コース: ビッグデータの基礎:手法と概念

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機密性の問題について

機密性の問題について

ビッグデータで個人が 特定されないようにする匿名性の重要性と、 難しさについて解説しましたが、 個人の特定を防ぐ匿名性と並んで、 プライバシーの重要な要素 となっているのが、 非公開情報の機密性です。 簡単に言うと、個人を特定できるか どうかに関係なく、自分のデータが無断で 他と共有されないようにすることです。 機密性は、取引に欠かせない 信頼の問題です。 私は複数のネット業者に カード情報を登録しています。 登録しておけば簡単に取引できることと、 相手業者を信頼していることが理由です。 ただし、機密性には例外や 限界もあり注意が必要です。 まず、取引を行う企業は 一部の情報を外部と共有しています。 たとえば、高額の買い物では、 購入者がその支払いに十分な残高を 持っているかを業者から銀行に 照会することがよくあります。 資金的余裕と呼ばれ、 銀行からの回答は、あり、なしの2択です。 口座番号をはじめとする個人情報や 具体的な残高などは含まれず、 照会された額を支払える資金が あるかどうかだけの、 非常に限定的な情報共有です。 とはいえ、企業から情報が 盗まれることもあります。 カード情報や住所などの重要な 個人データが盗まれる事件は 複数の企業で起きており、 情報の安全性への信頼を失った結果、 業績を大きく悪化させる企業もあります。 機密性のもう1つの限界は、 企業が保有する情報を裁判所や政府当局に 提出するよう命じられる場合です。 従わないと事業の存続に関わる 恐れもあり悩ましい局面ですが、 実際にたびたび起きています。 問題は、これが法的手続きの一環 でありながら、利用者が本来同意していない 開示であることです。 形の上では合法でも、 信義には反するわけです。 そこで求められているのは、 データの共有を全廃することではなく、 より注意深く扱いながら 有益に活用する道です。 全米科学財団と米国立衛生研究所は、 研究に携わる各チームに対し、 研究データを公開するための 具体的な体制整備を義務づけました。 また、データ流出による企業の損害を カバーする保険も登場しました。 それほど一般的ではないものの、 1つの選択肢といえます。 最後に、個々の機密情報が 自社にとって本当に必要かという点も、 検討に値します。 持たないものは、失う心配もありません。…

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