道上の船外活動で着用する宇宙服のデザインが公開された。米Axiom Spaceとプラダが共同で開発した「AxEMU」がそれ。当然、革新と洗練が宿り、着心地も快適(らしい)。
By Satoshi Taguchi
火星の表面に「生命」が存在する可能性、NASAによる研究で明らかに
火星の表面にあるちりを含んだ氷の内部に水たまりが存在し、微生物などの生命が存在する可能性があることが、コンピューターモデルを使ったNASAの最新研究から明らかになった。将来的な生命探査の有力な候補地のひとつになりそうだ。
By Shigeyuki Hando
アイスクリームづくりに隠された“秘密の錬金術”
アイスクリームは一見シンプルに見えるが、その甘く広がる滑らかな食感は、水、脂肪、そして空気が繊細に調和した科学の結晶だ。『WIRED』はスウェーデンのテトラパックを訪れ、そのプロセスを探った。
By Alex Christian
イカの皮膚にヒント。赤外線の反射率を変えて温度調節できる素材、米国の研究チームが開発
周囲の環境に合わせて体色を自在に変化させるイカの皮膚をヒントに、赤外線の反射や透過の割合を操作することで温度を調節できる新素材を米国の研究者たちが開発した。高い通気性と洗濯耐性も備えており、衣類の未来を大きく変える可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
うつ病をスマートフォンを“見るだけ”で検出、新たな技術が秘めた可能性
スマートフォンを活用して瞳孔の反応や顔の表情からうつ病の兆候を検出できる技術を、米国の研究チームが開発した。誰でも手軽にうつ病を診断できる新たなツールの先駆けとなる可能性がある。
By Ritsuko Kawai
ハリケーンの後、カビが発生する──健康へのリスクと対策
米フロリダ州西部を襲ったハリケーン「ミルトン」による被害は甚大だ。しかし時間とともに問題になるのが、浸水被害にあった家屋に繁殖するカビだ。気候変動が引き起こす豪雨や嵐によって、カビの問題はより深刻化する懸念がある。
By Emily Mullin
肥満症治療薬「チルゼパチド」の供給不足が解消し、浮上した新たな問題
10月初旬、FDA承認のGLP-1受容体作動薬「マンジャロ」と「ゼプバウンド」の供給不足解消が発表された。しかし、これによって多くの患者が利用してきた安価な調合版の入手が困難になってしまうことから、期待よりも不安の声が広がっている。
By Kate Knibbs
トンガの海底火山の大規模噴火、謎だったメカニズムが2年越しで解明される
2022年1月にトンガで発生した海底火山の大噴火は、観測史上で最大規模の自然現象となった。この大災害の引き金となったメカニズムは長らく謎に包まれていたが、このほどオーストラリアの研究者たちによって解き明かされた。
By Ritsuko Kawai
エコトーンとしての東京の野生生物図鑑:Species of the City
水と陸、草原と森などが連続する領域であるエコトーンは、生物多様性のゆりかごだ。都市がもしリジェネレイトの可能性をもつならば、街そのものがエコトーンになるのではないか? ソニーコンピュータサイエンス研究所の舩橋真俊とともに、東京の野生と生物種について考える。
By Satoshi Taguchi
人間の骨にヒント。耐久性が5倍のコンクリート、米国の研究チームが開発
楕円筒形の中空構造によって損傷時の亀裂を最小限に抑える骨の仕組みをヒントに、従来の5倍の耐久性をもつコンクリートを米国の研究者たちが開発した。大量生産できれば公共インフラや建築分野で有効活用できる可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
脳は起きているときも部分的に“昼寝”をしている:研究結果
わたしたちが起きている間にも、脳のさまざまな部分が少しだけ“昼寝”をしているのかもしれない──。そんな驚くべき研究が、脳波と睡眠の定義を覆すこれまた驚くべき研究によって明らかになった。
By Sanae Akiyama
SZ MEMBERSHIP
次のパンデミックを防ぐ獣医たち
新種の病気の多くは動物に由来している。であれば、わたしたちの社会は、動物の健康にもっと関心を向けるべきではないだろうか?
By Rivka Galchen
NASAの探査機「エウロパ・クリッパー」は、生命が存在する可能性を見つけ出せるか
木星の衛星「エウロパ」を探査する米航空宇宙局(NASA)の探査機「エウロパ・クリッパー」が、日本時間で10月15日の午前1時過ぎに打ち上げられた。エウロパには厚い氷殻の下に広大な内部海が存在すると考えられているが、生命が存在する条件を備えているのか明らかにすることが狙いだ。
By Shigeyuki Hando
なぜハリケーン 「ミルトン 」はフロリダの空を紫色に染めたのか?
