コース: DevOpsの基礎

DevOpsの一般的な手法

アジャイルにおけるスクラムや エクストリームプログラミングのように 定型化した手法は、 DevOps にはまだ少ないのですが、 ここでは、比較的一般的な 5つの手法を紹介します。 まず、「ツールよりプロセス、 プロセスより人が先」と呼ばれる手法です。 まず仕事を担う人々を決め、 次に人々の仕事を順序立てる プロセスを決め、最後にそのプロセスを 実行するツールを選ぶというものです。 至極当然のようにも聞こえますが、 技術者や管理職は、 とかくその逆を行きがちです。 ツールの導入を決めてから、 プロセスや人を合わせようとするのです。 次は、継続的デリバリー、 略して CD(シーディー)です。 DevOps と同一視されがちですが、 それは誤りです。 開発、テスト、リリースを少しずつ 頻繁に行って、全体の品質と スピードを高める方法です。 調査によると、CD の導入によって、 計画外の作業とやり直しの時間は 22%減り、 修正時の故障率は3分の1に、 障害からの復旧速度は 24 倍になりました。 レガシー環境など、 あらゆる開発に使用でき、 プリンターのファームウェア開発現場でも 威力を発揮しました。 そして、リーンマネジメントです。 作業を細分化し、 WIP(ダブリューアイピー)と呼ばれる やりかけの作業を少なくして、 フィードバックループと可視化を使います。 調査によると、リーンマネジメントによって 組織全体の生産性と安定性は高まり、 燃え尽きが減って、 従業員満足度が向上します。 それから、変更管理です。 2005 年刊行の『見える運用』で、 運用の成功と変更管理には 直接的な相関があるという 研究結果が報告されています。 ただし、従来の厳密な変更管理体制には、 利益より弊害の方が多いことも確かです。 この点、『見える運用』では、 より簡易で実際的な変更管理の やり方を紹介していて、 脆弱なアーティファクトの削減、 繰り返し可能なビルドプロセスの作成、 依存関係の整理、継続的な改良の 環境作りを重視しています。 紹介する手法の最後は、 インフラストラクチャアズ コードです。 近年、システムもコードのように 運用管理できることがわかってきました。 システムの設定を ソースコントロールに登録し、 ビルドや自動テストで コードレビューを行い、 そのコードを実行することで システムを構築し、 管理するという方法です。 設定をコード化することで、 それまで人の手で直接作業していた システムのコンパイル、稼働、停止、 管理が自動化されました。 言わば、サーバー管理をペットの世話から 畜産業的なものに変えたのです。 これら5つの手法は、 DevOps 導入の実践的な助けになります。 「ツールよりプロセス、 プロセスより人が先」、 継続的デリバリー、リーンマネジメント、 『見える運用』方式の変更管理、 インフラストラクチャアズ コードの 5つです。

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