コース: 自社のクラウド戦略に持続可能性を取り入れる

炭素税率と炭素集約度

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炭素税率と炭素集約度

1972 年、経済協力開発機構は、 基本原則として 汚染者負担原則を採用しました。 その3年後には、 欧州共同体もこの原則を採用しました。 汚染者負担原則は、 一般常識に基づくシンプルな原則です。 汚染した事業者や事業活動に 罰金を科すことで、 問題に対処させるのです。 一部のヨーロッパ諸国には、 すでに炭素税が導入されています。 アメリカはやや遅れていまが、 アメリカのグローバル企業には、 すでにその影響が出ています。 西ヨーロッパの平均的な炭素税率は、 1トンあたり約 50 ドルです。 マイクロソフトは、 カーボンニュートラル宣言で 炭素1トンを 15 ドルに 設定していました。 二酸化炭素排出量を適切に 削減できなければ問題です。 世界銀行によると、 ヨーロッパで最も高い炭素税率は、 スウェーデンとスイスの 1トンあたり 130 ドルです。 しかし、これらの国では、 発電時の二酸化炭素排出量が少量です。 各国の炭素集約度を算出し、 炭素税との関係に注目してみましょう。 炭素集約度とは、一定量の発電に伴う 温室効果ガスの排出量です。 炭素集約度を見れば、 改善が必要な国が分かります。 西ヨーロッパ諸国における 二酸化炭素1トンあたりの税率を 見てみましょう。 こちらの表から、別の一面が見えてきます。 一部の国では、税率は低いものの、 発電に伴う二酸化炭素排出量が多いのです。 西ヨーロッパ諸国における 電力消費量約 39 メガワットあたりの 炭素税に注目すると、 炭素集約度が最も高いオランダと アイルランドの税率が 最も高いことが分かります。 高速インターネットを誇る アムステルダムを拠点に選ぶ企業は 多いのですが、 クラウドの場所を選択するさいは、 このような側面にも注目してください。 EU には、企業に一定量の排出を認め、 余剰分を取引できるシステムがあります。 欧州連合域内排出量取引制度、 通称 ETS です。 発電所、工場、航空産業ごとに、 温室効果ガスの排出限度値が設定されます。 これを排出枠といい、 企業は必要に応じて、 自社の排出枠を売買できます。 地球全体での排出量を 削減するため、 排出枠は毎年引き下げられています。 順調に削減できている企業は、 余った排出権を販売できます。 そうでなければ、排出権を 買わなければなりません。 このレッスンでは、炭素税、炭素集約度、 また二酸化炭素排出権の売買を認める EU の ETS について説明しました。 次は、クラウドサービスプロバイダーから 提供される二酸化炭素排出量データと、 これを利用して排出量を導く方法を 紹介します。

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