フロリダ州を襲った大型ハリケーン。上陸直前から通過するまでの間に、空が紫色に染まるという奇妙な現象が観測された。この空の色は、大気中に通常とは異なる量の水蒸気やちりなどが含まれているときの光の振る舞いを示している。
By Rhett Allain
AI関連研究のノーベル賞受賞から考える、新たな科学研究の可能性と課題
ノーベル物理学賞に続き、AIを活用した研究が化学賞を受賞した。研究手法に大きな変革をもたらしたAIは、今後の科学研究のあり方をも変えてしまうのだろうか?
By Chris Stokel-Walker
超薄型「グラフェン」製の脳インプラント開発。初の臨床試験も始まっている
スペイン発の企業が世界一薄い炭素素材「グラフェン」で脳インプラント・デバイスを開発し、ヒトの脳に装置を一時的に設置する臨床試験を開始した。圧倒的に薄く、金属のように酸化しない素材の脳インプラントは、革新的な技術として注目されている。
By Emily Mullin
AIブームが原発復活の追い風になっている
米国のスリーマイル島原子力発電所が、再稼働に踏み出す。電力供給先はマイクロソフトだ。AIデータセンター用の低炭素エネルギー需要の急増により、原子力発電業界とAI産業との関係性が強まっている。
By Matt Reynolds
ノーベル物理学賞に選ばれた“AIのゴッドファーザー”、AIの急速な進歩に警鐘を鳴らすメッセージの重み
2024年のノーベル物理学賞に、人工ニューラルネットワークの概念を確立して深層学習の発展に貢献したジョン・ホップフィールドとジェフリー・ヒントンが選ばれた。なかでも“AIのゴッドファーザー”とも呼ばれるヒントンはAIの危険性について積極的に警鐘を鳴らしており、今回の受賞には大きな重みがある。
By Daisuke Takimoto
タンパク質と葉酸を“パン酵母”に生成させる手法、ドイツの研究チームが発見
水素と酸素と二酸化炭素のみを用いて、タンパク質と葉酸をパン酵母としても知られる微生物に生成させる技術をドイツの研究者たちが開発した。食料生産による環境負荷を大幅に減らせることから、将来的に持続可能な食料供給の鍵となる可能性を秘めている。
By Ritsuko Kawai
グリーンランドの「氷河水」を集めて売る──大胆な構想が世界にとって意味すること
グリーンランドの氷河から溶け出した水を世界に届けることで、地元経済を活性化すると同時に乾燥地域の水問題緩和にも貢献できると主張するスタートアップが現れた。実際のところ、この試みは世界にどんな影響を及ぼすのだろうか。
By Ole Ellekrog
世界最高峰であるエベレストは、なぜ他の山より突出して高いのか
世界最高峰であるエベレストは、なぜ他の山より突出して高いのか──。最新の研究成果が解き明かしたところによると、その理由は周囲を流れる河川が起こした侵食にあったようだ。
By Shigeyuki Hando
ゼブラフィッシュは水中の酸素濃度を“味わって”認識している:研究結果
淡水に生息するゼブラフィッシュの稚魚が味覚器官を使って水中の酸素濃度を感知していることが、最新の研究で明らかになった。この発見は水生生物の感覚システムに対する理解を大きく覆す可能性がある。
By Ritsuko Kawai
気候変動が片頭痛を悪化させる可能性:研究結果
片頭痛と、気圧などの気象条件の関係はよく知られている。最新の研究では、温暖化や異常気象の増加が症状悪化につながる可能性が示された。このほかにも大気汚染など、複数の環境要因の関与も指摘されている。
By Grace Browne
潜水艇「タイタン」事故、公聴会終了。原因解明できず、影響は長期化へ
OceanGateの潜水艇「タイタン」沈没事故に関する米沿岸警備隊の公聴会が9月27日(米国時間)に終了した。事故の責任の所在や明確な原因は特定されず、今後の調査報告書作成には課題が残る。
By Mark Harris
プラスチックから生まれたアイスクリームは何味?:未来への問いを生み出す「Grow Lab」
「Guilty Flavours」は、わたしたちの未来を冷ややかに批判するアイスクリームだ。アーティストのエレオノーラ・オルトラーニのインスピレーションは、いかにしてかたちになったのか? ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズのラボ「Grow Lab」を訪ねた。
By Akihico Mori