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有限責任監査法人トーマツ

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有限責任監査法人トーマツ
Deloitte Touche Tohmatsu LLC
種類 有限責任監査法人
略称 DTT、トーマツ
本社所在地 日本の旗 日本
100-8360
東京都千代田区丸の内3-2-3
丸の内二重橋ビル
設立 1968年昭和43年)5月(等松・青木監査法人として)
業種 サービス業
法人番号 5010405001703 ウィキデータを編集
事業内容 会計監査
コンサルティング ほか
代表者 大久保孝一(代表執行役)
資本金 11億7300万円(2024年5月期)
売上高 1430億3200万円(2024年5月期)
営業利益 3億4100万円(2024年5月期)
経常利益 4億300万円(2024年5月期)
純利益 1億1100万円(2024年5月期)
純資産 271億3400万円(2024年5月期)
総資産 886億3900万円(2024年5月期)
従業員数 社員・特定社員530名
公認会計士職員2,385名
公認会計士試験合格者等1,387名
その他3,794名
(2024年5月31日現在)[1]
決算期 5月31日
会計監査人 新創監査法人
関係する人物 等松農夫蔵
青木大吉
外部リンク 公式サイト
特記事項:決算情報は業務及び財産の状況に関する説明書類より。
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有限責任監査法人トーマツ(ゆうげんせきにんかんさほうじんトーマツ、英語: Deloitte Touche Tohmatsu LLC)は、監査経営コンサルティング株式公開支援、ファイナンシャルアドバイザリーサービス等を提供する日本で最大級の会計事務所。いわゆる「4大監査法人」の一つ。大蔵省監査法人の必要性の提言のもと、等松農夫蔵の等松監査や青木大吉の第一公認会計士事務所ほか、複数の事務所が合同して設立した。

4大会計事務所(big4)の一つで、世界最大の会計事務所デロイト トウシュ トーマツw:Deloitte Touche Tohmatsu)のメンバーファーム。「big4」の中では唯一日本の会計事務所の名前が使用されている監査法人である。

概要

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  • 主な業務 - 会計監査IFRSサービス、株式公開支援、ERS、年金コンサルティング、知的財産コンサルティングサービス、ライセンス契約マネジメント、グローバルサービス
  • その他事務所 - 札幌、名古屋、大阪、福岡事務所など17カ所
  • 連絡事務所 -高崎、長崎など12カ所
  • 海外ネットワーク- アメリカ、アジアパシフィック、ヨーロッパ、中東
  • 海外駐在員派遣 - ニューヨークロサンゼルスロンドン北京など約50都市
  • 人員 - 2024年(令和6年)5月末日現在 8,096名
  • 被監査会社 - 2024年(令和6年)5月末日現在 3,187社

大口クライアント

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有価証券報告書より、最近の監査報酬が1億円超のクライアントを列挙。

素材・エネルギー
LIXIL王子HD出光興産三菱マテリアル大同特殊鋼DOWAHDUACJ三井松島HDユニチカ日本碍子
医療・化学
DIC花王エーザイシスメックスダイセルartienceタキロンシーアイ
食品・アグリ
日本たばこ産業サントリーHD日本ハム日清製粉グループ本社サントリー食品インターナショナル日清食品HDハウス食品グループ本社宝HDヤクルト本社DM三井製糖HD
自動車・機械・部品・エレクトロニクス
キヤノンクボタリコーオムロン日清紡HDデンソーダイキン工業村田製作所古河電気工業荏原製作所ニコンJVCケンウッドブラザー工業横河電機アマダローム三菱ロジスネクストHOYAアズビルホシザキSUMCO島津製作所グローリー名村造船所タダノリケンNPR
不動産・建設・レジデンス
鹿島建設オープンハウスグループ千代田化工建設リログループ
物流・インフラ
NIPPON EXPRESSHD東海旅客鉄道関西電力日本郵船ANAHDヤマトHD九州電力SGHD鴻池運輸九州旅客鉄道四国電力京成電鉄西部ガスHD
生活・サービス
ベネッセHDパーソルHDエイチ・アイ・エスパソナグループ平和イオンディライトワコールHDサイバーエージェント
情報・通信
ソフトバンクグループソフトバンクLINEヤフー日本経済新聞社東宝スカパーJSATHDフリービットBIPROGYセレス
卸売・小売・外食
三菱商事イオン伊藤忠商事三井物産コロワイドローソンファーストリテイリング伊藤忠エネクスレスターHD三菱食品ビックカメラキヤノンマーケティングジャパンTOKAIHDノジマクリエイト・レストランツHDスズケンイオンモールフジウエルシアHDDCMHDカメイユナイテッド・スーパーマーケットHDすかいらーくHD蝶理ニトリHDミスミグループ本社あらた
金融・保険
三菱UFJFG三菱UFJ銀行SBIHD三菱UFJ証券HD三菱UFJ信託銀行りそなHDSBI新生銀行イオンフィナンシャルサービス三菱HCキャピタル日本政策投資銀行あおぞら銀行クレディセゾンりそな銀行コンコルディアFG東京センチュリー九州FG八十二銀行ほくほくFGめぶきFGアコムSBIインシュアランスグループ日本取引所グループみずほリースアイフルしずおかFGJA三井リースアプラス

