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青山真治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あおやま しんじ
青山 真治
生年月日 (1964-07-13) 1964年7月13日
没年月日 (2022-03-21) 2022年3月21日(57歳没)
出生地 日本の旗 日本福岡県北九州市
職業 映画監督
脚本家
小説家
音楽家
映画批評家
ジャンル 映画
オリジナルビデオ
テレビドラマ
舞台
配偶者 とよた真帆
主な作品
EUREKA
エリ・エリ・レマ・サバクタニ
サッド ヴァケイション
東京公園
受賞
カンヌ国際映画祭
国際映画批評家連盟賞
2000年EUREKA
エキュメニカル審査員賞
2000年『EUREKA』
その他の賞
ロカルノ国際映画祭
審査員特別賞
2011年東京公園
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青山 真治(あおやま しんじ、1964年7月13日 - 2022年3月21日)は、日本映画監督[1]小説家[2]音楽家[3]映画批評家[4]。元多摩美術大学教授[5]。妻は女優とよた真帆[6][7]

経歴

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福岡県北九州市出身[6]福岡県立門司高等学校在学時には音楽活動をしており[6]、いくつかのバンド経験を経た後に広石武彦らとバンド「UP-BEAT UNDERGROUND」(後のUP-BEAT)を結成するが、青山は大学受験のために高校3年生の時点でバンドを脱退している[8]

1989年、立教大学文学部英米文学科卒業[6]。立教大学一般教育部で、蓮實重彦の「映画表現論」の授業から強い影響を受けた[6]

大学卒業後、ディレクターズ・カンパニーの現場に参加、フリーの助監督になる[6]。主に黒沢清井筒和幸組に就き[6]、同世代の新進監督をバックアップ[6]

1995年、黒沢の推薦により[6]Vシネマ教科書にないッ!』で監督デビュー[9]

1996年、助監督時代に知り合った仙頭武則プロデューサーと組み[6]、初の劇場用長編映画『Helpless』を手がける[6][10]

2000年のカンヌ国際映画祭で、監督作品『EUREKA』が国際批評家連盟賞エキュメニカル審査員賞を受賞[11]、世界的な評価を集めた[12]。翌年、同作のノベライズ小説『EUREKA』で第14回三島由紀夫賞を受賞[13]

その後、『月の砂漠[14]、『レイクサイド マーダーケース[15]、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ[16]、『サッド ヴァケイション』などの作品を監督する[17]

2010年、著書『シネマ21 青山真治映画論 α集成2001-2010』を発表[18]

2011年、三浦春馬主演の『東京公園』が第64回ロカルノ国際映画祭で金豹賞審査員特別賞を受賞[19]。同年、黒沢清蓮實重彦との共著『映画長話』を発表した[20]

2012年4月、多摩美術大学造形表現学部映像演劇学科教授に就任[21]

2013年、田中慎弥原作、荒井晴彦脚本の『共喰い』を発表する[22]

2021年春頃に食道がんが判明し通院治療を続けてきたが、その後容態が悪化し入院。2022年3月21日0時30分、頸部食道がんのため、死去した、57歳[23][24][25]

フィルモグラフィー

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長編映画

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短編映画

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  • セレブレート シネマ 101「1/5」(1996年) - 監督
  • June 12, 1998 -カオスの緑-(1999年) - 監督
  • 路地へ 中上健次の残したフィルム(2000年) - 監督・構成[26]
  • すでに老いた彼女のすべてについては語らぬために(2001年) - 監督
  • 焼跡のイエス(2001年) - 監督
  • 夜の足跡(2001年) - 音楽
  • TAMPEN 短篇「空華 koo-ghe」(2001年) - 出演
  • 夢見の芭蕉(2002年) - 監督
  • なんくるムービー あじまぁのウタ 上原知子─天上の歌声(2002年) - 監督
  • 刑事まつり「Noと言える刑事」(2003年) - 監督・脚本・出演
  • 軒下のならず者みたいに(2003年) - 監督・脚本
  • Trunk(2003年) - 監督
  • 海流から遠く離れて(2003年) - 監督
  • 秋聲旅日記(2003年) - 監督・脚本
  • 赤ずきん(2008年) - 監督
  • R246 STORY「224466」(2008年) - 脚本
  • だうん(2010年) - 監督
  • 60 Seconds of Solitude in Year Zero(2011年) - 監督
  • FUGAKU1/犬小屋のゾンビ(2013年) - 監督
  • FUGAKU 2/かもめ The Shots (2014年) - 監督
  • FuGAK 3/さらば愛しのeien (2015年) - 監督
  • 破れたハートを売り物に「ヤキマ・カナットによろしく」(2015年) - 監督・脚本

オリジナルビデオ

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テレビドラマ

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動画配信

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舞台

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  • グレンギャリー・グレン・ロス(2011年6月、天王洲 銀河劇場、作:デヴィッド・マメット) - 演出
  • おやすみ、かあさん(2011年11月26日 - 12月4日、あうるすぽっとマーシャ・ノーマン作) - 演出
  • 私のなかの悪魔(2013年3月25日 - 31日、あうるすぽっと、ストリンドベリ作「債鬼」より) - 演出
  • フェードル(2015年12月4日 - 13日、東京芸術劇場、シアターウエスト) - 演出
  • しがさん無事? are you alright, my-me?(2019年5月7日 - 12日、下北沢小劇場B1) - 作・演出

