コース: 財務の基礎
最適な資本構成に影響する要素
最適な資本構成とは、 どのようなものでしょうか。 ビジネスの状況によって異なります。 少し考えてみてください。 所得税が高い場合、企業は資本構成のうち 借入金を増やすべきか、減らすべきか。 考え方はこうです。 税率が高いと、 支払利息の控除額も多くなります。 支払利息の控除額が多くなると 借入れの負担が少なくなるので、 もう少し借りたくなります。 ですから、所得税率が高い場合、 企業は資本構成における借入金の割合を 多くする傾向があります。 借入れの担保の質については どうでしょうか。 良い担保のある企業は、 借入金が多くなりがちです。 キャッシュフローの安定性については どうでしょうか。 キャッシュフローの安定性が高く、 予測可能な企業は、 より多く借入れできます。 安定したキャッシュフローは、 貸し手を安心させます。 キャッシュフローが不安定なら、 銀行は借入金を 少なくするよう要求するでしょう。 皆さんご存知のウォルマート社と グーグル社で説明しましょう。 この2社は異なる資本構成をしています。 ウォルマート社に 200 億ドル 融資したら、何に使われるでしょうか。 土地、建物、トラックなどの 有形資産を購入するでしょう。 ウォルマート社のビジネスに 何か悪いことが起きて返済ができなくなる、 最悪の状況を想像してください。 実際は、法律によりすべてを 失うことはありません。 200 億ドルの返済が滞った場合、 融資した側は土地や建物、 トラックの所有権を主張して、 200 億ドルの一部として回収できます。 ウォルマート社の資産は良い担保になるので もう少し多く融資してもいいでしょう。 ウォルマート社の資本構成は、 所有者から提供された資金は 40%だけです。 つまり 60%を借入れで賄っています。 グーグル社はどうでしょうか。 200 億ドル融資して、返済が滞ったら、 融資した人はどうするでしょうか。 厳しい状況です。 多額の資金が 使われてしまっているでしょう。 たとえば従業員の給与です。 研究開発費や、サーバーの購入にも 使われているでしょう。 グーグル社のビジネスモデルでは、 不測の事態に良い担保に なるものがありません。 そのため、グーグル社は長期的な資金調達の 77%を所有者による投資で賄い、 借入金は 23%に留めています。 グーグル社がレバレッジを 低くしているのは、この説明よりも もっと複雑な理由があります。 レバレッジが低いことで 財務的な柔軟性が増します。 詳しい理由は、グーグル社の 最高財務責任者に聞くとよいでしょう。 最適な資本構成はあるでしょうか。 あります。 また、レバレッジの最適なレベルは 企業の状況に応じて異なります。