例：IT企業の負債比率の比較

さまざまな負債比率を、 どう適用するかを説明します。 IT 業界のビッグフォー、 マイクロソフト社、Google 社、 Apple 社、アマゾン社を 例に説明します。 各社の貸借対照表からわかる情報を見ます。 そこから得られる多くの情報について、 明らかにして行きます。 まず、Google 社、マイクロソフト社、 Apple 社の資産は、 40%から 60%が投資有価証券です。 Apple 社の場合、投資有価証券が 2,000 億ドルを超えています。 これは Apple 社が 他社に投資したお金です。 この値を取り上げた理由は、 Apple 社に 930 億ドルの 長期借入金があるからです。 Apple 社は銀行から 1,000 億ドル近くを借入れています。 なぜ投資有価証券で 賄わなかったのでしょうか。 なぜそれらを 現金にしなかったのでしょうか。 ここでは詳しく説明しませんが、 ポイントを指摘しておきます。 Apple 社はただ同然で資金を借入れでき、 市場が高値で安定しているため、 最近の投資ポートフォリオは かなり良い状況です。 この表にはさまざまな負債比率が 示されていますが、 ここでは最も一般的なレバレッジの 指標を取り上げます。 まず気付くのは、Google 社の負債比率、 負債資本比率、 自己資本比率が低いことです。 これらの比率は、どれも同じものを 少し違うやり方で測定したものなので、 方向性が同じになるのは当然です。 どの値も、他より低くなっています。 肝心なのはここです。 どの値を見ても Google 社の レバレッジは低くなっていますが、 Google 社の低い負債資本比率と、 Apple 社の長期資産負債比率を 比較しないように注意する必要があります。 数値であることは確かですが、 使用している尺度がまったく異なります。 たとえば、誰かが温度は 22 度だと言ったとします。 この温度が暖かいか寒いかは、 尺度によって異なります。 華氏での温度だったら、 22 度は氷点下になります。 コートを着たほうが良いでしょう。 しかし、摂氏での温度だったら 22 度は室温として快適な温度です。 単位がケルビンだったら、 冥王星よりも少し寒いぐらいです。 同じ 22 という値でも、 尺度によって意味が異なってきます。…