著書

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小説

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  • 『ユリイカ EUREKA』(2000年、角川書店) - のち文庫
  • 『月の砂漠』(2002年、角川書店) - のち文庫
  • 『Helpless』(2003年、新潮社) - のち角川文庫
  • 『ホテル・クロニクルズ』(2005年、講談社) - のち文庫
  • 『死の谷'95』(2005年、講談社) - のち文庫
  • 『雨月物語』(2006年、角川学芸出版
  • 『サッド・ヴァケイション』(2006年、新潮社)
  • 『エンターテインメント!』(2007年、朝日新聞出版) - のち文庫
  • 『地球の上でビザもなく』(2009年、角川書店)
  • 『帰り道が消えた』(2010年、講談社)
  • 『ストレンジ・フェイス』(2010年、朝日新聞出版)

批評

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  • 『われ映画を発見せり』(2001年、青土社
  • 『シネマ21 青山真治映画論 α集成2001-2010』(2010年、朝日新聞出版)

共編著

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脚注

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出典

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  1. ^ EUREKA ユリイカ”. www.wowow.co.jp. www.wowow.co.jp. 2023年8月5日閲覧。
  2. ^ 今月のひと 青山真治--三島賞受賞間もない映画監督の新作は、中上健次を巡るものだった”. cir.nii.ac.jp. cir.nii.ac.jp. 2023年8月5日閲覧。
  3. ^ TokyoJoshiEigabu. “『共喰い』予告編”. www.youtube.com. www.youtube.com. 2023年8月5日閲覧。
  4. ^ 松村正人 (2022年5月2日). “青山真治 追悼――実作と批評の拮抗を作品に刻み、90年代日本映画を象徴した〈生〉の映画作家を悼む”. mikiki.tokyo.jp. mikiki.tokyo.jp. 2022年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月5日閲覧。
  5. ^ 所属検索結果”. faculty.tamabi.ac.jp. 多摩美術大学教員業績公開システム. 2012年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年8月5日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k キネマ旬報社編 編「column 21世紀の"異業種監"督 /青山真治 映画という大枠で戦後父権社会を問う考察の作家」『知っておきたい21世紀の映画監督100』キネマ旬報社、2010年、80–81頁。ISBN 9784873763354映画という大枠で戦後父権社会を問う考察の作家&rft.atitle=知っておきたい21世紀の映画監督100&rft.date=2010&rft.pages=80–81頁&rft.pub=キネマ旬報社&rft.isbn=9784873763354&rfr_id=info:sid/ja.wikipedia.org:青山真治"> 
  7. ^ とよた真帆さんが結婚 映画監督の青山真治さんと”. 47NEWS (2002年7月12日). 2014年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月7日閲覧。
  8. ^ UP-BEAT『WEEDS & FLOWERS』|CBS・ソニー出版/44ページ - 49ページより。
  9. ^ 作家と編集者の関係にプラスアルファを求めたい 青山 真治 氏(映画監督、小説家)”. 本のとびら (2008年2月3日). 2014年5月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月27日閲覧。
  10. ^ サッド ヴァケイション インタビュー: 青山真治が語る「サッド ヴァケイション」”. 映画.com (2007年9月7日). 2014年5月27日閲覧。
  11. ^ 【ロカルノ映画祭】青山真治監督『東京公園』が審査員特別賞”. オリコン (2011年8月14日). 2013年7月7日閲覧。
  12. ^ とよた真帆 夫・青山真治監督の遺作製作を宣言「何とか形に」自身もプロデューサーに”. デイリースポーツ online (2022年4月13日). 2022年4月13日閲覧。
  13. ^ 北小路, 隆志 (2001年7月6日). “今月のひと 青山真治”. すばる. 2001年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月7日閲覧。
  14. ^ 黒岩, 幹子 (2001年6月24日). “『月の砂漠』 青山真治”. Nobody. 2013年7月7日閲覧。
  15. ^ 結城, 秀勇 (2004年9月12日). “『レイクサイド マーダーケース』青山真治”. Nobody. 2013年7月7日閲覧。
  16. ^ 結城, 秀勇 (2006年3月4日). “『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』青山真治”. Nobody. 2013年7月7日閲覧。
  17. ^ 大場, 正明 (2009年4月1日). “青山真治インタビュー 『サッド ヴァケイション』”. Criss Cross. 2013年7月7日閲覧。
  18. ^ 斗内, 秀和 (2010年12月21日). “「シネマ21 青山真治映画論 α集成2001-2010」”. 神戸映画資料館. 2013年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月7日閲覧。
  19. ^ 下村, 麻美 (2011年8月14日). “青山真治監督『東京公園』、グランプリに並ぶ金豹賞審査員特別賞!”. シネマトゥデイ. 2013年7月7日閲覧。
  20. ^ 片岡, 義博 (2011年9月12日). “『映画長話』蓮実重彦、黒沢清、青山真治著 偏愛ぶりが普通じゃない”. 福井新聞. 2013年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月7日閲覧。
  21. ^ 映画監督・青山真治教授就任”. 多摩美術大学 (2012年2月10日). 2014年5月27日閲覧。
  22. ^ 藤井, 仁子 (2013年2月8日). “血と転生 青山真治の『共喰い』”. 読売新聞. 2013年7月7日閲覧。[リンク切れ]
  23. ^ “映画監督の青山真治さんが死去”. 共同通信社. ノアドット. (2022年3月25日). https://web.archive.org/web/20220325093130/https://nordot.app/880020814707064832 2022年3月25日閲覧。 
  24. ^ 映画監督の青山真治さんが死去、57歳 妻・とよた真帆は「愛情に深く深く感謝しています」”. 日刊スポーツ (2022年3月25日). 2022年3月26日閲覧。
  25. ^ 映画監督・青山真治氏死去、57歳 食道がんで闘病 妻のとよた真帆「最後は眠るように」”. デイリースポーツ online (2022年3月25日). 2022年3月25日閲覧。
  26. ^ 作品紹介”. スローランナー. 2002年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月4日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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