コース: 説得力のあるビジネスプレゼンテーションを行うには

論理と情緒のバランスを取る

コース: 説得力のあるビジネスプレゼンテーションを行うには

論理と情緒のバランスを取る

アリストテレスは人を動かす3要素を、 倫理的アピールのエトス、 論理的アピールのロゴス、 情緒的アピールのパトスと呼びました。 プレゼンテーションの準備で 紹介したように、信頼は聴き手との 信頼関係や親しみの構築に関係します。 ここでは残り2つの論理と情緒の バランスを取りながら主旨を作り上げます。 論理的アピールから始めましょう。 この部分は聴き手が主旨と根拠を 思い起こせるような視覚資料と 言葉の設計に関わるものです。 主旨のロードマップだと 考えてみてください。 聴き手に最終目的地とそこへの 行き方を知らせる必要があります。 設計に役立つ質問を紹介します。 プレゼンの流れは結論に帰着しますか。 プレゼン全体を通して、 テーマが言葉で語られていますか。 たとえばケイティのテーマは信用です。 すべての要点を支えるものなので、 導入と締めの両方で伝えます。 要点は論理的な順序で円滑に 移行するようになっていますか。 論点Aを振り返って論点 B につなげ、 論点 B の概要を紹介してから 内容に入るという具合です。 すべての要点には明確な根拠がありますか。 説得ではなく情報提供の プレゼンであっても、知識を備え調査を してきたことを示す必要があります。 論理的アピールは、関連性があり 信頼できる最新の情報源から得た統計、 研究、グラフ、アンケートなどの根拠で さらに強力になります。 最後は、次のステップの説明です。 要点を確認したら、次のステップや そのほかのリソースを挙げて 論理的アピールを締めくくります。 ケイティの例では、何があるでしょうか。 経営陣がブラジルで人脈を作るにあたって、 連絡が取れるブラジルの専門家を 挙げておきます。 サプライヤーを数社探して、 関係構築に着手することもできます。 ブラジル参入において、 パートナーとなるアメリカの業界専門家を 調査してもよいでしょう。 プレゼンでは、締めで同じ情報を出すと プレゼンの論理的アピールが強まり、 組織のために考え抜かれた プレゼンができます。 次に、情緒的アピールを説明します。 アリストテレスは 「情緒を教育することなしに 知性を教育することは、 まったく教育とはいえない」と言いました。 これは彼の名言の中でも プレゼンに役立つ言葉です。 論理と情緒のバランスの必要性について 述べていますが、 特に情緒を強調しています。 プレゼンの計画では、 次のように情緒を伝えることを 検討しましょう。 感情を出す。 声の調子やボディランゲージ、 エネルギッシュな態度で、 題材への関心の高さと 熱意を示す必要があります。 前に、言葉以外の表現に関する メラビアンの法則を紹介しました。 主旨の大部分はボディランゲージと 声の調子で伝わります。 堂々とした態度を取りましょう。 大きなジェスチャーを使います。 アイコンタクトをしながら 身を乗り出して関心やつながりを示します。 物語や背景の説明では、 声の抑揚を変えます。 注意を引くために声を大きくしたり 小さくしたりします。 話す速度を操ります。 ときには早口も役立ちます。 熱量が伝わりますし、 間を置いてゆっくり話すタイミングが 分かれば効果が出ます。 確信を持って話しましょう。 ポジティブな口調で熱意を示し、 題材への自信を見せます。 情緒は重要ですが、 聴き手の状況を常に考えて情緒の強さが 適切になるようにしてください。 情緒を示す最後のポイントは 顔の表情を付けることです。 無理のない範囲で生き生きと動かし、 驚きの事実なら驚いた表情にします。 恐れの表情も見せます。 懸念も同様です。 意味は言葉以外の表現によって 素早く伝わります。 顔や体でその言葉を表現できていなければ、 聴き手の心に届けることはできません。 情緒を伝えましょう。 心に響く物語です。 実際の体験やニュースで最近読んだ 物語を選びます。 必ず主要テーマと結びつけ、 聴き手がついていけるようにします。 物語が思いつかない場合は実例を使います。 表現を賢く選び、生き生きと 目に浮かぶような言葉を探します。 たとえば、「きちんとした人」と言うのと 「とても感じのいい人」と言うには 違いがあります。 「固い握手」と「しっかりとした握手」、 「意地悪な人」と「辛辣な人」も違います。 物語と例の両方を使用して、 聴き手に適した例を見つけてください。 私の場合、経営者を対象とした例は 大学生には響きません。 言葉というツールを使って 内容の魅力を高めます。 ウィンストン・チャーチルは力強い表現の 考案者で、単語の頭の音を揃えたり、 繰り返しを使ったりしました。 たとえば「面白い題材を選びました。 興味深い題材を選びました。 皆さんに関係がある題材を選びました」 のようにです。 私なら講演の導入部としてそれを使い、 概要をその場で掴んでもらうようにします。 対照法もあります。 「ギリシャ人は英雄のように戦わない。 英雄はギリシャ人のように戦う」 チャーチルの名言の中で私の お気に入りのひとつです。 ユーモアとウィットが必要ですが、 プレゼンの内容に合っていて 得意であれば使ってみましょう。 プレゼンの構造を作る段階のまとめとして、 内容に追加できる論理と 情緒のリストを作りましょう。 ワークシートを活用して、 手順を学んでください。

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