米国のゴルダイジェスト誌は2年に1度「世界のベストランキング100コース」を発表して掲載しているが、1月25日のWEB版には「国別ランキング」が公表され、前回の2年前とは大きな変化が見られた。特に、注目されるのは、太平洋クラブ御殿場コースとボナリ高原ゴルフクラブの大幅なジャンプアップだ。
今回発表された日本国内のランキングのトップ15コースと前回(2018年度版)との比較は次の通りである。
1) 廣野ゴルフ倶楽部(前回と変わらず)
2) 川奈ホテルゴルフコース富士コース(前回と変わらず)
3) 東京ゴルフ倶楽部(前回より2位アップ)
4) 鳴尾ゴルフ倶楽部(前回と変わらず)
5) 太平洋クラブ御殿場コース(前回より27位アップ)
6) 大洗ゴルフ倶楽部(前回より4位アップ)
7) 霞が関カンツリー倶楽部西コース(前回より10位アップ)
8) 北海道クラシックゴルフクラブ(前回より10位アップ)
9) 霞が関カンツリー倶楽部東コース(前回より3位ダウン)
10) 横浜カントリークラブ西コース(前回より7位ダウン)
11) ボナリ高原ゴルフクラブ(前回より20位アップ)
12) フェニックスカントリークラブ高千穂&住吉コース(前回より8位アップ)
13) 箱根カントリー倶楽部(前回より10位アップ)
14) 龍ヶ崎カントリー倶楽部(前回より1位ダウン)
15) 川奈ホテルゴルフコース大島コース(前回より35位アップ)
上位陣の変動の中で特筆されるのは、太平洋クラブ御殿場コースが27位アップして日本国内では5位にランクされたことだ。大洗ゴルフ倶楽部や霞が関カンツリー倶楽部西コースより上位となった。その最大の理由と推測されるのは、一昨年のリース・ジョーンズ氏による、世界水準に向けての改修、だろう。
太平洋クラブ御殿場コースでは毎年、「三井住友VISA太平洋マスタース」が開催されていて元々認知度は高かったが、全米オープンや全米プロなどを開催するチャンピオンシップコースの改造や改修を数多く手掛け、「オープンドクター」と称される世界屈指のゴルフ場設計家であるリース氏が世界レベルのコースにすべく改修に取り組んだ。
リース氏はオリジナルの加藤俊輔氏の設計をリスペクトして1ホール以外はほぼグリーンを変えることなく、リース氏ならではの独特のバンカーの形状やグリーン周りにボールが転がり込むようないわゆるコレクションエリアを設け、難度とプレーヤーに与える印象度を大きく変えた。さらに、フェアウェイに正対するようティーイングエリアを拡大してどのティーマークを使用しても狙うべきポジションを明確に判断できるようになった。
また、このコースの特徴でもある富士山の絶景を楽しめるよう、木を切ることでコース全体も明るくなった。リース氏の改修と日本の象徴とも言える富士山の眺望が開けたことが、大きなジャンプアップに繋がったことは間違いない。
リース氏の改修によって日本で5番目の地位を獲得したが、次回の2022年度版でさらに上位に名を連ねることができるか注目したい。
もう一つの注目コースのボナリ高原ゴルフクラブは福島県にあり、一般ゴルファーにはあまり知られていないが、11位にランクされるだけの価値がある。
コースの戦略性の高さと面白さに加え、特に秋の紅葉時に代表される自然の借景の美しさからゴルフ関係者の多くがコースを目の当たりにして感動し、当然メディアでの露出も増え、口コミで全国各地から訪れるゴルファーからの評判も高い。
ボナリ高原ゴルフクラブが米国ゴルフダイジェストの日本のベストコース50に初めてランクインしたのは前回の2018年度版で31位にランクされた。そして、今年度版では11位である。
このコースより上位の1位から10位までのコースはすべて、過去もしくは現在において必然的に知名度を高めるプロのトーナメントを開催している。その点からも、いかにこのコースの評価が高いかが窺い知れる。
設計者は、太平洋クラブ御殿場コースを改修したリース・ジョーンズ氏の父親であるロバート・トレント・ジョーンズ氏の下で学んだロナルド・フリーム氏。
開場は2000年と歴史は浅いが、美しい景観に囲まれるコースには豪華絢爛な屏風に向かって打って行くホールや断崖越えにチャレンジするホールがあったりして、誰しもが魅了される。
どのホールからも磐梯山を望め、クラブハウスの背後には安達太良山がどしっと構えている。福島県という地理的条件やトーナメント未開催のハンデを背負いながらも、日本国内11位の高い評価を得ている背景をもっと多くのゴルファーにも味わっていただきたい。
ちなみに、今年度版の世界のベスト100コースの中では、廣野ゴルフ倶楽部が39位(前回より1位アップ)、川奈ホテルゴルフコース富士コースが56位(前回より12位アップ)に選出されている。
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