コース: プロジェクトマネジメントの基礎

スケジュールを短縮する

関係者はせっかちなものです。 プロジェクトの終了予定日を伝えると 必ず予定を早められないかと尋ねてきます。 スケジュールを短縮する技法として 「ファストトラッキング」 「クラッシング」「スコープの縮小」 があります。 ファストトラッキングでは 通常なら順に行う作業を 一部平行して実行します。 例えば機器の設置の完了日を 早めたい場合は 設置作業を行いながら 設置を終えた順に 機器の設定を始めるという やり方です。 ファストトラッキングは簡単です。 終了・開始型の依存関係を持つ 2つの作業を重ねるだけです。 クリティカルパス上の 作業で行うと特に効果があります。 クリティカルパスを短縮すれば 全体の期間を短縮できるからです。 中でも最も期間の長い作業に 適用すると効果的です。 リスクと変更を最小限に 抑えながらスケジュールを短縮できます。 ファストトラッキングには デメリットもあります。 リスクの増加です。 タスクを重複させると 完了している作業が その後の決定事項や 他の作業の実行方法によって 影響を受ける可能性があります。 例えば機器の配置、変更を決めた場合 ハードウェア設定のやり直しが 生じる可能性があります。 クラッシングではプロジェクトの コストが増加します。 スケジュールを短縮するために 追加予算を投入するからです。 通常、増加分のコストは 作業の担当者を増やすための人件費です。 これはクリティカルパス上の 作業に適用します。 スケジュール全体の 短縮にならないことに 費用をかける意味はありません。 成功の鍵は目標とする スケジュール短縮を 最も少ない表で実現できる方法を 探すことです。 まず最も少額でクラッシングを 行える作業から着手します。 そして、費用の大きな作業へと 順に適用し、 必要なだけスケジュールを 短縮できるまで続けます。 クラッシング表は適用対象の作業を わかりやすくします。 クリティカルパス上の 各作業のクラッシングに かかるコストと、それによって削減できる 所用期間をまとめたものです。 一週間あたりのコストが 最も低い作業から始めます。 コストが同じ作業が 複数ある場合、 期間の長いものから始めます。 そうすることで作業数を 最小限に抑えられます。 クラッシングには限度があります。 人員を追加しても 所要期間を短縮できなくなる時がきます。 人が多すぎると お互いの作業の妨げになり精神的にも よくないからです。 また新人は慣れるまで 生産性をフルに発揮できず サポートする既存メンバーの 作業の遅れにつながります。 これらの手法を実施する際は クリティカルパスは変化しうることに 注意します。 作業によってはクリティカルパスから 外れることも加わることもあります。 調整たびに検証し、次に取り組む作業が クリティカルパスにあることを確認します。 3つ目のスケジュール短縮法は プロジェクトスコープの縮小です。 削除対象のスコープにある作業が クリティカルパスにある場合、 スケジュールの短縮になります。 例えば会議場の設備更新の終了日が 大切な会議と重なっている場合、 重要でない部屋の作業を延期すると スケジュールを短縮できます。 これら3つの手法は どれもプロジェクトスケジュールの 短縮に役立ちます。 それぞれに長所と短所があるので そのプロジェクトに 最適な方法を採用してください。

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