コース: 前向きな変化をもたらすストレス管理術

ストレスに伴う問題

それでは「脳のワンツースリーモデル」を 念頭に置いて、ストレスが 悪さをし始める時に、 どのような課題が発生するかを 見てみましょう。 思い出してください。 ストレスには、よいも悪いもなく、 求められていることと、そのための キャパシティとのギャップに過ぎません。 その正体は、何か調整が必要なことを 知らせる脳からの情報です。 この調整を自分でできると思えるうちは、 大きな問題ではありません。 この種のものは、軽微なストレスや 許容ストレスと呼ばれます。 ギャップを埋めるための エネルギー源になることもあります。 対応するためのリソースがあり、 何らかの対策を打てるようであれば、 ストレスは一時的なものにとどまり、 役に立つこともあります。 この種のものは、短期間で解消される 急性のストレスと考えることができます。 ストレスが深刻になるのは、 それに対応するための手段がないと感じて、 ただ耳をふさいで過ぎ去ってくれるのを 祈っているだけの時や、問題が未解決のまま 放置され続けて、慢性化したり 長期化したりする時です。 急性ストレスはエネルギー源にも なり得ますが、慢性ストレスは 身を守ろうとする私たちに牙をむきます。 元気が出たり、集中力が高まったり、 免疫力が向上したりするどころか、 ストレスが長引くと、消耗したり、 注意力散漫になったり、 病気になったりさえします。 現実に、病院を受診する原因の大半は、 この慢性的ストレスに由来するものであり、 その費用は年間数千億ドルにのぼります。 ストレスの特徴で、本来役に立つはずが、 結果として有害になっているものが、 うつりやすさです。 部屋に入ったとき、誰かのストレスを 感じたことはないですか。 メールや文章から伝わる ストレスについてはどうでしょうか。 インフルエンザよりもうつりやすいという ジョークがありますが、それは事実です。 私たちがお互いにストレスを撒き散らし、 感染し合うことにより、ストレスはますます 慢性化し、蔓延し、制御できなくなります。 ストレスに関連する問題で最後に 取り上げたいのが、中毒性の高さです。 奇妙に聞こえるかもしれませんが、 実はストレスはほかの中毒性物質と 同じ脳内の報酬回路に作用します。 具体的に言うと、脳がストレスフルな 物事を記憶するのは、 今後それらを回避するためです。 常に疲れた状態にあると、 ストレスが生むエネルギーは 中毒的に作用します。 私の患者には、ストレスがないと 生きていけないと言い、 ストレスを取り除こうとすると、 ややパニックになる人がたくさんいます。 思い出してほしいのが、ストレスは 決して悪いものではないということです。 ストレスは、調整のために使われる 単なる情報とエネルギーです。 問題になるのは、ストレスに対して 無力だと感じるとき、一度に大量の ストレスに襲われるとき、 長期化するときです。 そこで、「ストレスを感じる」と 言いたくなるときには、 何が起きているのか明確にする 必要があります。 ストレスは感情ではなく情報であり、 参考にすべきものだからです。 そうすれば、ストレスをプラスの方向に 活用することができます。

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