コース: パフォーマンスが高い人材を採用するには

人材市場を理解する

採用活動の基盤にすべき事実は、 「優秀な人材が不足しているのに、 余っていると仮定することはできない」 ということです。 これほど明白なことが採用活動では 無視され続けています。 スキル中心の 退屈な職務記述書を提示しても、 優秀な人材は見向きもしません。 応募前に質問票の記入を強要すれば、 話をする段階にも辿り着けないでしょう。 採用責任者が無関心、準備不足、 表面的な面接をして、 職の穴埋めだけを考え、 実際の職務要件を理解していなければ、 優秀な人材に逃げられてしまいます。 よい方法があります。 多くの企業や採用担当者は、 優秀な人材が余っていると 思い込んでいます。 そのため、 積極的な候補者だけを対象にして、 スキルと経験を備え、 報酬体系に合う人材としか話をしません。 スキルと経験の要件をすべて満たし、 求人に応募してきた人がいるとしても、 それは人材市場全体のごくわずかです。 応募者が1人いるとすると、 同じ適性を備え、しかし応募には 至らない候補者が少なくとも 10 倍います。 市場には、スキルと経験を備えていても 求人広告を見ていない候補者もいます。 広告を見たとしても退屈な求人には 応募しません。 確かに、 求人広告やメールを改善するだけでも、 訴える対象を拡大できます。 多くの企業はそれを試みていますが、 潜在的な候補者が多数見逃され、 優秀な人材が埋もれています。 スキルは異なるが仕事はできる、 つまり実績要件を満たし、 キャリアのチャンスを積極的に 探している人材が埋もれているのです。 昇進している全員が この基準に該当しますが、 そのような人材の多くは 手付かずのままです。 独自の調査では、 この人材グループの規模は、 要件を満たす応募者の 20 倍から 30 倍です。 このような人材を惹きつけるには、 スキルではなく業務目標を記述した 求人広告やメールが必要です。 同様の仕事で活躍している人は、 種類は異なるが必要なスキルと 経験を持っているという発想です。 目標を示せば職務の魅力も増します。 これだけでも反応はよくなりますが、 それでもなお、50 倍から 100 倍もの人材が隠れています。 実績要件を満たしていて、 消極的な候補者です。 この種類の人材を惹きつけるには、 職務の実績の面だけでなく、 従業員価値提案を強調します。 従業員価値提案とは、その職務を キャリア転換と考えるべき理由であり、 これで効果が最大になります。 この図が示すように、人材市場の ほとんどの部分が手付かずです。 そこに訴えかけるには、 実績中心の評価プロセスに転換し、 スキル中心の職務記述書を廃止して、 単なる事務作業ではない、 対話型の採用プロセスを導入する 必要があります。 横滑り転職からキャリアのチャンスに 転換することで採用基準が上がり、 モチベーション、仕事への満足感、 意欲の高い人材を採用できます。 多くの企業にとって、 大きな可能性を秘めた 戦略的チャンスなのです。

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