特徴

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法人及びクライアントの特徴として以下の点が挙げられる[2]

  • 創業者の等松農夫蔵や富田岩芳大日本帝国海軍主計の出身ということもあり、営業力に強い法人として一線を画してきた。
  • 昔から外資系的要素を多く取り入れ、海外展開にも積極的であった。もっとも外資色が強い点については、アーサー・アンダーセンと提携していた頃の朝日(現あずさ)や、現在のPwCあらたも同様である。
  • 2010年代前半頃までは、IPO分野の強さに定評があった。しかし業界全体の人員不足進行と準大手・中小法人の積極参入による採算性悪化に加え、クライアントの会計不正が相次いだことから選別を進める過程で2019年にIPO専門部署を閉鎖。一方で、2015年以降は専門部署を設けず全社単位でIPO案件を抱えてきた新日本がトーマツを抜き、IPO件数で大手トップとなった[3]。なお、クライアントの選別が進んだことを背景にトーマツは2024年にIPO部署を再設立している[4]
  • 企業グループの中では、三菱グループに比較的強い(新日本やあずさと分け合っている)。
  • 製造業(重化学工業)のクライアントが少なく、自動車メーカーのクライアントが大手監査法人で唯一存在しない。一方で情報分野や卸売・小売分野、金融分野は圧倒的に強く、第三次産業の比重が大きい。
  • 五大商社の過半数を占めているほか、大手コンビニも3社中2社を占めるなど卸売・小売系の強さは他法人を圧倒している。特に郊外型チェーンは他の大手法人から多くのクライアントを獲得し続けており、独占に近い状態にある。
  • 地方では、宮城県・四国・九州に強い。
  • 他法人よりもコンサルティング業務向きであり、業務収入に占める非監査報酬の割合が大きい。

経営成績の推移

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人員数・社員数には、特定社員を含み、公認会計士・公認会計士試験合格者・会計士補のいずれにも該当しない職員を含まない。

決算期 業務収入 うち監査報酬
(1項業務)
うち非監査報酬
(2項業務)
営業利益 純利益 人員数 うち
社員数
被監査会社数 うち
金商法監査
2011年9月期 816億2400万円 673億400万円 143億1900万円 58億7500万円 1億3200万円 4680人 653人 3690社 986社
2012年9月期 824億4300万円 644億300万円 180億3900万円 49億9600万円 22億8100万円 4145人 644人 3599社 953社
2013年9月期 838億7200万円 645億8000万円 192億9100万円 26億7300万円 18億5800万円 4234人 666人 3642社 972社
2014年9月期 865億4600万円 662億9200万円 202億5300万円 23億2400万円 13億4000万円 4369人 684人 3587社 975社
2015年9月期 891億7700万円 666億5800万円 225億1900万円 8億1400万円 16億800万円 4390人 573人 3574社 971社
2016年9月期 964億7800万円 704億5900万円 260億1900万円 13億1600万円 18億8500万円 4392人 579人 3427社 961社
2017年5月期 709億7700万円 524億800万円 185億6900万円 17億900万円 16億5000万円 4474人 567人 3399社 962社
2018年5月期 1047億300万円 742億8400万円 304億1900万円 10億800万円 8億7900万円 4504人 566人 3338社 959社
2019年5月期 1087億1800万円 776億100万円 311億1600万円 2億5600万円 27億3300万円 4511人 583人 3306社 944社
2020年5月期 1145億9200万円 809億3200万円 336億6000万円 11億3400万円 26億200万円 4429人 573人 3296社 924社
2021年5月期 1236億7600万円 832億2300万円 404億5200万円 16億2100万円 8億2500万円 4429人 538人 3232社 892社
2022年5月期 1388億1400万円 861億4300万円 526億7000万円 9億7700万円 25億5000万円 4392人 536人 3244社 852社
2023年5月期 1428億4500万円 893億3400万円 535億1000万円 13億5500万円 22億2000万円 4333人 533人 3162社 817社
2024年5月期 1430億3200万円 943億5800万円 486億7300万円 3億4100万円 1億1100万円 4302人 530人 3187社 806社
  • 決算期変更のため、2017年5月期は8か月間の数値である。

