コース: 財務の基礎

貸借対照表とは

コース: 財務の基礎

貸借対照表とは

重要な財務諸表には、 まず貸借対照表があります。 貸借対照表は、企業の資産と負債を 一覧にしたものです。 貸借対照表は、会計等式と呼ばれる、 資産イコール負債プラス純資産の 形式を軸に作られています。 この式の基になる考え方は、 500 年以上前にイタリア人によって 作られました。 シンプルな考え方で、資産を持つには、 その購入資金をどこかで調達する 必要があります。 これが貸借対照表の内容です。 企業の資産の一覧だけでなく、 それらの資産を購入する資金源の 一覧も示しています。 購入資金はどこから調達したのか。 これが貸借対照表の考え方です。 内容を理解するために、 実物を見てみましょう。 これは、2018 年1月 31 日時点の ウォルマート社の貸借対照表です。 重要な数値を説明します。 ウォルマート社には 440 億ドル相当の 在庫があります。 世界各地に1万店舗以上あるので、 1店舗あたり約 400 万ドルになります。 固定資産に 1,850 億ドル 計上されています。 これは、土地、トラック、建物を 購入するために使った金額です。 保有している現金は 68 億ドルです。 これは、店舗のレジや 銀行口座にある現金です。 2018 年1月 31 日時点でのウォルマート社の 総資産は、約 2,040 億ドルでした。 この約 2,040 億ドルの資産を 手に入れるための資金は、 どこから調達したのでしょうか。 それを説明するのが、 負債と純資産の一覧です。 一般的に、2つの資金源があります。 資金を借り入れる、 または株主から投資を受けます。 大きな資金源は サプライヤーズクレジットとなっています。 在庫品を信用で購入することが できるからです。 460 億ドルの買掛金と 440 億ドルの在庫は、 未払いの在庫の一部をウォルマート社が すでに販売したことを意味しています。 また、ウォルマート社は、 300 億ドルを超える大金を 長期で借り入れています。 しかし、最大の資金源である 850 億ドルは利益余剰金です。 利益余剰金とは、 新しい資産の購入資金として、 利益の中から社内に留保している金額です。 この利益余剰金は、 ウォルマート社が創業した 1962 年7月から蓄積されたものです。 これが貸借対照表であり、 資産、負債、純利益の一覧です。 つまり、資産と、資産を購入する 資金源を示しています。 ウォルマート社の負債と 利益余剰金を見ると、 これは適切な比率なのだろうかという 疑問が湧きます。 もう少し借り入れるべきだったでしょうか。 資金の構成は企業の財務における 重要な問題なので、 このコースの後半で説明します。

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