Brave (ウェブブラウザ)
macOS上で動作するBrave 1.57.57のスクリーンショット | |||||||
開発元 | Brave Software | ||||||
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初版 | 2019年11月13日[1][2] | ||||||
最新版 [±] | |||||||
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最新評価版 [±] | |||||||
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リポジトリ | |||||||
プログラミング 言語 | C、JavaScript、C | ||||||
使用エンジン | Blink、V8 | ||||||
対応OS | Windows、macOS、Linux、Android、iOS | ||||||
種別 | ウェブブラウザ | ||||||
ライセンス | |||||||
公式サイト |
Brave(ブレイブ)は、Brave Software社によって開発されているウェブブラウザである[5]。Chromiumをベースとしており、Windows、macOS、Linux、iOS、Android版が存在し[6]、オープンソースで開発されている[7]。広告とトラッカーをブロックする機能(アドブロック)を標準装備し、ユーザーのプライバシーの保護、そして高いパフォーマンスを実現できることを売りにしている[8][9]。
歴史
[編集]2015年、JavaScriptの開発者として知られるブレンダン・アイクがBrave Softwareを設立し、Braveの開発を始めた[7]。2016年2月にはiOS版とAndroid版がリリースされた[10]。
Brave Softwareは、2016年8月にシードラウンドで450万ドルを調達した[11]。
2017年6月にはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)によって、わずか30秒の間に3500万ドルを調達した。この額は、ICOによる資金調達としては2017年6月時点で過去最高額であった[12]。
StatCounterおよびNet Marketshareによると、2017年1月から11月の上位10ブラウザの世界シェア合算値は98%を超える。しかしBraveはランクインしておらず、シェア0.3%未満のUnknown (ブラウザ不明) に含まれていると見られる[13][14]。
2018年12月7日、それまでのMuonからChromiumをベースに再構築されたバージョンに移行した[15]。
2020年7月9日、Brave SoftwareはbitFlyerとの提携を発表[16]。日本のBraveユーザーは法規制の関係上、これまではBATではなくウェブサイトへの支援のみに使える「BAT Point」のみを受け取れたが、この提携により日本のユーザーもbitFlyerの口座にて直接BATを受け取れるようになった。
2021年3月3日、オープン検索エンジンTailcatの買収を発表し、独自の検索エンジン「Brave Search」を展開していく方針を発表した[17]。
2021年6月22日、「Brave Search」のベータ版をリリースした[18]。
機能
[編集]Brave Shields
[編集]セキュリティ保護機能。主な機能は[19]:
- 広告とトラッカーを除去(Easylist、Easy Privacy)。
- サードパーティのcookieをブロック。
- Cookie以外による追跡(フィンガープリント)を阻止(Privacy Badger)。
- サイトが対応している場合に接続をHTTPSへ変更(HTTPS Everywhere)。
- 悪意あるコード(無断で仮想通貨のマイニングを行うなど)の実行を阻止。
Brave Shieldsは、サイト別に手動で無効にできる。
プライベートブラウジングモード
[編集]Braveでは、プライベートブラウジングモード時に検索履歴を保存しない検索エンジンのDuckDuckGoを使用することでプライバシー性を高めている[20][21]。さらに2021年10月19日からは順次、独自の検索エンジンであるBrave Searchに置き換えられている[22]。オプションで内蔵のTorを利用することで、自身の接続経路を秘匿できる。
Brave Leo
[編集]Braveブラウザを利用したAIチャットボット。2023年8月にBrave Nightly ユーザー向けに公開され、同年11月2日に全てのBraveデスクトップ版ユーザー向けにリリースされた[23]。2024年2月にはAndroidに対応し[24]、同年4月にiOSに対応した[25]。Meta AIのLLaMAとAnthropicのClaude LLMをベースに開発された[26]。
アドレスバーからLeoへの質問、Webページ・動画・PDFの要約、ページの翻訳、コンテンツの生成などができる[26]。
Brave Talk
[編集]Braveブラウザを利用したビデオ通話機能で、無料版では最大4名まで時間無制限にミーティングに参加できる[27]。