沿革

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  • 1968年(昭和43年)5月 - 監査法人等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部事務所設立。
  • 1968年(昭和43年)12月 - 監査法人丸の内会計事務所設立
  • 1969年(昭和44年)2月 - 監査法人等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部事務所から等松・青木監査法人に名称を変更
  • 1969年(昭和44年)8月 - 監査法人西方会計士事務所設立
  • 1973年(昭和48年)3月 - 監査法人サンワ事務所設立
  • 1974年(昭和49年) - 監査法人誠和会計事務所設立
  • 1975年(昭和50年)5月 - 等松・青木監査法人、トウシュ・ロス・インターナショナル(TRI)へ加盟
  • 1975年(昭和50年)12月 - 監査法人丸の内会計事務所 東京事務所が同監査法人から分離独立し、監査法人東京丸の内事務所が発足
  • 1976年(昭和51年)4月 - 監査法人サンワ事務所と監査法人東京丸の内事務所が合併し、監査法人サンワ東京丸の内事務所が発足
  • 1976年(昭和51年)4月 - 監査法人札幌第一会計設立
  • 1983年(昭和58年)5月 - サンアイ監査法人設立
  • 1985年(昭和60年)6月 - デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズが監査法人三田会計社を設立[5]
  • 1985年(昭和60年)9月 - 監査法人サンワ東京丸の内事務所が監査法人サンワ事務所に名称を変更
  • 1986年(昭和61年)10月 - 等松・青木監査法人と監査法人サンワ事務所が合併し、サンワ・等松青木監査法人と名称を変更
  • 1988年(昭和63年)4月 - 監査法人丸の内会計事務所と合併
  • 1988年(昭和63年)10月 - 監査法人西方会計士事務所および監査法人札幌第一会計と合併
  • 1990年(平成2年)1月 - デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ・インターナショナルとトウシュ・ロス・インターナショナルが合併。国際名称をデロイト ロス トーマツ インターナショナル(DRTI)に変更
  • 1990年(平成2年)2月 - 監査法人三田会計社と合併し、監査法人トーマツと名称を変更
  • 1992年(平成4年)6月 - 国際名称をデロイト トウシュ トーマツ インターナショナル(DTTI)に変更
  • 1998年(平成10年)1月 - 国際名称をデロイト トウシュ トーマツ(DTT)に変更
  • 2000年(平成12年)6月 - デロイト トウシュ トーマツのインテグレーションステージに参画
  • 2001年(平成13年)4月 - サンアイ監査法人と合併
  • 2002年(平成14年)7月 - 監査法人誠和会計事務所と合併
  • 2002年(平成14年)12月 - デロイトトーマツコンサルティング(株)(現・アビームコンサルティング(株))と資本関係を解消し、完全分離
  • 2004年(平成16年)4月 - 英文名称をDeloitte Touche Tohmatsuに変更
  • 2009年(平成21年)6月 - 有限責任監査法人として、金融庁において登録がされる
  • 2009年(平成21年)7月 - 有限責任監査法人トーマツとして業務開始
  • 2017年(平成29年) - 決算期を9月から5月へ変更
  • 2018年(平成31年)12月10日 - 本部事務所を品川インターシティC棟から丸の内二重橋ビルへ移転、品川・八重洲・有楽町に分散している事務所を集約[6][7]

