コース: 無意識の思い込みと向き合うには

自分が持つ思い込みや偏見を認識する

コース: 無意識の思い込みと向き合うには

自分が持つ思い込みや偏見を認識する

「金髪の女性は得」という俗説は、 可処分所得の違いにもあてはまります。 調査によると、生涯所得の平均は茶髪より 金髪の女性のほうが7%多いそうです。 テキサス大学のハマーメッシュ教授は、 著書「美貌格差」の中で、個人属性と 経済状況の関連性を調べました。 その結果、痩せた人は 肥満の人より所得が多く、 高身長の男性は昇進しやすく、 女性の所得は 白人、黒人、ラテン系の順になり、 男性は薄毛の人がやや低いものの、 全体では女性より上でした。 茶髪の女性を冷遇しようとは 誰も考えていないはずなのに、 こうした偏りがデータに 表れているのはなぜでしょうか。 人は、相手に好ましい属性があると、 無意識によい人とみなして、 積極的に関わろうとします。 人を区別しようとする無意識のニーズが、 特定の層を優遇する決定につながるのです。 脳が1秒間に受け取る 1,100 万件の情報のうち、 意識的に処理できるのは わずか 40 件とされています。 つまり、無意識の処理が 99%以上です。 残念なことに、私たちは この偏りに気付いていません。 自分の偏見を認める人はごくわずかで、 その本当の根深さも理解されていません。 しかし、見分けることは 不可能ではありません。 ハーバード大学 Project Implicit のサイトで 公開されている無料診断は、 本人の学歴や人種、国籍、年齢、 性別に関係なく、 作用しているバイアスを知り、 無意識に下される判断を 意識化することに役立ちます。 私たちの思考は行動に、 行動は周囲の人に影響します。 誰にでも作用する偏見を知ることで、 私たちはお互いの思考や行動に 一層注意深くなれます。 特定の人材を仕事やチームに起用する時、 その場では気付かなくても、 後から振り返って理由を考えれば、 必要に応じた是正策を 講じることもできるでしょう。 謙虚になって、偏見をもとに 判断していたと認めればいいのです。 反省して現状を正し、 今後の戒めとするのです。 時間をかければ、 思考や行動を変えられます。 自分の偏見を客観的に診断し、 振り返りながら行動を変えることができれば 偏見による格差を なくすことができるでしょう。

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