コース: AutoCAD LT 2020 基本講座:注釈と図面

図面尺度の考え方を理解する

AutoCAD LT で図面を作成する際に 図面尺度に関係する設定項目が 数多くあります。 その設定を理解することで 異なる尺度を持つ図面間での データのやり取りや 図面尺度の変更など 様々なケースで柔軟に対応することが できるようになります。 では具体的に紹介します。 例えば用紙サイズが A3 で 図面尺度が 1/2 の場合は どうするかを考えます。 ここで2つの方法を紹介します。 まず1つ目の方法は 手書き図面を作成する場合と同じ様に 対象物の大きさを変えます。 つまり 200 ミリの物は 100 ミリで作成します。 ただしすべての図形を 三角スケールを使用して作図したり 計算しながら描くのは大変です。 ですので2つ目の方法は 対象物を実物大で作成します。 つまり 200 ミリのものは 200 ミリで作成します。 そして印刷をする際に 1/2 に縮小します。 これにより印刷された用紙上で 200 ミリで作成された図形は 100 ミリとなり 1/2 の図面となるわけです。 作図後の編集作業など 様々な点を考慮すると 後者の対象物を実物大で 作成する方法が一般的に使われています。 ただしこの方法で作図をするためには 用紙サイズとの関係を 理解する必要があります。 それでは実際に画面上で確認します。 今回は「Chapter_06」フォルダーの 「01-Model_Drawing*」を使用します。 左側が 1/1 の図面で 右側が 1/2 の図面です。 共に対象物は同じ物で 1辺 200 ミリの正方形となっています。 では大きさを確認してみます。 線分を選択しグリップ上に カーソルを合わせます。 すると長さが表示されます。 現在「200」ミリと表示されています。 1/2 の方も確認します。 図形を選択しグリップ上に カーソルを合わせます。 同じく「200」ミリとなっています。 つまり共に実物大で作成されています。 では何が違うかと言うと、用紙サイズです。 A3 用紙は横幅が 420 ミリ 縦幅が 297 ミリです。 1/1 の方のサイズを確認すると 「420」ミリとなっています。 1/2 の方を確認すると 「840」ミリになっています。 つまり対象物を 1/2 にせずに 実物大で作成できるのは 用紙サイズを2倍にしているからです。 例えば建築図面などでは 実際の建物は 10 メートルや 20 メートルという大きさになります。 それを 420 ミリの用紙に 作成できるかと言うと そうはいきません。 ですので事前に用紙サイズを 100 倍の4万 2000 ミリ つまり 42 メートルにしておきます。 42 メートルの用紙であれば 10 メートルや 20 メートルの 作図を行うことができます。 そして印刷時に 1/100 に 縮小することにより 10 メートルは 100 ミリに 42 メートルも 420 ミリに なるということです。 さらに用紙サイズを変えることにより それに関係するすべての物を 用紙サイズと一緒に変更する 必要がでてきます。 例えばこの文字サイズですが 高さを調べてみます。 文字を選択し 右クリックします。 ショートカットメニューから 「クイックプロパティ」を選択します。 高さを調べると「5」ミリになっています。 1/2 の方を確認します。 こちらは「10」ミリになっています。 つまり用紙サイズに合わせて 文字の高さも 2倍になっているということです。 そしてこれを 1/2 で印刷すれば 5ミリになります。 モデル空間での図面作成は 用紙サイズを変更することにより 図面尺度を調整します。 これにより文字や寸法 線種尺度やハッチングなどにも影響します。 この図面尺度の考え方は非常に重要です。 しっかりと理解しましょう。

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