コース: 人を動かすには

わかっていても陥りやすい失敗

人に動いてもらおうとして 失敗することはよくあります。 ここでは意図せず起こりがちな 失敗例を紹介します。 ある男性が額縁を売ることになりました。 彼の上司は、商品を実際に手に 取ってもらえば売れると言います。 しかし、そうしてみても 客の反応は冷ややかでした。 額縁、つまり枠には 2つの概念があります。 それぞれ見てみましょう。 1つは物理的な " 枠 ” 文字通り絵を飾るためのものです。 もう1つは概念的な " 枠 " つまり人の考え方を表します。 私たちは経験が欲求などに基づく 枠の中で物事を捉えています。 この男性はこうすれば売れると 思い込んでいたのです。 私たちは相手が自分と同じ価値観を 持っていると思いがちです。 信念を押し通すとも言いますが 結局は、枠を押し付けているのです。 この男性にとって額縁は 自分や家族の生活を 支えてくれる大切なものです。 売れれば、成功や達成感も得られるでしょう。 しかし、客にとっては ただの額縁にしか過ぎません。 手に取る必要もないでしょう。 ここで重要なのは、相手との 価値観の違いを認識することです。 彼の客が示したのは 人が押し付けを感じた時の 典型的な反応です。 思考や行動を他人から無理強いされれば 誰もが抵抗を感じ、不快に思います。 人との関わりにおいて 枠は深い意味を持ちます。 私たちは常に自分の枠を持ち そして相手もまた その人独自の枠を持っています。 感じ方や見方は 人それぞれ違うのです。 彼の客は額縁にも彼の枠にも 興味を示してくれませんでした。 そこで、彼はその額縁に 客の好みの絵を合わせてもらい いかに見栄えがするかを 見てもらおうと考えました。 彼は額縁に客の好みの絵を 合わせることを勧めました。 客が意味を見出せる方法で アプローチしたのです。 人を動かすには相手の視点に立つ 必要があります。 職場や家庭で 人に動いてもらう必要がある時は 自分の枠を押し付けて 相手に従わせようとしてはいけません。 「こうすべきだ」「こうしてほしい」など 命令調の言葉や態度は禁物です。 押し付けだと感じるでしょう。 まず相手の " 枠 " を知り 考え方に寄り添うことが大切です。 なぜなら、人を動かしたい時というのは その人に変化を期待している時だからです。 しかし、良かれと思って行っていることも 自分の枠を通した思い込みかもしれません。 相手にとっても有意義だと思っている場合は 特に間違いが起こりがちです。 お互いのためにこの間違いは 避けなければなりません。 自分の枠を押し付けず 相手の立場に立って考え 行動しましょう。

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