野寺正一
のでら しょういち 野寺 正一 | |
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1925年の写真、満39歳。 | |
本名 | 同 |
生年月日 | 1886年10月5日 |
没年月日 | 1939年6月30日(52歳没) |
出生地 | 日本 東京府東京市深川区元町(現在の東京都江東区) |
身長 | 159.1cm |
職業 | 俳優 |
ジャンル | 新派、劇映画(現代劇・時代劇、サイレント映画・トーキー) |
活動期間 | 1901年 - 1938年 |
配偶者 | 有 |
主な作品 | |
『酒中日記』 『琵琶歌』 『家族会議』 『人妻椿』 |
野寺 正一(のでら しょういち、1886年10月5日 - 1939年6月30日[1])は、日本の俳優である[2][3][4][5][6][7][8]。本名同じ[2][4][5][6][7][8]。新派を経て、松竹蒲田撮影所で活躍した戦前の貴重な名脇役である[5][6][7][8]。
経歴・人物
[編集]1886年(明治19年)10月5日、東京府東京市深川区元町(現在の東京都江東区)に生まれる[2][3][4][6][7][8]。1924年(大正13年)に発行された『映画新研究十講と俳優名鑑』(朝日新聞社)には、生年は「明治十九年五月十一日」(1886年5月11日)、生地は東京市日本橋区(現在の東京都中央区)である旨が記されている[5]。幼少期から芝居を好んでいた[6][7]。
1901年(明治34年)5月、旧制中学校を中退して新派俳優本多小一郎の門下となり、初舞台を踏む[2][4]。師匠である本多の来歴については明らかでないが、『日本映画俳優名鑑 昭和九年版』(映画世界社)が発行された1934年(昭和9年)の時点では、すでに故人であるという旨が記されている[8]。また、1937年(昭和11年)に発行された『俳優大鑑』(歌舞伎書房)によれば、生年月日・享年(数え年)は明らかにされていないものの、「明治卅八年十一月五日死」(1905年11月5日死去)であるという旨が記されている[9]。1907年(明治40年)、喬生団をはじめ、玉操団、正操団などの新派劇団を自ら組織して、主に関東地方・東北地方を中心に巡業するが、同年には解散したため、その後は東京府東京市の各座に出演した[2][3][4][6][7][8]。
1915年(大正4年)7月、M・カシー商会によって製作されたサイレント映画『山つつじ』に出演し、映画デビューを果たす[4]。1917年(大正6年)4月には、松竹合名会社専属俳優となり、東京市にあった辰巳劇場や本郷座などの舞台に出演していたが、1921年(大正10年)3月1日、小林商会を経て松竹蒲田撮影所に入社[2][3][4][6][7][8]。以後、同所の温厚な老け役として重宝され、同年6月24日に公開された賀古残夢監督映画『酒中日記』や、同年11月1日に公開された同じく賀古残夢監督映画『琵琶歌』などの現代劇・時代劇に多数出演した[2][3][4]。『現代俳優名鑑』など、一部の資料によれば、東京市浅草区芝崎町32番地(現在の台東区西浅草)から後に東京市蒲田区蓮沼町(現在の東京都大田区蓮沼町及び蓮沼1〜3丁目辺り)に住み、身長は5尺2寸5分(約159.1センチメートル)、体重は14 貫(約52.5キログラム)、妻ありと記されている[4][6][7][8]。
1938年(昭和13年)6月9日、松竹大船撮影所が製作した島津保次郎監督映画『愛より愛へ』が、確認出来る最後の出演作品である。以後の消息は不明とされていた[2][3]が、『中央新聞』1939年(昭和14年)7月1日付の新聞にて、去る6月30日に盲腸炎のため、数え年54歳(満52歳)で死去したと報じられている[1]。
出演映画
[編集]- 山つつじ(1915年、M・カシー商会)
- 毒草(1917年、小林商会)
