コース: サプライチェーンの基礎

変わりつつあるサプライチェーンマネジメント

コース: サプライチェーンの基礎

変わりつつあるサプライチェーンマネジメント

必要なものを適切な場所に タイムリーに届けることが、 サプライチェーンの役目です。 サプライチェーンが何かが わかったところで、 なぜ最近になって、 それが重要視されているのでしょうか。 そもそも人類の歴史は、 調達とオペレーションと ロジスティクスの歴史でした。 時代とともに集落が広がり人口が増えると、 輸送と保管の手段も発達しました。 さらに、商業圏が生まれて 世界中に広がっていきました。 必要なものを適切な場所とタイミングに、 という基本は不変ですが、 グローバル経済の時代には、 材料の調達先も顧客も世界中に広がって、 サプライチェーンは どんどん複雑化しています。 昔の会社では、調達、製造、 配送が分業化されていて、 接点はほとんどありませんでした。 だいたい互いの仲が悪く、 協働という言葉すらありませんでした。 サプライチェーンマネジメントは、 それらの統合を抜きには語れません。 いまや世界規模で展開する調達や製造や ロジスティクスのサプライチェーンを、 共通のデータや統合計画を持たずに 運用することは不可能です。 統合計画があれば、適正な資材の調達や 労働力の確保が可能になります。 製造計画を立案したり、 デリバリー計画、すなわち製品や資材の 受け渡し日時や場所を決めたりすることも できるようになります。 サプライチェーンマネジメントには、 調達、オペレーション、 ロジスティクス以外の部門も 幅広く関係します。 例えば、マーケティングや IT 部門は、 統合計画を策定する作業に 欠かせないデータの源泉です。 設計と技術部門は、消費者が求める 製品作りの方法を定め、 経理は、コスト削減の余地を 見出す助けになり、 財務は、必要な設備、資材、人員を 確保するための資金を調達します。 サプライチェーンに不可欠な資金を、 投資効率の高い予算として確保するには 財務部門との協力が必須です。 市場のグローバル化が進む中で、 今後はサプライチェーンマネジメントにも、 需要増大、世界的な資源減少、 急速な技術開発、顧客が重視する価値を 提供できない仕入先の問題などに 対応することが求められるでしょう。 統合化によって解決すべき問題は、 会社によってさまざまですが、 共通するのは、 仕事を俯瞰する必要性です。 部門の目標だけ達成して終わりなら、 統合とはいえません。 サプライチェーンという鎖の 一部分に限定せず、 鎖を全体で強くするという 意識が必要なのです。 自社だけでなく、自社の仕入先や 製品を納入する顧客の実績を 表すデータも見て、 改善のために何ができるかを考えましょう。 マーケティングも意識してください。 そうすれば、自社や所属部門だけでなく、 サプライチェーン全体の連携と実力を アップすることにもつながるでしょう。 そして、よりよい サプライチェーンとするための イノベーションや問題解決に 向かっていくでしょう。

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