拡張機能
[編集]Chromiumベースの利点としてGoogle Chrome向けの拡張機能を利用できる[28]。
同期チェーン
[編集]独自の同期機能があり、Braveブラウザに保存したブックマークやパスワードなどを、複数のPCやスマートフォン間で同期できる[29]。同期データはブラウザ側で暗号化されてから、Braveの同期サーバーに保存される[30]。同期用のパスフレーズを入力あるいはQRコードを読み取ることで、新しいPCやスマートフォンを同期チェーンに参加できる。必要であればいつでも同期チェーンから離脱することで同期を無効にでき、サーバー上の同期データも削除される[29][30]。
Playlist
[編集]2021年5月6日にiOS版のみで実装された機能で、動画やオーディオメディアをPlaylistに登録するとオフライン再生をすることができるようになる[31]。
Basic Attention Token
[編集]Basic Attention Token | |
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開発 | |
白書 | Basic Attention Token White Paper |
開発状況 | Active |
開発者 | Brave |
ウェブサイト | basicattentiontoken |
元帳 | |
循環制限 | 15億 |
評価 | |
為替レート | Floating |
Basic Attention Token(BAT)とは、オープンソースの分散型広告交換プラットフォームと暗号通貨で使用するために作成されたERC-20トークンであり[32]、Braveブラウザ経由で使えるユーティリティートークンである[33]。 Brave ブラウザからの広告(Brave Ads)を見た場合、閲覧の報酬として BAT を受けとることができる[33]。また「Brave Rewards」を利用してコンテンツ製作者にTwitterやYouTube等でチップとしてBATを送れる[34][35]。さらに報酬として獲得したBATはビットフライヤーを介して現金化することも可能である[36]。
ビジネスモデル
[編集]Braveは新しいビジネスモデルを構築している。Braveは広告をブロックする代わりに自身でプライベートな広告を配信しており、Braveユーザーは、Braveの配信する広告を閲覧するかどうか、及び広告の表示数をユーザー自身で選択できる[37]。表示を選択した場合は広告料の70%がユーザーに仮想通貨BATとして分配される[注 1]。Braveの配信する広告は、Webコンテンツとは別に、通知または新しいタブの背景画像・ニュースとして表示される[38]。
ウェブサイトが分配を受けるためにはBraveプロジェクトに参加する必要があり、審査を受けなければならない[39]。Braveはすべての広告をブロックするわけではなく、トラッキングを行わず、パブリッシャーのデータのみを使用する広告はそのまま表示される。Braveが挿入する広告は、ブラウザのパフォーマンスに大きく影響せず、個人データを使うターゲティングも行わない[要検証 ]ものに限られる[5]。また、ユーザーがウェブサイトに対して寄付を行うシステムもある。これらの決済にはBrave Paymentという匿名のシステムが利用される[6]。
このビジネスモデルが成り立つためには、1000万人から1500万人ほどのBraveのユーザーがいなければならないと考えられている[7]。2023年12月時点での月間アクティブユーザー数は6517万人と公称している[40]。
反響
[編集]その特異なビジネスモデルには否定的な声もある。2016年4月には十数社の新聞社がBraveの広告システムを違法行為だとする声明を発表した[11]。Braveに協力しないことを表明しているウェブパブリッシャーも存在する[41]。一方、TechCrunchの記事では、ウェブサイトに元からあった広告をブロックして自らの広告は見せるというシステムを偽善と断じるのは簡単だとした上で、Braveは広告ブロッカーによってウェブサイトのビジネスが成り立たなくなることを防ごうとしているのであって、金儲けのためではないと擁護している。ただし、この手法でユーザーやパブリッシャーを満足させられるかどうかについては否定的な意見を述べている[5]。
問題と派生
[編集]アドレスバーでの検索時に、いくつかのURLに対する自動補完機能で、初期状態で選択されるURLにアフィリエイトコードを追加していたり、仮想通貨取引サイトのリンクを書き換えていたこと、およびそれらの行為が事前に明示されていなかったことが問題となった[42]。BraveのCEOはその問題について、URLを書き換えていたのは誤りだと述べ、直ちに修正するとした。[43]
後にブログで、ユーザーに対する謝罪と説明がなされた。一方で、検索クエリ(キーワード)へのアフィリエイトコードの追加は、大手の検索エンジンとパートナーシップ契約を結んでいるウェブブラウザのすべてで行われているとも主張している[44]。
一部の開発者は「トークン無し、広告ウェア無し、アフィリエイト広告リンク無し」をモットーとしたBraveを基にしたBold Browser[45]を立ち上げたが、開発は停滞している。
