コース: 自社のクラウド戦略に持続可能性を取り入れる

オートスケールの是非

コース: 自社のクラウド戦略に持続可能性を取り入れる

オートスケールの是非

資源が豊富にあると安心し、資源には 限りがあることを忘れてしまいがちです。 コース冒頭で紹介したパンジャーブの教えを 思い出してください。 巨大な川のそばでも、 水を無駄にしてはいけません。 オートスケールとは、需要の増加に応じて、 シームレスにリソースを提供できる クラウド設計パターンです。 リソース使用量が増えること自体は 問題ありません。 しかし、ソフトウェアの非効率性を 補うためにオートスケールを 取り入れているベンダーには 気を付ける必要があります。 大手ソフトウェアエンジニアリング機関で あるカーネギーメロン大学の 研究論文によると、 ソフトウェアを最適化せず、 ハードウェアを増やすことで、 その非効率性を補うと、 リソースが余計に消費されます。 この論文では、最適化されたシステムと、 完全には最適化されず、オートスケールで 対処しているシステムを比較し、結論として オートスケールが有効であることを 証明しました。 オートスケールによって、 設計に問題があるシステムでも、 最適なシステムと同等のパフォーマンスを 実現できたのです。 しかし、システムの最適化を怠れば、 インフラ拡張というデメリットが生じます。 私たちの調査では、非効率的なシステムが 効率的なシステムと同等のパフォーマンスを 実現するには、8倍も多くのリソースが 必要であることが判明しました。 クラウド利用料金が上がるだけでなく、 二酸化炭素排出量も数倍に増えることを 意味します。 インフラ拡張分のコストを顧客に 転嫁しないベンダーもいます。 ビジネス成長期にあるため、 いかなる犠牲を払ってでも、 顧客が欲しいからです。 それは、持続可能なビジネスとは 言えません。 ソフトウェアの問題は ハードウェアで解決できません。 オートスケールで対処している ベンダーには気を付けましょう。 現在、地球の資源は、140%のスピードで 消費されているとお伝えしました。 2030年までに、 200%までに膨れ上がる見通しです。 インフラを拡張して問題解決を図る ベンダーを許してはいけません。 このレッスンでは、 クラウドの設計を誤れば、 一定量のワークロードあたりの 二酸化炭素排出量が増えること、 またソフトウェアの問題は効率化で 解決すべきことを説明しました。 次は、エネルギー効率の良い システム設計について説明します。

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