循環型経済のデザイン

使い捨てのコーヒーカップには 適切な処分方法がないと話ましたが、 サステナビリティと循環型経済の観点から、 エコロジカル・フットプリントを 改善するには、デザインを どう変更できるか考えてみましょう。 循環型デザインとは、 ビジネスが環境に与える影響を大幅に 削減するように製品やサービスを デザインすることです。 循環型経済においては、 すべてのものが循環するように デザインされ、 原材料は回収、再利用されるように システムが設計されています。 つまり、循環型経済の目的は、 無駄をなくし自然資源の価値を 高めることです。 製造業者は、製品の寿命を考慮し、 自然を破壊するのではなく、 回復させる方法で、製造や配送、使用、 回収をおこなうよう 取り組む必要があります。 循環型経済においては、製品は おもに２つの代謝プロセスを通じて 循環します。 代謝とは、消化システムにおいて物質が 吸収されることを指しますが、 ここでは技術的、 または生物学的な流れを指します。 家に使えなくなった電子機器が 詰まった引き出しはありませんか。 誰の家にもあるものです。 技術的な側面から言えば、 電話やコンピューター、建物など 人工的に作られた技術は、工業システム、 または技術システムの中で回収され、 再利用できるように設計する 必要があります。 このフェアフォンのように、 簡単に分解できれば、自分で アップグレードすることができます。 修理が簡単であるため、中古市場を促進し、 製品の寿命を延ばすことができます。 または、製造業者が回収し、 分解して部品を再利用することもできます。 つまり、再製造、再調整、再利用により、 再度市場に出すことができるのです。 たとえば、簡単に分解できるよう 設計されたノート型パソコンなら、 部品を新しいパソコンに再利用したり、 効率的に新しい材料に リサイクルしたりすることができます。 工業製品はすべて、回収や再利用、修理、 再製造ができるように設計し、 適切な場合に限りリサイクルします。 電子機器などは自然界では分解されづらく、 自然に漏れ出さないようにする 必要があります。 これが、もう１つの代謝プロセスの 話につながります。 生物学的な側面では、自然界で安全に 分解できる物質、つまり、食品廃棄物や コーティングされていない 紙などの有機物は、 すべて自然に還元することで 付加価値が生まれます。 ただ、現在の廃棄システムは 複雑であるため、産業用堆肥化施設や バイオ消化を通じておこなうことが 重要です。 このように、循環型の製品や サービスを作るには、 さまざまな持続可能な設計戦略を 組み合わせる必要があります。 製品の種類によって、サステナブルな デザインのアプローチは異なります。 コーヒーカップの例では、 使い捨てを完全に排除し、 持ち帰りができる利便性も維持しながら 廃棄物を出さない クローズドループシステムを 作る必要があります。 テクノロジーを使った 再利用システムを作るか、 使い捨てカップが不要になるように カップを持参することに インセンティブを与えることもできます。 これらは、新しい循環型経済に合った デザインやビジネス戦略の一例です。 製品を循環型経済に合った サステナブルなものに 設計し直す方法はたくさんあります。 デザインを根本から変え、 資源を長持ちさせ、 自然界のように廃棄物を環境への 汚染物質ではなく、 新しい資源に転換させることは、 新しい価値を生み出す機会ともいえます。 循環型デザインとは、より少ないもので 多くを生み出すことであり、 創造的な解決方法で、 廃棄物を過去のものにすることです。