日本のトーナメント人気が大きく様変わりしてきています。ご存知のように、女子ツアーが他の女子スポーツと比べても上位にランクされるほどの大人気を誇っている一方、男子のレギュラーツアーは大変な苦境に立たされています。その要因は、女子ツアーには次から次と若い美人プロが優勝争いを演じ、さらにプロの予備軍とも言える10代のアマチュアも大活躍しているのに対し、男子ツアーは毎試合外人選手が上位を占めて、日本選手の中にはビッグネームという存在がいないのが現状だからです。
一方で、男子のシニアツアーは年を追うごとに人気が高まってきています。シニアツアーの出場資格は50歳からですが、ジャンボ尾崎選手は参戦していないものの、青木功選手や中嶋常幸選手、尾崎直道選手、倉本昌弘選手、室田淳選手などのビッグネームに田村尚之選手や崎山武志選手、久保勝美選手などのシニアの若手が絡み、現在の日本のゴルファーのボリュームゾーンである60歳代以上の人たちが大いに関心を抱いて観戦にも訪れています。
シニアツアーの第2戦「~シニアを元気に!!~KYORAKUMORE SURPRISE CUP2015」は三重県の涼仙ゴルフ倶楽部で行われ、3日間合計1万2745名ものギャラリーが来場しました。第3戦の「スターツシニアゴルフトーナメント」は茨城県のスターツ笠間ゴルフ倶楽部で行われ、天気予報があまり良くなかったことと青木選手が初日の前日にギックリ腰を患わって急遽欠場したこともあったにも関わらず3日間合計5251名のギャラリー数で、前年より500名ほど増えました。
シニアツアーの魅力は、よく知った名前の選手が多いだけでなく、各選手がとてもフレンドリーで親しみが持て、また、シニアという年代でありながらも物凄い飛距離と技術を披露してくれるところにあるようです。「スターツシニアゴルフトーナメント」開催週には開催地の笠間市内のショッピングセンターで主管の公益法人日本プロゴルフ協会の倉本会長や青木選手、中嶋選手、尾崎直道選手など6名が出席してトークショーが開催され、約200名のゴルフファンが訪れました。また、直前に欠場を余儀なくされた青木選手が初日に全選手がスタートした後に「ファンのために何かをしたい」と行った限定100名のサイン会には200名以上が並び、青木選手は約120名に丁寧にサインをしました。この青木選手の行動は、シニアツアーの人気を象徴するようなシーンでした。
技術面の高さに感動するギャラリーも少なくありません。「スターツゴルフトーナメント」が開催されたスターツ笠間ゴルフ倶楽部は名匠・井上誠一氏の設計による名コースで、18ホール・6950ヤードの設定で行われ、室田選手の優勝スコアは3日間通算19アンダーという快スコアでした。表彰式を見守っていたギャラリーからは、「1日平均6アンダー以上!凄いな」という声が上がっていましたし、その数時間前に549ヤードの最終ホールのグリーン周りで観戦していた多くのギャラリーからは「3人1組の内の最低一人くらいは2オンしてくるね。とてもシニアとも思えないね」「我々のゴルフとはまったく違うな」という会話が交わされていました。ベストスコアは初日に室田選手が、最終日にグレゴリー・マイヤー選手がマークした9アンダー63という凄いスコアでした。何と、出場72選手中52選手が通算でアンダーパーをマークしていたのです。かつては、「距離を短めにしてテクニックを見せよう」という時代もありましたが、昨今のシニアツアーは7000ヤード前後の設定にして、「シニアの元気も見せよう」となってきています。
この8月21日~23日に静岡県の裾野カンツリー倶楽部で行われる「ファンケルシニア」は2001年の第1回大会以来「シニアの元気は日本の元気!」をスローガンに行われ、ここ数年は同じ週に行われている女子プロツアーの入場者数を大きく上回る毎年2万人以上のギャラリーが訪れてシニアプロとともに元気を分かち合っています。その後、関東では9月5日~6日に栃木県の矢板カントリークラブで「アルファクラブCUPシニアオープン」、11月5日~7日に千葉県のザ・カントリークラブ・ジャパンで「富士フィルムシニアチャンピオンシップ」が開催されます。シニアの元気だけでなく、マネージメントも学べる絶好の機会です。観戦してみては。