コース: クリティカルシンキング

原因と結果を特定する

コース: クリティカルシンキング

原因と結果を特定する

クリティカルシンキングでは、最初に 原因と結果について考えることが大切です。 問題解決を行おうとする時、 私たちは、すぐに着手して短期間で 解決したいと思いがちです。 そうすればステークホルダーの要望に 迅速に応えているような気になるからです。 でも、考えてみてください。 1つの現象を解決したら、その後で 別の現象が現れたことはありませんか。 解決策を実行したのに、別の新たな問題が 発生したことはありませんか。 クリティカルシンキングのプロセスでは、 最初に原因について考えます。 問題となっている現象に注目し、 それが起きている本当の理由を探ります。 また、複数の視点から その現象について考えてみます。 解決策を考えたら、立ち止まり、 批判的な視点で再検討します。 その解決策を実行したら、新たな問題が 発生する可能性があるでしょうか。 新たに起こる現象は何でしょうか。 解決策を実行に移す前に、 これらの点についてよく考えます。 例を使って考えてみましょう。 ある企業では顧客向けのウェブサイトを 刷新しようとしていました。 問題点は、ウェブサイトの展開とリリースの 期限に何度も間に合わなかったことでした。 原因と結果について考えてみましょう。 ウェブサイトを展開できなかった 原因は何でしょうか。 コーディングが遅れました。 しかしこれは現象です。 理由は何でしょう。 仕様が決まらなかったからです。 これも現象です。 なぜ仕様が 決まらなかったのでしょうか。 それは新しい機能について 合意が取れていなかったからです。 さらに追及します。 このことはなぜ発生したのでしょうか。 ウェブサイトの展開方法に 関する重要な戦略的判断事項について、 上層部から明確な指示がなかったからです。 これがすべての問題の原因であり、 ウェブサイトを展開できなかった理由です。 ではここで、戦略的判断が下された場合の 結果についても深く考えてみましょう。 上層部は既存顧客にだけウェブサイトを 公開することに最終決定したとします。 この場合、新規顧客の登録には ウェブサイトではなく、 電話を使うことになります。 この判断の結果と、新たに発生する 可能性がある問題を考えてみます。 新規顧客は今後、コールセンターに 電話をかけることになります。 するとコールセンターへの電話が増加し、 コールセンタースタッフへの負担は 増えることになります。 この結果として、既存顧客に対する サービス品質は低下します。 以前より対応が遅れるのです。 その結果、既存顧客を失う危険性が生じます。 いったん立ち止まり、まずは原因を考え、 解決策が見つかったらその結果を考えます。 こうすることで、 解決する必要がある本当の問題を見極め、 うまくいけば将来発生する 問題を回避できます。 問題解決では、原因については 後ろを振り返って考え、 解決策に伴う結果については 先を見越して考えます。 皆さんが現在取り組んでいる問題について、 このクリティカルシンキングの考え方を 実践してみてください。 まずは原因です。 時間を確保し、問題の本当の原因が 何かを考えます。 現象ではなく、解決すべき問題が 明らかになるまで突き詰めて考えていきます。 そして、解決策を考えたら、 そこで生じる結果についてよく考えます。 解決策を実行した場合に、 新たに発生しそうな問題は何でしょうか。 問題をうまく解決できなかった経験を 思い返してください。 失敗した原因は、根本原因を 特定できなかったからでしょうか。 それとも、解決策で生じる結果の 予測に失敗したからでしょうか。 問題解決にあたっては、 クリティカルシンキングを活用し、 時間を取ってこれらの事柄について 検討しましょう。 こうすることで、本当の問題に対する解決策を 導き出せるようになり、 それが生み出す結果についても 把握できるようになります。

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