コース: クリティカルシンキング

なぜなぜ分析を活用する

コース: クリティカルシンキング

なぜなぜ分析を活用する

クリティカルシンキングの手法の中でも、 なぜなぜ分析は特に効果的です。 アナリストとして働いていた若いころ、 私は大量の情報の分析を担当していました。 ある日の午前中、あるクライアントのために データを分析していました。 その日の昼食時に、マネージャーと 仕事の話になりました。 私がある支出を分析していたことを伝えると 「それで、何かわかった?」と聞かれました。 気づいたことについて説明すると、「なぜ そうなっていると思う?」と聞かれました。 「おそらくこうだ」と答えると、「なぜ そうなっているのか?」とまた聞かれました。 しばらく考えて「こうかもしれない」と 答えると、再び「なぜ」と聞かれます。 どうして何度も「なぜ」と聞くのかと 質問すると、彼はこう言いました。 「私たちの仕事はクライアントの 役に立つ洞察を得ることです。 最初の答えに満足してはいけない。 なぜと問い続け、 本当の原因を理解する必要がある。 4回か5回問いかけることで 洞察が得られるのですよ」 これがなぜなぜ分析です。 この日以来、私はこの手法をとり入れ、 分析する時には 必ず「なぜ」と問うようになりました。 なぜこのような数値になるのか、なぜ それが起きているのか、ではそれはなぜか。 このように繰り返し問うことで、 優れた解決策につながります。 例を使って説明しましょう。 クライアント企業の役員に「株価がたった今 急落した」と言われたとします。 早速質問します。 「なぜ急落したのですか」「利益目標を 達成できなかったから」「なぜですか」 「商品の値引きをしすぎたから」 「なぜ値引きをしたのですか」 「顧客をつなぎ留めたかったから」 「それではなぜ値引きをして 顧客をつなぎ留めたいのでしょうか」 「市場シェアを拡大したいから」 「なぜ拡大したいのですか」 「それは管理職や事業部長のインセンティブが 市場シェアに応じて変わり、 シェアが大きいほど増えるから」 「では、インセンティブ制度を変えたらどうですか」 株価が下がった原因が、利益目標の未達成や 過剰な値引きにあると判断するだけでは、 役立つ洞察は得られません。 なぜを繰り返し問うことで、根本原因に たどり着くことができるのです。 そうすれば問題を解決でき、 組織に良い効果をもたらせます。 なぜを繰り返した先に、優れた解決策が待っています。 皆さんが取り組んでいる問題について、 なぜを何度も繰り返し問いかけて、 深く考えてみてください。 なぜを4回か5回繰り返したところで、 本当の問題が浮かび上がります。 そこで初めて、組織にとって本当に効果的な 解決策を考えることができるのです。

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