コース: デーヴィッド・レスペランスのデジタル背景アート

デーヴィッド・レスペランスのデジタル背景アート

コース: デーヴィッド・レスペランスのデジタル背景アート

デーヴィッド・レスペランスのデジタル背景アート

ゲームで遊んだり映画を観るときはいつも 背景や景観、セットに 目が行きます 昔から壮大な3次元に とても魅力を感じていました キャラクターは素晴らしいのですが 私にはどうもピンときませんでした 3次元のものを作成する時 技術的な制約や制限というものが数多く存在します 左脳も右脳もフル活用させる必要があります デーヴィッド・レスペランスのデジタル背景アート 私の個人的なアート作品はすべて研究の一環なのです 新しい何かを試し学ぶために制作しています 私としては研究や制作過程の方が 結果としての作品よりもはるかに興味深く感じられます 自分の技術を活かして 作品を作れば生活費の足しになる というのが通常の仕事なのですが 個人的な作品やそうした類は自分だけのものです やればやるほど技術が上達していきます 作品が完成しているか未完成かどうかは あまり重要ではありません 作品を見て“完成した”と思っても 数カ月後に見直してみると必ずと言っていいいほど悪いところが山ほど見つかります 他人のポートフォリオを見る時最初に尋ねることがあります “いいね。プロの作品として良い出来栄えだ― 素晴らしい。ところで個人的な作品に関して聞かせてほしい― どんなアイデアを持っていますか?” すると‟まだ何も完成していません”と言ってきます ‟未完成のままでもいいので―見せてください ‟実験段階でも構わないので―見せてください”とお願いします ♪~ ゲーム環境を作成していればこうした状況を体験します 正しい方向性で制作していると確信を持ちたいのです 見た目ものすごくカッコいいSF風の柱を作成しても 気づいたらキャラクターがその場所を 通れないことは避けたいはずです そこでグレーボックスから始めます こうすることで早い段階からアイデアを確認できます まずカメラを念頭に置きながら初期段階のシーンを配置します とてもシンプルで全て箱でできています 自分の中で構図が固まり ライティングに着手できようになるまで このままの状態で進めます パーツごとに作業をしてインスタンス化できるとします これはMaxの中でもかなり楽しい作業です 例えば、これがジオメトリのホールドアウトだとします このシーンには5つか6つのインスタンスがあります その中から一つを取り出して別のMaxのシーンで作業します 作業を進めてある程度形に満足したら 3D Studioに戻り グレーボックスのジオメトリと新しいアセットが出来た こちらからポリゴン編集モディファイアを設定し インスタンスの所定の場所に移動させます それからその位置に固定します インスタンス編集可能なポリゴンなのでこれがどうなるのかというと ジオメトリは他のボックスすべてに反映されます 初期レイアウト シーンの初期グレーブロック これらを正しく使い活用すれば 大幅な時間の節約になります 構成が固まったら文字通り ‟このボックスがこの素晴らしい―機械の収納箱になります”といった具合に 説明できるようになります ♪~ 私は従来のハードサーフェス系のCGIモデリングと ゲームを意識したモデリングを融合できないかと 考えていました 基本的に私は他にも応用が効く ジオメトリはないだろうかと考えながら作業しています この床は一見ソリッドメッシュのようですが 実はメッシュのパーツの集まりです これも同じように一見小さな機械の部品のようですが もっと小さな部品の集まりです パーツの内側に入れたりさらに大きなパーツを作ったり 反転させてまったく別の物に見えるようにもします こうしたシーンを構築する上で気に入っていることが他にもあります 3ds Maxの中にあるNitrous ビューポートを 使うと素敵な影アンビエントオクルージョンのプレビューができます ライティングを使うと物体の見え方が大きく変わります 影の中に物体を配置することであっという間に重複した部分を隠すことができます パーツを分割してみたり集めてみたりと色々なことができます ライティングを意識しながらモデリングをするのは非常に大切だと実感しています あらゆる光がこちらの窓から差し込んでくるので 早い段階で影がどのように見えて マテリアルがどのように見えるのかを知っておく必要があります これだけはどうしても避けることができない部分です モデリングを続けて 完成目前で窓の大きさが全然違うことに 気づいたのであれば大きな痛手になります なので私はシェーダーを設定して こうしたアセットに対して とても基本的なUV展開をします ほとんどの場合 環境を構成するパーツがUVに掛かりきりにならなくて済むのであれば間違いなくそうします 