コース: 企業の財務諸表分析

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1つの理由に固執しない

1つの理由に固執しない

業績が良いこと、 または悪いことの要因は ひとつではないことがよくあります。 小さな問題が重なって、 とても大きな問題になることも よくあります。 ゼネラルモーターズ社を例に 考えてみましょう。 同社は 2009 年に一度破産しました。 原因は複数ありました。 ひとつは、社内の部門同士が 連携していなかったことです。 無駄なコストが発生していました。 また、石油価格の高騰など、 外的要因の影響も加わりました。 さらに、退職者に手厚い年金や 医療保険を提供していました。 たとえば、一時解雇された労働者に、 仕事がなくなった後も給料を 払い続けていました。 外国の競合企業との競争にも直面し、 問題が山ほどあったのです。 ゼネラルモーターズ社の破産の原因は ひとつではありません。 財務諸表分析から、 原因をひとつに絞って 探そうとしてもうまくいきません。 問題は複数であることが多いからです。 また、関連の薄い情報に とらわれてしまう落とし穴もあります。 財務比率の分析では、 過去の数字を参考にして将来を予測します。 より関連性が高いのは、 遠い過去よりも最近の数字です。 見てください。 ウォルマート社は売上が 大幅に増加しました。 2000 年の 1,530 億ドルから、 2019 年には 5,150 億ドルに増加しました。 しかし、2000 年から 2009 年の 売上成長率を、直近の 10 年、 つまり 2010 年から 2019 年の 売上成長率と比べると、 将来の売上成長率について まったく異なる結論が出ます。 2000 年から 2009 年にかけての ウォルマート社の年間売上成長率は 平均 12%です。 しかし、2010 年から 2019 年にかけては、 平均で 2.5%ほどです。 ウォルマート社の来年の 売上成長率を予測する場合、 参考にすべきは 20 年前の 成長率でしょうか、 それともここ数年の成長率でしょうか。 私は、将来を予測するときは、 過去3、4年の数字を 参考にするのが適切だと考えます。 過去を参考にして将来の予測を 立てるときは注意が必要です。 関連性が高いのは、最近の情報ですから 将来を予測する際は、 過去を遡り過ぎないことです。 財務諸表分析は慎重に行いましょう。 適切に行えば、有益な情報が得られます。

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