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宮川 (三重県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
宮川
宮川 2006年5月3日撮影
宮川(三重県大台町)
水系 一級水系 宮川
種別 一級河川
延長 91 km
平均流量 36.3 m3/s
(岩出観測所 2002年)
流域面積 920 km2
水源 大台ヶ原山(三重県)
水源の標高 1,695 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県)
流域 日本の旗 日本 三重県

地図

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宮川(みやがわ)は、三重県南部を流れる一級河川。延長91kmは、三重県のみを流れる河川としては最も長い。国土交通省の一級河川水質調査(BODを基準としている。2012年に順位付け廃止)で、過去11回(2006年からは6年連続)1位となっており、清流として知られる[1]神宮式年遷宮お白石持行事に使用する石は、この宮川の河原から採集する。

地理

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三重県多気郡大台町と奈良県との県境の大台ヶ原山に源を発する[2]。上流域は近畿の秘境とも日本三大渓谷の一つとも謳われる大杉谷である。大内山川などの支流と合流しながら北東に流れ、伊勢市伊勢湾に注ぐ。流域には多目的ダム宮川ダム三瀬谷ダムの他に11のダムがある。

上中流域には河岸段丘が発達しており、特に大台町神瀬付近から対岸方向を観察すると分かりやすい[3]。この段丘面を利用した伊勢茶の栽培が盛んである[4]

河口域にはデルタ地帯を形成しており、最も大きい三角州は人の住む伊勢市大湊町となっている。

語源

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川の名前は豊受大神宮川であったことに由来する。かつては「豊宮川」といわれたが、「豊」の字を略して宮川の名がついたとされる。

治水

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世界的にも多雨で知られる大杉谷を源流とする宮川は毎年のように氾濫し、大水害をたびたび引き起こした。宮川下流周辺に伊勢神宮があるため、神宮を重視した豊臣秀吉と後の江戸幕府山田奉行所により治水工事が行なわれ、洪水の被害は激減した。しかし増水に耐えられるが下流域に架けられたのは明治期になってからである。江戸時代には神宮のある右岸を偏重する治水工事が行なわれたため、左岸の洪水被害は拡大したという。

宮川(三重県大紀町)

1957年に宮川ダム、1966年に三瀬谷ダムが作られてからは宮川下流域で大規模な水害が発生することは永らくなかったが、2004年の台風21号による増水で支流の横輪川が氾濫するなどで、伊勢市において床上浸水203棟、床下浸水97棟の被害となった。この台風21号は上流の旧宮川村においては、土石流などで死者6名他の被害者を出す大災害を引き起こした。

自然

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宮川流域では90以上の魚類が確認されており、このうち7種は三重県のレッドデータブックに記載されている種である。流域には3つの漁業協同組合があり、アユアマゴウナギなどに漁業権が設定されている。

主な支流

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錦水橋と勢田川

支流の勢田川(せたがわ)は伊勢市の中心部を流れる勢田川は河口で五十鈴川と繋がっているが、宮川とは三角州の大湊で接しているに過ぎない。しかし治水目的の勢田川の改修が伊勢市には財政上困難であったため、一級河川に指定する目的で宮川水系であるとされ、河口に水門を設けるなどの大改修が昭和50年以降に行なわれた。宮川右岸の伊勢市内の生活排水の大部分は意図的に勢田川に流されている。勢田川は大正時代までは人が泳げるほどの綺麗な川であったというが、人口が増加したことと下水道整備の遅れもあって徐々に汚染が進み、1980年ころには三重県でもっとも汚い川となった。観光地の中心を流れる川がこのような状況では問題であるため、2003年に汚泥の浚渫(しゅんせつ)を行なった他、宮川の水を定期的に流すなどの方法で水質改善を行っている。多くの伊勢市民に待ち望まれていた下水道も2006年より順次供用される。

その他、一級河川のみを下流側から順に記載する[5][6]

