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岩出玲亜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岩出 玲亜 Portal:陸上競技
マラソングランドチャンピオンシップ
(2019年9月15日撮影)
選手情報
フルネーム いわで れいあ
ラテン文字 Reia Iwade
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技
種目 長距離走マラソン
生年月日 (1994-12-08) 1994年12月8日(29歳)
出身地 三重県津市
身長 155cm
体重 39kg
3000m 9分13秒30
5000m 15分41秒99
10000m 32分13秒21
ハーフマラソン 1時間9分45秒(2013年)
マラソン 2時間23分52秒 (2019年)
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岩出 玲亜(いわで れいあ、1994年12月8日 - )は、日本女子陸上競技選手。専門は長距離走マラソン

人物・経歴

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高校時代まで

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1994年12月8日三重県津市出身。津市立一志中学校時代に陸上競技を本格的に始め、全国中学校駅伝大会には津市立一志中学校メンバーとして1年次、2年次と2回連続出場し、2年次では2区を走り、通過順位を22位から12位に押し上げる区間7位の走りでチームの7位入賞に貢献した[1]。中学3年次では第28回皇后盃全国都道府県対抗女子駅伝競走大会(2010年)に三重県代表として出場し、中学生区間の8区を走った[2]

中学校卒業後、陸上競技の名門である愛知県豊川高等学校に進学。高校3年次には陸上部女子チームの主将を任され、第24回全国高等学校駅伝競走大会(女子)に1区走者として出場し、トップと6秒差の5位で襷を渡した。その後は下級生の3区鷲見梓沙、4区関根花観、5区堀優花らの巻き返しで準優勝[3] に留まり、豊川は大会3連覇を逸した。岩出は「自分のせいで負けた」と悔しい思いであったと云う[4]

ノーリツ所属時代

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2013年、豊川高等学校卒業と同時に実業団のノーリツに入社。実業団選手となってからはホクレンディスタンスチャレンジ実業団女子駅伝西日本大会全日本実業団対抗女子駅伝競走大会などに出場[5]。2013年山陽女子ロードレースハーフマラソンの部に出場して4位に入って1時間9分45秒のジュニア女子日本記録を更新した[6]

2014年、第21回世界ハーフマラソン選手権大会デンマークコペンハーゲン)では、代表選考レースであった前年の山陽女子ロードレースでジュニア日本記録更新での日本人2番目の成績となり、将来が期待され、日本代表選手に選出された[7]。同年3月29日のレースでは個人19位の成績であったが団体戦で日本女子が3位となり銅メダルを獲得した[8]。世界ハーフマラソンの後も織田幹雄記念国際陸上競技大会を始めとしてトラックレースに出場し、10月26日の実業団女子駅伝西日本大会に3区走者として出場した。

3週間後の2014年11月16日には自身初のフルマラソン挑戦として、世界陸上北京大会・女子マラソン代表選考レースの横浜国際女子マラソン大会に出場。レース終盤までトップ争いを演じる健闘ぶりで、2時間27分台のゴールタイムで3位に入選した。岩出が出したタイムは堀江知佳積水化学工業、当時)が2000年長野マラソンで記録した、2時間29分12秒を更新する10代女子日本最高記録となった[9]。翌2015年3月8日開催の名古屋ウィメンズマラソンに出走、再び同年8月開催の北京世界陸上女子マラソン日本代表を狙ったが、20Km手前で先頭集団から徐々に遅れて、結果2時間29分台の日本人5着・総合8位に留まった[10][11]

2016年3月13日、リオデジャネイロオリンピック・女子マラソン代表最終選考会の、名古屋ウィメンズマラソンに出場。30Km地点迄先頭集団に加わり、それ以降は優勝争いから遠ざかるも、自己ベスト記録を3分近く更新する2時間24分台のタイムで、日本人4着・総合5位に入った[12][13]

2016年9月25日、自身初の海外マラソン挑戦となるベルリンマラソンに出場、自己記録更新を目指したが、日本女子首位の総合4位ながらも記録は2時間28分台に留まった[13]。翌2017年3月12日、3年連続で名古屋ウィメンズマラソンへエントリーしたが、本番数日前から右足指の痛みが響き、7Km辺りで第2集団から離脱し、結局18Km付近で途中棄権した[14][15]

ドーム・アンダーアーマー所属時代

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2017年5月31日付でマラソン専念のためノーリツを退社し[16]ドーム(現・アンダーアーマー)に移籍した[17]

2017年11月12日開催のさいたま国際マラソンへ出場するも、予期せぬスローペースと強風の影響からか30km過ぎで優勝争いから脱落。日本女子トップの総合5位ながらも、タイムは2時間31分台に留まり、マラソングランドチャンピオンシップMGCシリーズ第2弾2020年東京オリンピック・女子マラソン選考会)出場権獲得は成らなかった[18]。翌2018年1月28日開催の大阪国際女子マラソン(MGCシリーズ第3弾)へ国内招待選手としてエントリーしていたが[19]、右太腿の故障により欠場を表明[20]