歴代包括代表

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氏名 期間 備考
1 川北博 1990年6月 - 1993年5月 陸軍士官学校(58期)中央大学商学部卒、サンワ・等松青木監査法人会長から横滑り
2 田近耕次 1993年5月 - 1999年5月 中央大学商学部卒
3 高岡次郎 1999年6月 - 2001年5月 東京大学経済学部
4 阿部紘武 2001年6月 - 2007年5月 中央大学商学部卒
4 佐藤良二 2007年6月 - 2010年11月 慶應義塾大学経済学部卒
5 天野太道 2010年11月 - 2015年7月 早稲田大学商学部
6 小川陽一郎 2015年7月 - 2015年10月 慶応義塾大学商学部卒
7 觀恒平 2015年11月 - 2018年5月 横浜国立大学経営学部
8 国井泰成 2018年6月 - 2022年5月 明治大学経営学部卒
9 大久保孝一 2022年6月 - 中央大学経済学部卒

グループ会社等

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デロイト トーマツ合同会社の節を参照

かつてのグループ会社

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  • トーマツ イノベーション株式会社

ビジネス研修などを行っていた人材育成企業。2019年4月1日にラーニングエージェンシー株式会社に社名変更し、独立した[8]

出来事

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金融庁による処分

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情報漏洩

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  • 2007年(平成19年)9月 - 旧みすず監査法人から移籍した職員個人所有のパソコンがAntinnyに感染し、旧みすず監査法人から移管した監査先企業24社の資料と個人情報7千件が流出した。

同法人への損害賠償訴訟

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大王製紙事件

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  • 大王製紙の創業家・井川意高が子会社に巨額の借り入れを行わせ、カジノに消費した事件において、適正意見が出されていた繰延税金資産計上額・固定資産売却取引・株式の減損・貸付金への引当金をめぐり過年度の決算5年分が遡及修正された[10]。当時会計監査を実施していたトーマツは金融庁の調査を受けたが、処分や戒告はなされなかった。大王製紙の監査は高松事務所と松山事務所の合同で行われていたが、この事件を受け地方事務所の再編強化等を行い[11]、会計監査人を退任した。2013年3月期以降の後任監査人はあらた監査法人(現:PwC Japan有限責任監査法人)である。

関連人物

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脚注

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出典

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  1. ^ 法人概要(有限責任監査法人トーマツ)
  2. ^ 柴田英樹「監査法人の未来像:監査法人の研究」『人文社会論叢 社会科学篇』第23号、弘前大学人文学部、2010年、67-99頁、ISSN 13450255NAID 120002004372 
  3. ^ 2015年・監査法人IPOランキング!トーマツが首位陥落、新日本がトップに!(公認会計士ナビ) - 株式会社ワイズアライアンス、2016年3月1日。
  4. ^ 4大監査法人、IPO監査に注力 トーマツは専門部署を復活 - 日本経済新聞、2024年10月25日。
  5. ^ 原征士「わが国監査法人の展開 : 監査業界の国際的変遷のなかで」『経営志林』第31巻第4号、法政大学経営学会、1995年1月、25-37頁、doi:10.15002/00003404ISSN 02870975NAID 110000062966 
  6. ^ デロイト トーマツ グループ旗艦オフィスを2019年春にグランドオープン - デロイト トウシュ トーマツ、2017年11月6日。
  7. ^ デロイト トーマツ グループ各社 本社移転のご案内 - デロイト トウシュ トーマツ、2018年11月26日。
  8. ^ 4月1日より株式会社ラーニングエージェンシー始動
  9. ^ “監査法人トーマツに賠償命令 「粉飾見抜けず損害」認定”. asahi.com (朝日新聞社). (2008年4月18日). オリジナルの2008年4月21日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20080421192817/http://www.asahi.com/national/update/0418/OSK200804180067.html 
  10. ^ オックスフォード・レポート 日本の経済社会に対するIFRSの影響に関する調査研究(金融庁)
  11. ^ 樋口晴彦「大王製紙会長による特別背任事件の事例研究」『千葉商大論叢』第51巻第1号、千葉商科大学、2013年9月、159-174頁、ISSN 0385-4558NAID 110009623985 

外部リンク

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