コース: クリティカルシンキング

根本原因を見つける

コース: クリティカルシンキング

根本原因を見つける

問題を定義するとき、 最後にもう1つ考えるべきこととして 因果関係があります。 前のチャプターで、 原因と結果について説明しました。 問題を定義する時に最初に考えることは、 原因と結果でした。 ここで重要なのは、問題の一部の要素が、 ほかの問題あるいはほかの要素から 派生していないかを考えることです。 この問題は、組織内のほかの問題と どのような関連があるのか。 問題の本当の根本的な原因は何か。 解決すべきことは根本的な問題であって、 現象ではありません。 初めからそれを目指します。 表層の事象を解消しても深いところに ある問題は解決できないのです。 根本的な原因に近づくほど、 組織内で将来発生する危険がある問題を 効果的に防ぐことができます。 解決策の案を見出したら、その影響や 効果などの結果について考えます。 組織、顧客、競合他社には どのような影響があるでしょうか。 この変更を行ったら、ほかの人たちは どんな行動をとるでしょうか。 何が起き、そのことが何を起こすか 時系列で把握できますか。 これを実行したらこれが起き、 するとその後こうなる可能性がある、 といった流れを記述すると、直面する 可能性がある結果の予測に役立ちます。 その予測が望ましくない場合は、 将来そのような問題が発生しないよう、 最初の段階で回避できます。 原因と提案する解決策の影響を 把握することは、本当の問題の解決に役立ち、 意図しない悪影響を 回避することにつながります。 前述の例で言えば、 代行業者の手数料の変更を考えた時、 私たちは報奨金の不統一が 本当の問題であったことを理解しました。 この問題には2つのチームが 取り組んでいました。 1つは私のチームで、集金全般の 成績を上げようとしていました。 もう1つのチームは 取引業者管理チームでした。 このチームは、代行業者に支払っている 金額を削減する目的で、 金額の算出に使用する指標を 変えようとしていました。 双方の目標は相反していたので、 その対応として、 両方のチームが結果を出せるよう、 チームを1つにまとめ、 明確な目標を1つ設定しました。 解決策は代行業者に支払う手数料を 変更することでした。 支払う金額を増やすことで、 業者が請け負っていた競合他社の仕事よりも 当社の仕事を優先してもらおうと 考えたのです。 短期的には効果はあるでしょう。 業者は当社の仕事に重点的に取り組んで 成績を上げ、副次的な効果として 競合他社を軽視するようになるはずです。 しかしその影響を考えてみると、 このような変更を行ったら、 そのことを知った競合他社も すぐに同様の変更を行うでしょう。 価格競争になると容易に想像できます。 手数料を上げたら、他社も手数料を上げる、 そこで当社がさらに上げたら、 他社も上げるはずです。 このような事態を回避する解決策を 導き出す必要がありました。 時間を取ってクリティカルシンキングを 実践することで、 ステークホルダー全員のニーズを満たし、 悪い影響も回避できる、 より適した解決策を見出せました。 問題解決のためには、因果関係について じっくり検討してください。 問題の本当の原因、 生じる可能性がある結果を考えます。 そしてその考察の内容を問題記述に書き出し、 解決策を検討する時に念頭に置きましょう。

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