コース: 財務部でない人のためのファイナンス

損益分岐点を計算する

前のレッスンで、 市場で生き抜くために全ての 経費を検討することを話しました。 では、市場価格が 2ドルのかき氷で儲けが出るのか。 難しい問題ですが、 そもそも質問が間違っています。 数字が苦手な人なら、 こうした間違った質問をするのも うなずけます。 正しい質問は、 何人に買ってもらえば儲けになるか、です。 明らかに100万人が かき氷を買えば儲かります。 10 人しか買わないとなると問題です。 何人買えば収支が合うのかは、 計算してはじき出すことができます。 固定費と売上高がちょうど 等しくなる点を損益分岐点と言います。 つまり、得も損もしていない収支が 合う時点ということです。 そのためには固定費を 把握する必要があります。 かき氷機やシロップ入れ、店舗、 冷凍庫、それに従業員の給与は 必要な経費です。 単純にこれらを固定費として説明します。 この固定費が月 3,000 ドルとします。 貢献利益は1個1ドル 50 セントでした。 貢献利益を固定費に分類すると 損益分岐点がわかります。 収支が合うまでかき氷を 何個売れば良いのか算出できます。 この例では 3,000 ドルを 1ドル 50 セントで割ると、 答えは 2,000 個になります。 かき氷を 2,000 個売ると、 固定費が払えるということです。 2ドルのかき氷で儲けがあるのかではなく、 1個2ドルで月 2,000 個売ることが できるか、と問うべきです。 月 2,000 個とは、 1か月休まず毎日開店し、 毎日 67 個売らなければならない ということです。 営業時間が毎日8時間として、 1時間に約 8.4 個 売らなければなりません。 時間帯によって売れたり 売れなかったりするでしょう。 でも平均で1時間に約 8.4 個売るのです。 かき氷事業を始める前に 知っておくべき数字です。 今度は近隣のかき氷店を観察して、 1時間に何人来店するか確かめます。 1時間に 20 人だとすると、 良いビジネスだということになります。 1時間平均で5人しか来ないとなると、 考え直した方がよさそうです。 店舗を借りて、かき氷機を購入し、 シロップ入れや従業員を雇う前に それがわかるほうが良いです。 この事業は儲かるかは、 客の人数次第ということです。 固定費と変動費を綿密に 分析すると必要な客数も割り出せます。 単に収支を合わせるだけが 目的の事業はないでしょう。 何の見返りもない事業を 始めるわけがありません。 儲けようとして始めるものです。 目標利益を計画に入れて、構いません。 例えば、月 2,000 ドルの収益を 目標に事業を開始するとします。 それを固定費として扱います。 つまり、月 3,000 ドルの固定費と 2,000 ドルの収益を足した 計 5,000 ドルを貢献利益が まかなうという考えです。 この 5,000 ドルを貢献利益である 1個1ドル 50 セントで割ると、 3,333 個になります。 つまり、平均して月 3,333 個、 それは毎日 111 個で、 8時間営業として1時間に 14 個売らなければ 2,000 ドルの 収益は見込めないということです。 月 2,000 ドルの収益を目標に 事業を開始すべきか。 数字に疎い人なら、たぶん大丈夫でしょう と言うでしょう。 でも少し頭を使い、 かかる経費を数字にして、 1時間に 14 個かき氷を 売ることができるか、 自分に問いただしてみるべきです。 できると分かれば、 その事業を始めてください。

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