コース: 経営幹部として意思決定を行うには

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ITシステムを導入する

ITシステムを導入する

次の例は、大規模な IT システム導入に関する経営判断です。 あるサービス企業が、 大規模なシステム導入を決め、 既存のシステムを、 まったく新しいプラットフォームに 入れ替える計画に、 1年半から2年で、数千万ドルの 投資を行うことになりました。 システムの導入には、社内のスタッフも 多数動員されることになっていました。 しかし、短期的目標と、達成への アカウンタビリティを明確に定める、 という経営判断の原則は、 守られませんでした。 計画の開始と、18 か月後の 運用開始予定日だけが告知され、 その間の予定は流動的で、 各段階の責任者も不明確でした。 第2の原則違反は、本来なら簡単に 意見を聞けたはずの 社内エキスパートを交えず、 密室で決定が行われたことです。 重要な判断局面で、各事業部門だけでなく、 IT 部門の関係者にさえも、 打診は行われなかったのです。 また、リーダーへのインセンティブが、 会社にとって正しい判断をすることではなく 計画通りに導入することに対して 設定されていたので、 そのプラットフォームが 会社にもたらす結果より、 運用を開始してボーナスを 受け取る努力が優先されました。 こうした多くの問題を抱えた経営判断の結果 プロジェクトは失敗に終わり、 数千万ドルの投資が損失に変わりました。 導入計画は撤回され、 社内システムはふりだしに戻りました。 ずさんな決定を主導した役員たちが、 全員留任したことも問題でした。 判断の甘さは誰の目にも明らかで、 経営陣への信用失墜につながりました。 社員もまた、 声を上げることを恐れていました。 すでに導入は進んでおり、 打てる手はないと知っていたからです。 それがさらに多くの問題を招きました。 多くの経営判断の原則が破られた結果、 巨額の損失が生じることとなりました。

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