2018年3月11日開催の名古屋ウィメンズマラソン(MGCシリーズ第4弾)へ、国内招待選手としてスライド出場。25km地点迄はペースメーカーの先導する先頭集団についていったが、それ以降は優勝のメスケレム・アセファ英語版エチオピア)や高校の後輩である関根花観(日本郵政グループ)らから徐々に離された。それでも以降大きくペースダウンする事無く、うまく纏めて関根に次ぐ総合4位・日本女子2位でゴール。タイムは2時間26分台をマークし、漸くマラソングランドチャンピオンシップ出場権獲得を達成した[21]

2019年3月10日開催の名古屋ウィメンズマラソン(MGCシリーズ第8弾)に、2年連続して出走。32km過ぎに日本人で一時首位に立った福士加代子ワコール)に引き離されるが、レース終盤の40km手前辺りからラストスパートを掛けて福士に猛迫し、40.8km地点で福士を逆転。結果日本選手としてトップの総合5位入賞を果たし、さらにマラソン自己記録も46秒更新する、2時間23分台の好タイムでフィニッシュした[22][23]

2019年9月15日に開催された、2020年東京オリンピック選考会のマラソングランドチャンピオンシップ・女子マラソンに出場。序盤から5km毎のラップが16分台のハイペースへ果敢についていったが、その後10km地点前では早々第2グループの集団からも脱落。中間点では1時間14分19秒も掛かる苦しいレースと成り、30km過ぎで上原美幸第一生命保険)がリタイアした為、女子は岩出が最下位となってしまう。岩出自身も途中棄権を何度も考える中で懸命に走り続け、ラスト約1kmは沿道の観客とハイタッチをしながら、9位の最終走者として2時間41分台の記録でようやくフィニッシュ[24]。ゴール後の岩出は「今日は沿道の声援のおかげでゴールにたどり着けた。とても嬉しくて泣きながら完走を目指していた」と涙を流しつつコメント。その上で「このままで終わりたくない。まだ(オリンピックを)諦めてはいない」「残りの国内選考会で、東京五輪女子マラソン代表の残り1枠を狙う」と公言している[25][26]

MGCファイナルチャレンジ第3弾・最終選考会だった、2020年3月8日開催の名古屋ウィメンズマラソンへ6年連続して出走。レース序盤からハイペースで進む先頭集団へ積極果敢についていったが、15km付近で集団から後退。結局2時間28分台の総合9位・日本女子5位に留まり、念願の東京五輪代表入りは果たせなかった[27][28][29]

2020年8月31日付で岩出からの申し出によりアンダーアーマーアスレチッククラブを離籍。当面はフリーで競技を続行し、スポーツギフティングサービス・Unlimを利用して活動費としていく予定とした[30]

親族

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帝京大学スポーツ医科学センター教授で、帝京大学ラグビー部前監督を務める岩出雅之は叔父に当たる[31]。雅之は、2014年11月16日に明治大学に勝利して関東大学ラグビー対抗戦グループで4年連続優勝を決めた後の記者会見で、玲亜のことを聞かれて「勝ち気で、勝負に向かって行く子です。(初マラソンで)立派な成績やなあ」と相好を崩しながら語った[32]

自己ベスト

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  • 3000m - 9分13秒30
  • 5000m - 15分41秒99
  • 10000m - 32分13秒21
  • ハーフマラソン - 1時間9分45秒 (2013年12月23日、ジュニア日本記録)
  • マラソン - 2時間23分52秒 (2019年3月10日、名古屋ウィメンズマラソン)

フルマラソン全成績

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年月 大会 順位 記録 備考
2014年11月 横浜国際女子マラソン 3位 2時間27分21秒 初マラソン・世界陸上北京大会選考レース・10代女子マラソン日本最高記録
2015年3月 名古屋ウィメンズマラソン 7位 2時間29分16秒 世界陸上北京大会選考レース
2016年3月 名古屋ウィメンズマラソン 5位 2時間24分38秒 自己記録更新・リオデジャネイロオリンピック選考レース
2016年9月 ベルリンマラソン 4位 2時間28分16秒 日本女子首位・初の海外マラソン挑戦
2017年3月 名古屋ウィメンズマラソン DNF 途中棄権 18Km付近でリタイア
2017年11月 さいたま国際マラソン 5位 2時間31分10秒 日本女子首位・MGCシリーズ第2弾(東京オリンピック選考会)
2018年3月 名古屋ウィメンズマラソン 4位 2時間26分28秒 MGCシリーズ第4弾・MGC出場権獲得
2019年3月 名古屋ウィメンズマラソン 5位 2時間23分52秒 現自己記録・日本女子首位・MGCシリーズ第8弾
2019年9月 マラソングランドチャンピオンシップ 9位 2時間41分12秒 日本女子最下位・東京2020オリンピック日本代表選考競技会
2020年3月 名古屋ウィメンズマラソン 9位 2時間28分39秒 MGCファイナルチャレンジ第3弾
2021年12月 第52回防府読売マラソン 優勝 2時間31分32秒
2022年1月 第41回大阪国際女子マラソン 8位 2時間27分14秒
2022年3月 名古屋ウィメンズマラソン 11位 2時間27分03秒 ワイルドカードでのMGC出場権獲得
2022年12月 第36回青島太平洋マラソン 優勝 2時間35分26秒 大会新記録

