コース: 財務の基礎
資本構成の重要性
[ケイ]長期的な資金調達、所有者による 投資と長期借入についてお話しします。 長期的な資金調達は企業財務の骨格です。 ここに重要な問題があります。 長期的な資金調達を どのように組み立てるか。 所有者による投資、借入れを どれくらいにすべきか。 資金調達方法の組み合わせは、 会社の価値に影響するか。 リリーのアイスクリーム会社の例で 説明しましょう。 リリーには、アイスクリームの会社を 立ち上げるという夢があります。 そのためには2億ドル必要であると 計算しました。 これをどこから調達するのでしょうか。 わかりやすいように、 話をシンプルにしましょう。 土地、建物、設備など、 大きなものを購入するための 長期的な資金調達について考えます。 リリーの資本構成は、 所有者による投資と長期借入金で 構成されています。 2億ドルの長期的な資金を どう手当てするでしょうか。 資金の調達方法によって違いが 生じるかどうかが重要なポイントです。 借入れと長期投資、 それぞれいくら調達するか リリーは考えているでしょうか。 これが資本構成の問題です。 資本構成が会社の価値に影響するかどうか。 企業財務では、これが問題になります。 資本構成は価値に影響するでしょうか。 理解のために歴史をさかのぼりましょう。 資本構成の分析を最初に行ったのは モディリアーニとミラーで、 1958年のことでした。 彼らは、資金を借入れしても、 所有者から投資を受けても、 違いはないとしました。 企業の価値に影響はないので、 資本構成を気にする必要はないと 言ったのです。 彼らはいくつかの極端な想定に基づいて この結果を導き出しました。 彼らの数学モデルは、税金、倒産コスト、 人々の情報格差、ビジネスの妨げになる 経済摩擦がないという想定でした。 これは資本構成の基礎、 モディリアーニミラーの定理と 呼ばれています。 彼らはこの功績により、 ノーベル賞を受賞しました。 ここで現実の世界を考えてみると、 経済摩擦があり、取引コストがあり、 所得税があります。 後に彼らの仮定を緩和して 行われた分析では、 所得税を主な要因として、 コストと経済摩擦によって資本構成が 企業の価値に影響することがわかりました。 お金を借りた場合、 会社に資金を提供した人、 つまり融資してくれた人への支払いを 支払利息と呼びます。 これは重要です。 支払利息は所得税申告書に 課税控除額として計上され、 税金が少なくなるからです。 相手が投資として資金を提供した場合、 その人に返済するお金は 配当金と呼ばれます。 ほとんどの国で、配当金の支払いは 課税控除の対象になりません。 資金の提供者が貸し手であれば、 その人に支払う利子は課税控除の対象です。 資金の提供者が投資家である場合、 その人への支払いは配当金であり、 課税控除の対象にはなりません。 つまり、投資を使うべきではないのです。 資金の提供者への支払いは すべて税額控除の対象になり、 所得税の支払いが少なくなるため、 企業が資金を必要とした時は 借入れするべきです。 このように企業の資本構成では、 借入れによって所得税減額のメリットが 得られます。 また、それだけではありません。 企業がお金を借りるメリットの1つは、 返済や利子の支払いを行うために、 無駄遣いせずに効率的な運営をする 必要があることです。 借入金の多い企業は、 従業員に緊張感があり、 より厳しい運営が行われます。 従業員は楽しくない状況かもしれませんが、 所有者から見れば企業の価値が上がります。 しかし、借入金が多すぎると、 倒産の可能性が高くなります。 倒産手続きでは、 高額な弁護士費用がかかります。 また、倒産に瀕した企業は 経営が混乱します。 倒産手続きの間は長期的な マーケティング計画は考えられません。 最適な資本構成はあるでしょうか。 あります。 課税控除のメリットがあるので、 ある程度の借入金は必要ですが、 財政難のことも考えると 借入金は多すぎてもいけないのです。