コース: 説得力のあるビジネスプレゼンテーションを行うには

信頼を得る

エトスは特質を表すギリシャ語です。 アリストテレスは聴き手から 信頼を獲得して影響を与える方法として、 倫理的アピールを挙げました。 話し手の信頼は範囲が広い内容ですが、 信頼は話し手のブランドとなります。 信頼は認知、行動、態度に 分解することができます。 それらを聴き手に与えられる印象について 考えてみましょう。 認知から始めましょう。 あなたが外部の人間であれば、 組織内で聴き手から信頼され 尊敬されている人から 紹介してもらうと効果的です。 それができない場合は事前に 聴き手の誰かに連絡してみます。 自己紹介をして、 題材について相手の関心を探ります。 聴き手を知る機会を得て、 プレゼンテーションを修正できます。 関連性の高い情報を用意し、 外部者という認知に うまく対処することが目標です。 ケイティの場合は、過去のプレゼン、 社内での評判、経営陣との間で 築いた仕事上や個人的な関係など すべてが彼女のブランドを 作り上げています。 信頼できる行動は見えやすいものです。 話し手はプレゼンの前後に、 書面によるコミュニケーションを通じて 自分への信頼を築きます。 プレゼンの前後のやり取りにかけた努力、 タイミングと内容の質、題材に関する 調査の充実度すべてが信頼につながります。 信頼できる話し手は、 題材について偏りのない最新の調査を 十分に行い、根拠を持って話します。 話し手が聴き手を分析して それに合わせたプレゼンをすれば、 それだけ聴き手からの信頼を得られます。 外部の話し手が、発言の始めに 「御社の年次報告書に記載されている…」 と話すとします。 すると、聴き手への関心とつながりを 示すことになり、信頼を獲得できます。 一方、話し手への信頼を損なうのは、 話の間に 「えー、あー、えーと、そのー、まあ」など 不必要な言葉を挟んで 気を散らせた場合です。 こうした言葉を使う傾向にある人は、 意識的に間を取って話すようにしましょう。 ケイティの場合は、 質問をするときのように語尾を上げて 話さないようにする必要がありました。 語尾を上げて話すと、 確信なく話しているように聞こえます。 あいまいな言葉も避けるとよいでしょう。 のような、みたいな、感じる、 らしい、思われる、などです。 こうした言葉をはっきりした言葉や事実、 「調査によると」などで言い換えます。 最後に、信頼は言葉以外の表現で 判断されます。 1970 年代に、心理学者の アルバート・メラビアンは 主旨の意味が受け手によって どう解釈されるかを調査しました。 その調査で、メッセージの 93%は ボディランゲージ、ジェスチャー、 表情、声の調子など言葉以外の表現によって 伝わることが分かりました。 近年これらの調査が検証され、 第一印象はやり取りを始めて 最初の7秒から 17 秒の間に 決まると統計で示されました。 外部から行く場合でも ケイティのような社内プレゼンの場合でも、 題材に対する関心の深さ、 しっかりとした握手、 大らかなボディランゲージ、 自信のある態度、 アイコンタクトのすべてが あなたのブランドにつながります。 プレゼンにもそれを活かしましょう。 専門知識と能力を示し、聴き手との 関係を築きたいものです。 「エトス」が「特質」と訳されているのは 偶然ではありません。 他者に与えた印象が自分のブランドに 影響すると考えたことはありますか。 プロジェクトファイルに信頼に関する 資料がありますので、 ぜひ参照してください。

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