コース: プロジェクトマネジメントの基礎

関係者を明確にする

関係者とはプロジェクトの利害関係者です。 顧客やプロジェクトに影響を及ぼす部門、 プロジェクトから影響を受ける部門、 プロジェクトの作業を実行する人などが これに当たります。 マネージャーはプロジェクトに対する 各関係者の重要性や影響力、 関心事を知っていなければなりません。 また、プロジェクトに対する 関係者の期待や役務を 知っておく必要があります。 これにより、 プロジェクトの成功に最も大きな 影響を及ぼす関係者に焦点を当て、 関係構築に取り組む事ができます。 それでは、主な関係者について 見ていきましょう。 プロジェクトの顧客とは 解決したい問題を持つ個人、 または組織です。 先程お話ししたホテルの会議場における プロジェクトを例とすれば、 顧客は会議場の増収を命じられた ホテルの施設部長です。 顧客はプロジェクトで 3 つの重要な役割を担います。 まず、プロジェクトの資金を提供します。 例えば、会議場の責任者には 増収のための予算があります。 次に、プロジェクトで行う事に対して、 強い発言権があります。 最後に、立ち上げから終結まで すべての成果物を承認します。 次は、プロジェクトのスポンサーです。 スポンサーとはプロジェクトの成功を期待し、 成功を支援するための 正式な権限を持つ人です。 例えば、プロジェクトに賛同する 企業幹部です。 ホテルの会議場のプロジェクトで言えば、 その地域の部長です。 会議場を他のホテルにも展開するために、 成功を期待しており、 プロジェクトをサポートするための 十分な権限を持っています。 スポンサーは目標の優先順位の設定や 協力的でない関係者の説得に関わる他、 プロジェクト計画の改善を提案します。 3 番目の関係者は各部門の責任者です。 責任者は部門を運営し、 その部門の目標を達成する責任を担います。 また、部門内の社員、 つまりプロジェクトに参加するメンバーの 管理者でもあります。 チームのメンバーも関係者です。 プロジェクトに割り当てられる メンバーの職務は様々であり、 能力に左右される事もあります。 最後に、プロジェクトに影響を及ぼす、 またはプロジェクトの影響を受ける部門や 個人はすべて関係者です。 例えば、会議場の収益が上がれば、 客室の収益も増えるので、 ホテルの営業部門は関係者です。 時には誰が関係者で、 誰が最も重要な関係者か、 どうすれば関係者と上手く協力できるか 分からない事もあるでしょう。 そんな時は関係者の分析文書や 関係者リストを作ると便利です。 関係者を特定し、 プロジェクトでの役割を理解したら、 これらの文書に情報を記録します。 まず、関係者がプロジェクトにどう関与し、 何が動機づけになるかを知る必要があります。 関係者が所属する企業名や事業部門名、 部下名と組織内での役職を記録します。 次に、各関係者の相談相手を特定します。 これは関係者との問題の 対処方法を決める際に役立ちます。 関係者が関心を持つプロジェクトの目標と、 優先事項を明らかにします。 これで、問題が発生した際の 相談相手が分かります。 プロジェクトへの影響と関心に応じて 関係者を分類する事で、 関係者の重要度が明らかになり、 効率的に管理する事ができます。 最後に、プロジェクトに対する 関係者の役務を文書化し、 関係者に期待できる事と、 役務の担当者が分かるようにします。 演習では関係者分析の スプレッドシートを使用して現在、 または過去のプロジェクトの 関係者を記入します。 関係者の存在は プロジェクトの成功に不可欠です。 マネージャーは 各関係者の動機と役割を理解し、 関係者に気持ち良く仕事を してもらう必要があります。 的確な関係構築に取り組み、 プロジェクトを成功に導きましょう。

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