コース: 経営幹部として意思決定を行うには

正しいデータを入手する

経営判断には多くのデータが必要ですが、 データ分析だけにとらわれると 際限がないので注意が必要です。 経営判断の際には、 複数のデータソースを参照しましょう。 社内のデータ、社外のデータ、 時には類似の事例を当たり、 異業種にも目を向けながら、財務データ、 顧客データ、業務の現状を把握します。 今後の方向性を決める参考となる、 信頼性の高い業界レポートは あるでしょうか。 データ集めを指示する際には、 どんなデータが、何のために 必要なのかを伝えるようにしましょう。 目的が明確なら、想定以上の情報源も 見つかり、よりよい答えが得られます。 指示が具体的であるほど、最適なデータを 手に入れやすくなります。 しかし、「これを証明するために、 このデータがほしい」と 限定してしまうのは問題です。 実際に必要なデータは、 別なところにあるかもしれません。 データは常に変化します。 過去のデータを見て、決定して、 終わり、ではないのです。 決定の最中や決定後も継続して データを集め、 必要に応じて決定内容を修正しましょう。 先入観のない第三者にも データを見てもらい、 場合によってはあなたの意図を伏せながら、 データをどう解釈するか聞いてみましょう。 別な角度からの見方が、 参考になるかもしれません。 データ分析に関する私の経験ですが、 大規模な顧客向けプロジェクトを 担当していたことがありました。 数百万ドルの IT 予算を投じて、 立ち上げた事業です。 当初のデータによれば評価は高く、 業績も急上昇していましたが、 少しすると、業績を示すデータが 急に下がりはじめました。 私たちはあえて動かず、 もう少しデータを待って、 検討を続けることにしました。 変化の理由や、数字の意味、さらに、 当初の決定にどれほどの影響があるかを 検討したのです。 幸にも、6か月後のデータでは 業績が好転していました。 通期でも事業は黒字で、 データの変動は、単に測定時期の 違いによるものとわかりました。 一定の期間、データを見ていくことで、 方向性が間違っていないことが 確認できました。 最初の判断を安易に変えなかったことは 幸いでした。 このように、経営判断にデータを 利用する際は、確かめたい事柄を明確にして 収集し、時系列でデータを把握し、 当初の判断が誤りとわかった場合に どんな判断をすべきかを意識しましょう。

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