コース: サステナビリティの基礎:基本概念

持続可能な開発目標(SDGs)とは

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持続可能な開発目標(SDGs)とは

サステナビリティの根幹である 環境、経済、社会の3つの次元と、 それぞれの関連性が理解できたところで、 それが SDGs と呼ばれる 「持続可能な開発目標」に どう関わっているかを見ていきましょう。 2015 年、190 以上の国々の賛同によって 採択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」は、 「世界を持続可能で強靭なものとするために 緊急に必要とされる、 大胆かつ変革的な手段をとること」で 合意した文書です。 その具体的な内容は 17 の 持続可能な開発目標、SDGs にまとめられ、 貧困や飢餓の撲滅から、不平等の是正、 気候変動への対策、 エコシステムの保護まで、 広くカバーしています。 17 の目標は、「よりよい持続可能な 未来を実現するために不可欠」なものとして 各国の代表が合意したもので、 前のレッスンで取り上げた 3つの次元すべてにわたります。 「人間、地球、繁栄のための行動計画」と 位置づけられる 2030 アジェンダの中で、 相互に繋がり合う目標として 設定されました。 リストで表示されるのが一般的ですが より本質に近いのが、 ウェディングケーキモデルと呼ばれる 図解です。 ストックホルムのレジリエンス研究所が 提唱した形式で、 SDGs の 17 の目標を、 3層重ねのケーキのように 再構成しています。 ケーキの土台にあたる下の層には、 SDGs のうち自然界に関わる目標が 集まっています。 具体的には、目標 13 の 「気候変動に具体的な対策を」、 目標 14 の「海の豊かさを守ろう」、 目標 15 の「陸の豊かさも守ろう」、 目標6の「安全な水とトイレを世界中に」の 合わせて4つが含まれます。 ケーキの2層目には、 社会に関わる目標が集まっています。 具体的には、目標1の「貧困をなくそう」、 目標2の「飢餓をゼロに」、 目標3の「すべての人に健康と福祉を」、 目標4の「質の高い教育をみんなに」、 目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」、 目標7の「エネルギーをみんなに、 そしてクリーンに」、 目標 11 の 「住み続けられるまちづくりを」、 目標 16 の 「平和と公正をすべての人に」という、 合計8つが含まれます。 ケーキの最上層には、 経済に関わる目標が集まっています。 具体的には、目標8の 「働きがいも経済成長も」、 目標9の 「産業と技術革新の基盤をつくろう」、 目標 10 の 「人や国の不平等をなくそう」、 目標 12 の「つくる責任つかう責任」 という、合計4つが含まれます。 3つの層はすべて繋がっています。 こう整理すると、環境、社会、経済という サステナビリティの3つの次元が 支え合う関係がわかりやすくなります。 例とともに見ていきましょう。 目標1の「貧困をなくそう」に関連して、 1人の貧しい少女を 思い浮かべてみましょう。 貧困から抜け出すには、教育が必要なので 目標1の達成には、 目標4の「質の高い教育をみんなに」を 達成することが不可欠です。 さらに、この少女が学校に通うためは、 目標6にある「安全な水とトイレ」で 健康が保たれる必要があります。 次は、目標 15 の 「陸の豊かさも守ろう」に関連して、 アマゾン地域の熱帯雨林を 考えてみましょう。 アマゾンは、単に樹木が 密生しているだけの場所ではなく、 1つの精緻なエコシステムとして、 地球全体の人間や動物の生命維持に 役立つ機能を果たしています。 アマゾンの生物多様性は、害虫駆除、 授粉、健康な土壌作りによって、 世界の食料生産に直接寄与し、 豊富で多様な農産物の収穫を 可能にするとともに、画期的な 新薬の発見に繋がる可能性も秘めています。 目標3である「すべての人に 健康と福祉を」の重要な土台です。 また、目標 13 の 「気候変動に具体的な対策を」でも 重要な二酸化炭素吸収源です。 以上の例からもわかるように、どの目標も、 別の目標と切り離して単独で 達成することは不可能なのです。 2015 年に SDGs を採択した国々は、 単に 17 個のサステナビリティ目標の 策定に合意しただけでなく、 世界の未来が、環境、経済、社会の 絶妙なバランスに立脚している、 という認識を共有したのです。 これを一体として取り組む重要性を 可視化した SDGs は、 世界にとって重要な転換点となりました。 しかし、SDGs 達成への歩みは 進んでいません。 これほど大きな目標の達成には、 私たちの社会と経済のあらゆる面で 抜本的な変革が必要なことは明白です。 次は、このような繋がりが地域社会から 地球規模までのあらゆる規模に 当てはまることを見ていきましょう。

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