コース: 営業職のためのストーリーテリング2:優秀なセールスが語るストーリーとは
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付加価値をつけるストーリー
付加価値のストーリーは、 商品の魅力を倍増させます。 値段が高くても買いたい、 と思わせる力があります。 例をあげましょう。 金融機関向け資産運用会社の 上級副社長、アンディは、 銀行に債券を販売しています。 債券ブローカーと銀行のやりとりは、 素人には外国語のようで、 「5年機関債、クーポン2%、 価格は8分の1%オーバーパー」、 などといった指標を聞いて、 購入を判断します。 このような交渉は、銀行の担当者にとって 無味乾燥な符丁にすぎませんが、 アンディは、ストーリー債と 呼ぶ商品を得意としています。 その名が示すように、背景に ストーリーがある債券のことで、 銀行を惹きつけるものです。 アンディの会社は、不動産担保証券という、 数千件もの住宅ローン債権を 元にした金融商品を販売しています。 安全で流動性が高く、毎月元利収入が 入ることは周知の事実です。 あとは「利率 3.75%の担保付き 30 年ローンを束ねた、 クーポン3%の証券」などと 言うだけですが、 時々、 転勤担保証券だけを 束ねた証券が出るそうです。 利率 3.75%、 担保付き 30 年ローン、 クーポン3%の指標は同一でも、 アンディは実兄のストーリーを話します。 こんなストーリーです。 「私には2歳上の兄がいます。 コンサルの仕事を経て、名門校を卒業し、 世界的な大手企業の財務部門に 転職しました。 グローバル企業では、幹部候補に 社内の各部門でリーダー経験を積ませます。 有望な社員は3年ごとに異動を命じられ、 兄はもう5回異動しました。 そのたびに、会社が業者を手配して、 家の転売からローンの返済、家財一式の 運搬をしてくれます。 そして3年で、また異動です。 ローンは早期に返済されます。 異動がない場合でも、昇進が早く 収入が増えれば、より広い家への 住み替え需要が出て、 やはり返済が早まるのです。 このように転勤担保証券は、 不動産担保証券とほぼ同じでも、 兄のような転勤族が 利用するローンだけなので、 全体に返済が早く、 信頼性も高いと期待できます」 このストーリーで、アンディの商品の魅力は 跳ね上がりました。 効果が出た理由は、 2つあると考えられます。 第1に、クラスが同じ別の債券と この商品との違いを、 銀行側に印象付けたことです。 大手企業や高所得の幹部でローンの返済が…
エクササイズファイルを使って実践してみましょう。
インストラクターがコースで使用しているファイルはダウンロードできます。見て、聞いて、練習することで、理解度を深めることができます。