河川 よみ 次数 管理者 主な経過地 河川延長
(km)
備考
宮川 みやがわ 本川 中部地方整備局
三重県
大台町、多気町、大紀町、
度会町、玉城町、伊勢市
91
大湊川 おおみなとがわ 1次支川 中部地方整備局 伊勢市
五十鈴川 いすずがわ 2次支川 中部地方整備局
三重県
伊勢市
勢田川 せたがわ 3次支川 中部地方整備局
三重県
伊勢市
伊勢市 7.3
桧尻川 ひのきじりがわ 4次支川 三重県
伊勢市
伊勢市
朝川 あさかわ 4次支川 三重県
伊勢市
伊勢市
朝川支川 あさかわしせん 5次支川 三重県
伊勢市
伊勢市
五十鈴川派川 いすずがわはせん 3次支川 三重県 伊勢市
松下川 まつしたがわ 4次支川 三重県
伊勢市
伊勢市
朝熊川 あさまがわ 3次支川 三重県 伊勢市
汁谷川 しるたにがわ 1次支川 三重県
伊勢市
玉城町、伊勢市
横輪川 よこわがわ 1次支川 三重県
伊勢市
伊勢市
雨渕川 あまぶちがわ 2次支川 三重県 伊勢市
一之瀬川 いちのせがわ 1次支川 三重県
度会町
度会町
濁川 にごりがわ 1次支川 三重県 度会町、多気町
下津又川 しもつまたがわ 2次支川 三重県 多気町
注連指川 しめさすがわ 1次支川 三重県
度会町
大紀町、度会町
尾合川 おごうがわ 1次支川 三重県 大紀町
藤川
川井谷川
ふじかわ
かわいたにがわ
1次支川 三重県
大紀町
大紀町
大谷川 おおたにがわ 1次支川 三重県 大台町
大内山川 おおうちやまがわ 1次支川 三重県 大紀町、大台町
頓登川 とんどがわ 2次支川 三重県
大紀町
大紀町
巾田河内川 はばたこうちがわ 2次支川 三重県
大紀町
大紀町
奥河内川
焼尾川
おくこうちがわ
やきおがわ
2次支川 三重県
大紀町
大紀町
注連小路川 しめこうじがわ 2次支川 三重県 大紀町
古和河内川 こわこうちがわ 2次支川 三重県 大紀町
笠木川 かさぎがわ 2次支川 三重県 大紀町
三ヶ野川 さんがのがわ 2次支川 三重県 大紀町
唐子川 からこがわ 2次支川 三重県 大紀町
梅ヶ谷川 うめがたにがわ 2次支川 三重県 大紀町
梅ヶ谷栃古川 うめがたにとちこがわ 3次支川 三重県 大紀町
栃古川 とちこがわ 2次支川 三重県 大紀町
寺谷川 てらたにがわ 1次支川 三重県 大台町
浦谷川 うらたにがわ 1次支川 三重県 大台町
栗谷川 くりたにがわ 1次支川 三重県 大台町
桧原谷川 きそはらたにがわ 1次支川 三重県 大台町
大和谷川 やまとたにがわ 1次支川 三重県 大台町
垣外俣谷川 かいとまただにがわ 2次支川 三重県 大台町
三滝谷川 みたきたにがわ 2次支川 三重県 大台町
地池谷川 ちいけたにがわ 2次支川 三重県 大台町
焼山谷川 やきやまたにがわ 2次支川 三重県 大台町
父ヶ谷川 ちちがたにがわ 1次支川 三重県 大台町
長古須谷川 なこすたにがわ 1次支川 三重県 大台町
倉元谷川 くらもとだにがわ 1次支川 三重県 大台町
橋立谷川 はしだてだにがわ 1次支川 三重県 大台町
桑木谷川 くわのきだにがわ 1次支川 三重県 大台町
美濃谷川 みのうだにがわ 1次支川 三重県 大台町
うぐい谷川 うぐいたにがわ 1次支川 三重県 大台町
不動谷川 ふどうたにがわ 1次支川 三重県 大台町
小不動谷川 こふどうたにがわ 2次支川 三重県 大台町
与八郎谷川 よはちろうだにがわ 1次支川 三重県 大台町
西谷川 にしたにがわ 1次支川 三重県 大台町
粟谷川 あわたにがわ 2次支川 三重県 大台町
堂倉谷川 どうくらたにがわ 1次支川 三重県 大台町

主な橋梁

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度会橋 東詰(2008年10月30日)
豊浜大橋

宮川には江戸時代まで堅固な橋はなく街道から来た参宮者が宮川を渡るときは渡し舟を利用する必要があった[7]。明治時代になり伊勢街道に洪水時には部材を取り外すことができる木製仮橋が架けられ、1897年には平行して鋼鉄製の鉄道橋(宮川橋梁)が架けられた[7]

  • 大台町
    • 新大杉橋、大杉谷橋、宮川大橋
  • 大台町・大紀町境界
  • 大台町・度会町境界
    • 田口大橋
  • 度会町
    • 中川大橋、鮠川大橋、久具都比売橋、内城田大橋
  • 伊勢市・度会町境界
    • 南伊勢大橋:伊勢市と度会町を往来する際、利用頻度の高い橋。
  • 伊勢市・玉城町境界
  • 伊勢市
    • 度会橋三重県道37号鳥羽松阪線(旧国道23号線)にある、伊勢を代表する橋。4車線
    • 宮川橋:度会橋のそばにある橋。バス路線になっている。
    • 豊浜大橋:2車線、歩道なし。
    • 宮川大橋国道23号(南勢バイパス)にある。4車線。なお同名の橋が大台町にも存在する。当河川で最も河口に近い橋。

流域の自治体

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伊勢市川端町付近

三重県

流域の公園

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  • 大台町B&G海洋センター
  • 宮リバー度会パーク
  • 宮川堤公園:地域では「桜の名所」として知られる。
  • 宮川親水公園
  • 宮川ラブリバー公園

脚注

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  1. ^ 吉野淳一「エコパーク拡張 大台町全体に 活性化へ まず地元愛」『中日新聞』2016年4月3日付朝刊、三重版26頁。
  2. ^ 大喜多(1985):102ページ
  3. ^ 大喜多(1985):102 - 104ページ
  4. ^ 大喜多(1985):103 - 104ページ
  5. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川コード表編)” (PDF). 2023年6月8日閲覧。
  6. ^ 国土交通省中部地方整備局. “河川コード台帳(河川模式図編)” (PDF). 2023年6月8日閲覧。
  7. ^ a b 参宮鉄道延長補充線路宮川橋梁之図”. 三重県. 2021年12月5日閲覧。

参考文献

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  • 大喜多甫文(1985)"宮川上・中流の風土と産業"三重地理学会 編『三重県の地理散歩』(荘人社、昭和60年1月20日、193p. ISBN 4-915597-02-4 ):102-106.

外部リンク

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関連項目

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