脚注

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  1. ^ 三重陸協たより(平成20年度第5号) (PDF) 三重県陸上競技協会 平成21年2月7日発行
  2. ^ 三重陸協たより(平成20年度第6号) (PDF) 三重県陸上競技協会 平成22年2月14日発行
  3. ^ 神戸新聞NEXT|スポーツ|ノーリツ岩出が存在感 全日本実業団対抗女子駅伝 - ウェイバックマシン(2014年11月29日アーカイブ分)
  4. ^ 19歳岩出歴史作る 最後の横浜国際女子 日刊スポーツ 2014年11月16日閲覧
  5. ^ 2013年度 競技日程・報告 ノーリツ女子陸上競技部
  6. ^ ハーフマラソン、チェピエゴが初優勝 山陽女子ロード 朝日新聞 2013年12月23日付
  7. ^ 東愛知新聞(2014/02/25) 岩出選手が世界ハーフマラソン日本代表に
  8. ^ 第21回世界ハーフマラソン選手権大会 ノーリツ女子陸上競技部
  9. ^ 岩出玲亜 10代マラソン日本最高の快走、1度のチャンスで記録更新 スポーツニッポン 2014年11月16日閲覧
  10. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2015 記録表 2015年3月8日発行
  11. ^ ノーリツ女子陸上競技部 2015年度 競技日程・報告
  12. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2016 記録表 2016年3月13日発行
  13. ^ a b ノーリツ女子陸上競技部 2016年度 競技日程・報告
  14. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2017 RESULT 2017年3月12日発行
  15. ^ 岩出、18キロ付近で棄権…「練習はごまかせてもレースはごまかせない」/マラソン サンスポ 2017年3月12日記事
  16. ^ 女子マラソン10代日本最高・岩出玲亜、ノーリツ退社「東京五輪を目指しマラソンに専念」 スポーツ報知 2017年5月31日
  17. ^ 心機一転の移籍後初マラソンへ 10代記録持つ岩出玲亜 朝日新聞 2017年11月10日
  18. ^ 岩出玲亜、スローペース「裏切られた!」強風も影響 日刊スポーツ 2017年11月12日記事
  19. ^ 岩出玲亜、自己ベスト更新目指す「23分台で走りたい」/マラソン サンスポ 2018年1月4日記事
  20. ^ 岩出玲亜が右太もも裏痛で大阪国際女子マラソン欠場 日刊スポーツ 2018年1月16日記事
  21. ^ 陸上:名古屋ウィメンズマラソン2018 スポーツナビ 2018年3月11日 9時10分スタート
  22. ^ 女子マラソン速報 - 名古屋ウィメンズマラソン2019 スポーツナビ 2019年3月10日付
  23. ^ 岩出玲亜、日本人トップ5位 名古屋ウィメンズマラソン 朝日新聞デジタル 2019年3月10日付
  24. ^ マラソングランドチャンピオンシップ・女子公式リザルト(PDF)
  25. ^ MGC最下位の岩出、棄権考えたが…声援受け涙のゴール 朝日新聞デジタル 2019年9月15日付
  26. ^ 岩出、沿道の声援励みに完走「涙出た。嬉しかった」 日刊スポーツ 2019年9月15日付
  27. ^ 名古屋ウィメンズマラソン2020・結果順位表 スポーツナビ 2020年3月8日付
  28. ^ 五輪マラソン 岩出は代表入りならず 三重 伊勢新聞 2020年3月9日付
  29. ^ 名古屋ウィメンズマラソン 津出身・岩出9位「応援に感謝」 五輪逃がすも「悔いなく」 伊勢新聞 2020年3月9日付
  30. ^ “岩出玲亜がアンダーアーマー離れる「とても感謝」”. 日刊スポーツ. (2020年8月20日). https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/202008200000589.html 2020年9月18日閲覧。 
  31. ^ 横浜女子マラソン 19歳“期待の星”岩出の危険な賭け 日刊ゲンダイ 2014年11月16日付
  32. ^ 帝京大・岩出監督、めい活躍で二重の喜び「立派やな」/関東対抗戦 サンケイスポーツ 2014年11月16日付

外部リンク

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