物事の見栄えを大きく左右するものは 細部にこだわって作り込むことではないのです それでは見栄えは良くなりません ライティングやシェーダーとの相互作用であり タイルのテクスチャを物体に貼り付けたり UVにボックスプロジェクションを貼り付けたりするだけで 十分に役割を果たしてくれることが分かります 9割方はそれだけでかなりよく見えます 細部に注目して部分的に修正する必要があれば 修正してもいいのですが 私の場合はできる限り大枠から取り掛かるようにします UVに時間を割かなくて済めば 他の作業に取り組む時間が取れるようになります ペイントや2Dペイントの作業をしている時 Z-Depthパスと呼ばれる機能を使うことができます フォグパスとも呼ばれていますが まるで空間がそこにあるかのような感覚や奥行を作り出します ゲームはあらゆるところでこれを使っています オブジェクトの呼び出しや被写界深度 シェーダー効果に使われたり様々なところで使われています ♪~ だからこそ自分の専門分野以外にも目を向けるように伝えています モデリングしか知らなければ視野が狭くなってしまいます ひたすら高ポリゴンのモデルを制作するだけの作業ラインもあります テクスチャも作らずUV、その他は気にしなくてもいい 私としてはそれでは足りません こうした作業ではシーンや3次元環境を完全に作り上げることはできません セットは無数の要素が互いに影響しあいます ゲームであれば衝突を考慮しなければいけませんし ゲームプレイもそうです ライティングも考慮する必要があり実行時のパフォーマンスを無視できません これらすべてが同時発生します 自分の専門分野以外で考慮すべきことが多くあり そこまで思いを馳せることで 作品は何千倍も素晴らしいものになります こうしたものを取り入れなければ 味気ないものになってしまいます ♪~ 自分の持てる限りの知識を共有しようとすることが大切なのです 自分の技法や分析を披露するだけで 自分自身が成長します 他人に何かしら自分のやり方を 詳しく伝えること これは実際に教えているチュートリアルの1つです どうやってジェットエンジンを完成させるのか 具体的な構築の仕方についてこれまで多くの質問を受けました 私はこのモデルを個人的作品として制作している関係で ゲームで使う場合に比べて5倍ほど細部にこだわっています このモデルに隠された意図はオブジェクトに対してどれだけ細部を 作り込めて、レンダリング時に細部がどうのような影響を 及ぼすかを見極めるためです ボルトや反射といったものには 挿入やエッジ衝突スレッディングなどが発生する場合があり レンダリング時にならないと分かりません ここからはアーティストの判断に委ねられ “これはやるだけの価値があるのか” “制作途中だからやらないほうがいいのか” “使い回しのきくパーツで作った良いエンジンを使えば十分だろうか”といったことを判断します ♪~ コミュニティにおかげでアートの質はどんどん高まっています 1週間もすれば誰かが よりカッコ良いロボットや洗練された3次元 より良いエフェクトを作り出し進歩は留まるところを知りません ある種の競争であり 競争心に加えて他人に役立ちたいという意志のおかがで 現在のレベルまでアートの質が高まったのは間違いありません “アートステーション”は一番盛り上がっているアートフォーラムの一つです かなりの割合でZBrush Centralを使い込んでいます 非常に意欲的なコミュニティなので 素晴らしい作品や刺激になる作品を見つけるのは難しくありません ♪~ テクノロジーやツールの変化は目まぐるしく 作品に取り組むたびに新しいものを学ぼうとしています 多くの人々は成功を 一朝一夕で勝ち取ったように考えがちですが 私は決してそう思いません 私は常に学んでいます 一般的にアートはとても複雑で 作品が持つ一面や取り組みを 一生涯かけて理解しようとするものです これから何年も掛けて理解することになりますが 良いアーティストや 最高のアーティストになることばかり考えていては本当の意味で成長できません 今の私があるのは数多くのチュートリアルに取り組み やり終えたからです おかげでここまで来ることができました だからこそ、モデリングを勉強し 新たな分野に挑戦している学生らの役に立てれば幸いです この業界全体にとって利益があると思います 時にそういった人からメールを受け取り “チュートリアルがすごく役立ちました” “自分のポートフォリオに入れてみます” “学んだ事を仕事に活用したら上司がとても気に入ってくれました- ありがとうございます”というメッセージを読むと 素晴らしい気分になります

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