- 酒中日記(1921年、松竹蒲田)
- 思ひ妻(1921年、松竹蒲田)
- 魔の森(怪死美人)(1921年、松竹蒲田)
- 法の涙(1921年、松竹蒲田)
- ゆく雲(1921年、松竹蒲田)
- 己ケ罪(1921年、松竹蒲田)- 環の父・箕輪伝造
- 琵琶歌(1921年、松竹蒲田)
- 闇の路(1921年、松竹蒲田)
- 二人妻(1921年、松竹蒲田)
- 旭光照波(潮の朝)(1921年、松竹蒲田)
- 疑の谷(1921年、松竹蒲田)
- 金色夜叉(1922年、松竹蒲田)
- 渡り鳥(1922年、松竹蒲田)
- 乳姉妹(1922年、松竹蒲田)
- 母の心(1922年、松竹蒲田)
- 祇園夜話(1922年、松竹蒲田)
- 孝子啓助(1922年、松竹蒲田)
- 想夫憐(1922年、松竹蒲田)
- 想出の唄(1922年、松竹蒲田)
- 輝きの道へ(1922年、松竹蒲田)
- 祭の夜(1922年、松竹蒲田)
- 愛の楔(1922年、松竹蒲田)
- 底なしの湖(1922年、松竹蒲田)
- 悔恨(1922年、松竹蒲田)
- 恵まれぬ人(1923年、松竹蒲田)
- 山の線路番(1923年、松竹蒲田)
- 自活する女(1923年、松竹蒲田)
- 人肉の市(1923年、松竹蒲田)- 北京望月楼主人・袁天元
- 大東京の丑満時 喜劇篇(1923年、松竹蒲田)
- 天を仰いで(1923年、松竹蒲田)
- 剃刀(1923年、松竹蒲田)
- 実説国定忠治 雁の群(1923年、松竹蒲田)
- 大地は怒る(1923年、松竹下加茂)
- 南の漁村(1923年、松竹下加茂)
- お姫草(1923年、松竹下加茂)
- 子供の世界(1924年、松竹蒲田)
- 無花果(1924年、松竹蒲田)
- 骨盗み(1924年、松竹蒲田)
- 旋風(1924年、松竹蒲田)
- 感じの好い映画集 《渚》(1924年、松竹蒲田)
- 美濃屋の娘(1924年、松竹蒲田)
- 水車小屋(1924年、松竹蒲田)
- 海潮音(1924年、松竹蒲田)
- 島に咲く花(1924年、松竹蒲田)
- 悪太郎(1924年、松竹蒲田)
- 仙人(1924年、松竹蒲田)- 仙人B
- 逆流に立ちて(1924年、松竹蒲田)
- 城ケ崎の雨(1924年、松竹蒲田)
- 呪はれたる操(1924年、松竹蒲田)
- 新己が罪(1925年、松竹蒲田)
- 幻を追ふて(1925年、松竹蒲田)
- 夕の鐘(1925年、松竹蒲田)
- 椿咲く国(1925年、松竹蒲田)
- 和蘭蛇お滝(1925年、松竹蒲田)
- 悲しき恋の幻想(1925年、松竹蒲田)- 山の老魔
- 自然は裁く(1925年、松竹蒲田)
- 村正小町(1925年、松竹蒲田)
- 前代未聞の仇討(1925年、松竹蒲田)
- 御詠歌地獄(1925年、松竹蒲田)
- 寂しき路(1925年、松竹蒲田)- お菊の父・源助
- 正ちゃんの蒲田訪問(1925年、松竹蒲田)
- 鈍急之進(1926年、松竹蒲田)
- 悩ましき頃(1926年、松竹蒲田)- 良路の父・作路
- お園(1926年、松竹蒲田)
- 修羅八荒(1926年、松竹蒲田)- 銀八
- 街の人々(1926年、松竹蒲田)
- お坊ちゃん(1926年、松竹蒲田)- 重役・羽田健太郎
- 八百屋お七(1926年、松竹蒲田)
- 悲恋心中ケ丘(1926年、松竹蒲田)
- ヴェニスの船唄(1926年、松竹蒲田)
- 唐人殺し(1926年、松竹蒲田)
- 夢の小判娘白ま浪(1926年、松竹蒲田)
- 恋と意気地(1926年、松竹蒲田)
- 仇討走馬燈(1926年、松竹蒲田)
- 妖刀(1926年、松竹蒲田)- お若の父・庄兵衛
- 怒りの刃(1926年、松竹蒲田)
- 黒髪夜叉(1926年、松竹蒲田)- 弥六
- 暗闘(1927年、松竹蒲田)
- 地下室(1927年、松竹蒲田)
- 奴の小万(1927年、松竹蒲田)
- 久造老人(1927年、松竹蒲田)
- 九官鳥(1927年、松竹蒲田)- 家主加助