関連項目
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Brave Launches Next-Generation Browser that Puts Users in Charge of Their Internet Experience with Unmatched Privacy and Rewards”. Brave Software (2019年11月13日). 2019年11月21日閲覧。
- ^ “Release Channel v1.0.0”. GitHub (2019年11月13日). 2019年11月21日閲覧。
- ^ a b c "Release v1.71.114 (Chromium 130.0.6723.58)"; 閲覧日: 2024年10月18日; 出版日: 2024年10月17日.
- ^ a b c “Releases”. Brave Software. 2021年5月14日閲覧。
- ^ a b c Ha, Anthony (2016年1月21日). “JavaScriptの作者でMozillaの元CEOが広告ブロック機能のあるブラウザBraveを立ち上げ”. TechCrunch. 2017年11月14日閲覧。
- ^ a b c logx_tm (2016年1月21日). “広告をブロックしつつコンテンツ提供者やユーザーに利益を分配するブラウザ「Brave」が目指す新しい仕組みとは”. GIGAZINE. 2017年11月14日閲覧。
- ^ “ネット上での行動はあなただけの秘密です”. Brave Browser (2020年10月1日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ “パフォーマンスを重視したブラウザ”. Brave Browser (2020年10月1日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ Shankland, Stephen (2016年3月8日). “「Brave」ブラウザの提供開始--有害な広告に対抗する新技術と課題”. CNET News. 2017年11月14日閲覧。
- ^ a b Perez, Sarah; 木村拓哉 (2016年8月3日). “広告をブロックするブラウザのBraveが450万ドルを調達 創業者は前Mozilla CEOのBrenden Eich”. TechCrunch. 2017年11月14日閲覧。
- ^ Jon, Russell; Atsushi Yukutake (2017年6月2日). “Mozilla前CEOが設立したBraveが30秒で3500万ドル調達――テック界に広がるICOの可能性”. TechCrunch. 2017年11月14日閲覧。
- ^ “Browser Market Share Worldwide”. StatCounter. 2017年12月4日閲覧。
- ^ “Browser Market Share”. Net Marketshare. 2017年12月4日閲覧。
- ^ “Brave Upgrades Users of its Desktop Browser to its Redesigned, Faster Version”. Brave Software (2018年12月7日). 2023年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年3月2日閲覧。
- ^ “bitFlyer と次世代高速ブラウザ Brave が業務提携に関する基本合意書を締結 暗号資産(仮想通貨)ウォレット領域における日本初のパートナーシップ”. 2020年5月13日閲覧。
- ^ “プライバシーに焦点を当てたブラウザ「Brave」、独自の検索エンジンを展開”. iPhone Mania (2021年3月4日). 2021年3月4日閲覧。
- ^ “完全匿名検索の「Brave Search」β版誕生 独自インデックス採用”. ITmedia NEWS. 2021年6月24日閲覧。
- ^ “What is "Shields"?”. Brave Software. 2021年4月16日閲覧。
- ^ “Making Private Browsing Mode More Private” (英語). DuckDuckGo Blog. (2018年1月16日) 2018年11月28日閲覧。
- ^ “Brave and DuckDuckGo Partner to Improve Privacy on the Web | Brave Browser” (英語). Brave Browser. (2017年12月14日) 2018年11月28日閲覧。
- ^ “プライバシー重視のブラウザBraveがGoogle検索を捨てて独自の検索エンジン「Brave Search」をデフォルトに”. GIGAZINE. (2021年10月20日) 2022年9月2日閲覧。
- ^ “Brave's Leo AI assistant is now available to desktop users”. TechCrunch. Yahoo (2023年11月2日). 2024年6月5日閲覧。
