コース: マーケティングの基礎

ブランドの顧客体験マップを作成する

好きなブランドとの経験を 思い出してみてください。 どのような点がよかったですか。 経験には行動と感情が 結びついています。 マーケティングでは、 ブランドを利用する顧客が ポジティブな経験をし、 最終的にブランドロイヤルティを 持ってもらうことを目指します。 前のレッスンで、ブランドの価値提案を 考えるための 6つの基本要素を紹介しました。 ブランドの価値提案は、 ブランドの戦略的仮説を 具体的に示したものです。 ターゲット顧客の考え方を 変えることができれば、 彼らの行動が変わり、 ブランドの業績目標の達成につながります。 価値提案を実行に移す最初のステップは、 ブランドの顧客体験を描いて、 戦略的仮説を提示することです。 これは未来を可視化する手法です。 ブランドの顧客体験は、 戦略と実行をつなぐものです。 現在の顧客体験と、 将来的に実現したい顧客体験との ギャップを埋めるための指標になります。 ブランドの顧客体験を描くには、 カスタマージャーニーに沿って、 現在の状態と望ましい将来の状態との 違いを考えます。 価値提案に基づいて考えてください。 たとえば、ペロトンの顧客体験を 描いてみましょう。 ペロトンの価値提案は、手軽に、 なりたい自分になることです。 いつでもどこでも健康的な ライフスタイルを送れるように、 本格的なトレーニングを行える 環境作りを提案しています。 ブランドの顧客体験を描くにあたり、 まずは、現在のカスタマージャーニーの 段階に沿って、価値提案を 実行する機会を特定します。 繰り返しますが、ペロトンは 「自宅で本格フィットネス」という 新しいカテゴリーを生み出し、 パーソナルジムに通う人が ターゲット顧客です。 まずこのターゲット顧客に、 自宅でもジムと同じような 本格的なトレーニングができることを わかってもらう必要があります。 次に、対面でのトレーニングよりも 高い利便性を感じてもらう必要があります。 そのためには、まず利便性の重要性について 説得力のある主張を展開してから、 ペロトンは利便性を提供できると アピールするのが効果的です。 この流れを踏まえて、 ペロトンの顧客体験を描いてみましょう。 充実したジムライフを楽しんでいる 顧客の行動と考え方を想像し、 どのように彼らを満足させられるかを 考えます。 最初は何の制約も考えずに ブレインストーミングをしてみましょう。 それから予算やスケジュール、 全体的なスコープといった制約を ひとつずつ考慮します。 ブランドの約束をきちんと実行に移し、 それによって顧客の考え方や行動が変わる、 理想的な未来を思い描きましょう。 顧客体験を描いたら、次は、 それを実行するためのツール、 ソリューション、価格設定、広報活動、 流通チャネルについて考えます。 このように顧客体験は価値提案を明確にし、 ブランドとのタッチポイントを通じて 顧客に価値を提供するための 指針となります。

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