- 高田の馬場(1927年、松竹蒲田)
- 緋紗子の話(1927年、松竹蒲田)
- 艶魔(1927年、松竹蒲田)- 伊勢屋徳兵衛
- 魔道(1927年、松竹蒲田)
- すね者(1927年、松竹蒲田)- 弥兵衛老人
- 人玉お半(1927年、松竹蒲田)
- 白虎隊(1927年、松竹蒲田)- 老僕・甚五
- 秋草燈籠 お露の巻・小萩の巻(1927年、松竹蒲田)- 但馬屋主人
- むさゝびの三吉(1927年、松竹蒲田)- 若狭屋太左衛門
- 懺悔の刃(1927年、松竹蒲田)- 山城屋庄左衛門
- 懐しの母(1927年、松竹蒲田)
- 子に泣く(1927年、松竹蒲田)
- 恋模様二人娘(1927年、松竹蒲田)
- 果報は寝て待て(1928年、松竹蒲田)
- 故郷の空(1928年、松竹蒲田)
- 恋愛二人行脚(1928年、松竹蒲田)
- をとめ心(1928年、松竹蒲田)
- 舞台姿(1928年、松竹蒲田)- 実父・囃し方佐吉
- 森の鍛冶屋(1929年、松竹蒲田)- 向う鎚・佐藤忠三
- 春容恋達引(1929年、松竹蒲田)- 杵屋孝左衛門
- 大都会 労働篇(1929年、松竹蒲田)機関庫主任・野間二三郎
- 父の願ひ(1929年、松竹蒲田)- 老医師・岡村先生
- スポーツ精神(1930年、松竹蒲田)
- 麗人(1930年、松竹蒲田)- 八兵衛
- 若者よなぜ泣くか(1930年、松竹蒲田)- 上杉家爺や
- 餓鬼大将(1931年、松竹蒲田)- 塚本村長
- 愛よ人類と共にあれ(1931年、松竹蒲田)- 庶務係・片山
- 街の浮浪者(1931年、松竹蒲田)
- かがやく愛(1931年、松竹蒲田)- 桶屋の三平
- 人生の風車(1931年、松竹蒲田)- 浮浪者
- 俺も男だ(1931年、松竹蒲田
- 七つの海 処女篇・貞操篇(1931年、松竹蒲田)- その父
- 青空に泣く(1932年、松竹蒲田)- 伯父
- 海の王者(1932年、松竹蒲田)- 喜平
- 忠臣蔵(1932年、松竹下加茂) - 堀部弥兵衛
- お小夜恋姿(1934年、松竹蒲田)- お小夜の伯父
- 殴られた河内山(1934年、松竹下加茂)- 高木小左衛門
- 私の兄さん(1934年、松竹蒲田)- めし屋の主人
- 春琴抄 お琴と佐助(1935年、松竹蒲田)- 医者
- 若旦那 百万石(1936年、松竹蒲田)- 父・平左衛門
- 家族会議(1936年、松竹大船)- 弥兵衛
- 朧夜の女(1936年、松竹大船)- 町内の旦那
- 君よ高らかに歌へ(1936年、松竹大船)- 鯨屋源兵衛
- 男性対女性(1936年、松竹大船)- 水上平吉
- 人妻椿(1936年、松竹大船)- 嘉子の父・勉蔵
- 荒城の月(1937年、松竹大船)- 善助
- 愛に生きるもの(1937年、松竹大船)
- 進軍の歌(1937年、松竹大船)- 老職工
- 愛より愛へ(1938年、松竹大船)
脚注
[編集]- ^ a b 『中央新聞』昭和14年7月1日付。
- ^ a b c d e f g h 『日本映画俳優全集 男優篇』キネマ旬報社、1979年、445頁。
- ^ a b c d e f 『芸能人物事典 明治大正昭和』日外アソシエーツ、1998年、452頁。
- ^ a b c d e f g h i 『現代俳優名鑑』揚幕社、1923年、26頁。
- ^ a b c d 『映画新研究十講と俳優名鑑』朝日新聞社、1924年、142頁。
- ^ a b c d e f g h 『日本映画俳優名鑑 昭和四年版』映画世界社、1928年、73頁。
- ^ a b c d e f g h 『日本映画俳優名鑑 昭和五年版』映画世界社、1929年、95頁。
- ^ a b c d e f g h 『日本映画俳優名鑑 昭和九年版』映画世界社、1934年、95頁。
- ^ 『俳優大鑑』歌舞伎書房、1937年、321頁。
外部リンク
[編集]- 野寺正一 - 日本映画データベース
- 野寺正一 - KINENOTE