コース: 財務の基礎

キャッシュフロー計算書とは

コース: 財務の基礎

キャッシュフロー計算書とは

3つ目の重要な財務諸表は キャッシュフロー計算書です。 これは新しい財務諸表です。 貸借対照表と損益計算書の歴史は 500 年以上ありますが、 こちらはまだ、30 年ほどです。 キャッシュフロー計算書はその名のとおり、 現金の流れを示す計算書です。 この計算書では、現金の出入りを 3つの分野で示します。 営業活動、投資活動、財務活動の3つです。 営業活動とはその会社が 日常的に行っている業務のことで、 顧客からの支払いによる現金の回収や、 従業員の賃金、家賃、光熱費の 支払いなどがあります。 投資活動には、事業の生産能力を 上げるための投資が含まれます。 投資活動は時折行われる活動です。 企業は、時々投資を行います。 新しい建物や機械の購入、 または古くなった建物や機械の 売却もあります。 財務活動は、資産の購入や事業の維持に 必要な資金を調達する活動です。 財務の基礎を学ぶうちに、 財務活動の重要性が 明らかになってくるでしょう。 現金は、資金の借入れや株主からの 新たな投資を通じて調達します。 また、株主への配当金支払いや 借入金の返済、株主からの株の買戻しなどの 活動によって、現金は出て行きます。 では実際のキャッシュフロー計算書を 見てみましょう。 ウォルマート社の 2018 年1月 31 日まで 1年間のものです。 最初に見るべき数値は、 営業活動によって入る現金です。 これは、企業の日常的な活動で 生み出される現金の額です。 2018 年1月 31 日までの1年で、 ウォルマート社の営業活動により 約 280 億ドルが生み出されました。 この現金でまず何をすべきでしょうか。 ウォルマート社は、生産能力の維持と 拡大のためにお金を使う必要があります。 つまり重要な投資活動である、 新しい土地、建物、設備、 トラックを現金で購入することです。 これを設備投資、キャペックスと呼びます。 2018 年1月 31 日までの1年で、 ウォルマート社は設備投資に 約 100 億ドルを支出しました。 営業活動で生み出したのは 約 280 億ドルです。 そのうち約 100 億ドルを、新しい土地、 建物、設備に費やす必要がありました。 残りの約 180 億ドルは フリーキャッシュフローと呼ばれます。 フリーキャッシュフローは、 その名前のとおりの意味を持っています。 企業が望むとおりに自由に使える現金です。 その額は、その企業の 財務的柔軟性を表します。 ウォルマート社はこれを 何に使ったのでしょうか。 それは、財務活動のところを 見ればわかります。 ウォルマート社は新たな借入で 現金を受け取り、以前の融資の返済に 約 130 億ドルの現金を使いました。 また、株主への配当金の支払いに 約 60 億ドルを使いました。 ウォルマート社は、この1年間に生み出した 余剰現金が多かったため、 約 80 億ドルの現金を使って 株主から自社株を買い戻しました。 重要な数値は、 営業活動によって生み出された現金で、 ウォルマート社の場合は 約 280 億ドルです。 企業の日々の営業活動による キャッシュフローがプラスの場合、 それはいい兆候です。 この数値がマイナスの場合は、 何か問題があります。 3つ目の財務諸表は キャッシュフロー計算書です。 一定期間における営業活動、投資活動、 財務活動を通じて企業に流入した現金と、 企業から流出した現金が記録されています。

目次