- ^ “プライバシーを保護したAIアシスタントBrave LeoはAndroidに対応しました”. Brave (2024年2月28日). 2024年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月5日閲覧。
- ^ “Brave LeoがiOSに搭載され、ブラウザAIアシスタントは全てのプラットフォームに対応しました”. Brave (2024年4月3日). 2024年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月5日閲覧。
- ^ a b “AIブラウザアシスタントのBrave Leoは機能向上のためにMixtralを採用しました”. Brave (2024年1月25日). 2024年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月5日閲覧。
- ^ “Brave Talk”. Brave Talk. 2023年2月17日閲覧。
- ^ “Brave: プライバシーを重視した高速かつ安全な次世代ブラウザ”. Brave Browser. 2020年4月23日閲覧。 “BraveはChromeと同じすべての拡張機能とテーマが動作します。Braveは他の多くのブラウザ同様、オープンソースのChromiumコードをベースにしているので、お気に入りの拡張機能をBraveでも使用できます。”
- ^ a b “How do I set up Sync?”. Brave Software. 2021年4月14日閲覧。
- ^ a b “Brave Sync v2”. Brave Software. 2021年4月14日閲覧。
- ^ “Brave、YouTube動画など登録してオフライン視聴できるPlaylist機能、iOS版から”. マイナビニュース. マイナビ (2021年5月7日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “Former Mozilla CEO raises $35M in under 30 seconds for his browser startup Brave” (英語). TechCrunch. 2021年12月30日閲覧。
- ^ a b “ベーシックアテンショントークンとは? | 仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の購入/販売所/取引所【bitFlyer(ビットフライヤー)】”. bitflyer.com. 2021年12月30日閲覧。
- ^ “コンテンツクリエイターへのチップの送付方法”. Brave公式サイト. 2023年2月18日閲覧。
- ^ “仮想通貨で「チップが送れる」Twitter向け新機能を一般公開:Braveブラウザ”. 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ. 2021年12月30日閲覧。
- ^ “広告閲覧報酬で獲得したBATは引き出すことができますか”. 2023年3月5日閲覧。
- ^ a b “BraveがApple社iOSガイドラインに対応。今後もユーザーやコンテンツ制作者を支援する革新を続けます”. 2020年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月1日閲覧。
- ^ “Brave Rewardsとは?”. Brave Browser. 2022年5月5日閲覧。
- ^ 大村奈都 (2016年4月11日). “ブラウザを使うだけでビットコインがもらえる?”. ITmedia. 2017年11月14日閲覧。
- ^ “Transparency Data Feed” (英語). Brave Browser. 2024年1月29日閲覧。
- ^ Shankland, Stephen (2016年9月5日). “広告ブロックブラウザ「Brave」、好きなサイトにビットコインで寄付が可能に”. CNET News. 2017年11月15日閲覧。
- ^ Gerard, David (2020年6月6日). “The Brave web browser is hijacking links, and inserting affiliate codes” (英語). Attack of the 50 Foot Blockchain. 2020年12月14日閲覧。
- ^ Lyons, Kim (2020年6月8日). “Brave browser CEO apologizes for automatically adding affiliate links to cryptocurrency URLs” (英語). The Verge. 2022年6月19日閲覧。
- ^ Brave (2020年6月9日). “On Partner Referral Codes in Brave Suggested Sites” (英語). Brave Browser. 2020年12月14日閲覧。
- ^ “Bold Browser” (英語). GitHub. 2020年12月14日閲覧。