コース: 職場でのハラスメントを防ぐには

力関係とは

ハラスメントには力が関係します。 人は常に他者と力をやり取りしています。 命令を出す上司には力があります。 同僚とのランチでも、 お互いが話すたびに 力のやり取りがあります。 気難しい人を敬遠するのは、 自分が相手を止める力がないと 感じるからです。 たとえば、不満ばかり言う 同僚を相手にしている時は、 会話がその不満に引っ張られるので、 自分の力が奪われます。 私たちは常に力をやり取りしており、 セクシャルハラスメントを行う人は 力を持っています。 私が若い頃、勤め先の法律事務所で 弁護士の1人に何度も誘われました。 あからさまにではなく、 「今週末、公園で会えるよね」と。 私は笑ってごまかしたり、 皮肉を言ったりして興味がないことを 伝えようとしましたが、 それは無視されました。 資料室で言い寄られたわけではありません。 彼は、害にならない範囲で 好意を示そうとしたのかもしれませんが、 私は、立場が上の人に しつこく誘われるのが苦痛でした。 立ち向かえばいいじゃないかと 思いますよね。 そうしました。 私は彼に手紙を書いて届けました。 今度誘ったら上司に伝える、 という内容でした。 それを読んだ彼は、私の席に来て、 「僕のキャリアに 傷がつくようなことをする気か」 と声を荒らげました。 私も椅子から立ち上がって、 静かに言いました。 「このことは誰にも話していません。 ただ放っておいて欲しいのです」 グレッチェン・カールソンの TED トークでは、「ダンスしろ」と 1ドル札を目の前に見せつけられた、 女性陸軍将校の話がありました。 彼女が上司に苦情を伝えると、 「たった1ドルか。 君なら5ドルや 10 ドルの価値は あるだろう」と言われたのです。 職場での差別や ハラスメントをなくしていくためには、 日常的に起きているこのようなことに もっと目を向ける必要があります。 もちろん性的暴力などの大きな問題には 注目する必要がありますが、 それらが起こらないようにするには、 日々の小さな出来事を防止することから 注意を払わなければなりません。

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