コンテンツにスキップ

国鉄タキ11200形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄タキ11200形貨車
タキ11200形 コタキ11207タンク車 1994年6月25日 伏木駅
タキ11200形 タキ11207タンク車
1994年6月25日 伏木駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 ラサ工業→東北肥料→コープケミカル
新潟硫酸→サン化学→コープケミカル
燐化学工業
サン化学→コープケミカル
製造所 川崎車輛新潟鐵工所日本車輌製造
製造年 1968年(昭和43年) - 1978年(昭和53年)
製造数 14両
消滅 1997年(平成9年)
常備駅 太郎代駅半田埠頭駅
主要諸元
車体色
専用種別 リン酸
化成品分類番号 80
軌間 1,067 mm
全長 10,800 mm
全幅 2,420 mm
全高 3,597 mm
タンク材質 耐候性高張力鋼
荷重 35 t
実容積 22.1 m3
自重 14.5 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 1.4
台車 TR41C、TR225
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 7,000 mm
最高速度 75 km/h
テンプレートを表示

国鉄タキ11200形貨車(こくてつタキ11200がたかしゃ)は、1968年(昭和43年)から製作された、リン酸専用の 35 t貨車タンク車)である。

私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継された。

本形式と同一の専用種別であるタキ11300形についても本項目で解説する。

タキ11200形

[編集]

タキ11200形1968年(昭和43年)から1978年(昭和53年)にかけて14両(タキ11200 - タキ11213)が川崎車輛新潟鐵工所日本車輌製造にて製作された。

記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「タキ」と標記する。

本形式の他にリン酸を専用種別とする形式は、タ4200形(1両)、タム8200形(3両)、タキ1200形(1両)、タキ1250形(8両)、タキ3650形(1両)、タキ11300形(2両)、タキ17400形(2両)の7形式がある。

本形式の前級であるタキ1250形(ステンレス鋼製)は30t 積であり最終車両は1968年(昭和43年)7月9日の製造であった。次の車両の製造は本形式及びタキ11300形へと移行した。2形式とも35t 積でありそれぞれの形式の最初の車両(トップNo車)は、共に1968年(昭和43年)8月3日に川崎車輛にて製造された。複数の後継形式があることは一般的であるが、同一メーカーにて同時期に開発されることはまれであった。タンク体は本形式が耐候性高張力鋼(内部ゴムライニング)製であったのに対してタキ11300形は前級と同じステンレス鋼製であり、実容積は両形式とも22.1m3であった。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号80」(侵食性の物質、腐食性物質、危険性度合3(小))が標記された。

落成当時の所有者は、ラサ工業、新潟硫酸、燐化学工業、サン化学の4社であった。その後新潟硫酸所有車4両は1970年(昭和45年)8月19日にサン化学へ名義変更した。ラサ工業所有車2両は1975年(昭和50年)12月1日に東北肥料へ名義変更した。

1983年(昭和58年)4月に、サン化学と東北肥料が合併してコープケミカルとなった。これによりタキ11200形はコープケミカル10両、燐化学工業4両の2社に絞られた。

タキ5750形の設計を流用したため両形式の外観は酷似している。キセ(外板)なしドーム付きタンク車であり、荷役方式は上入れ、上出し式(S字管使用)である。

塗色は、であり、全長は10,800mm、全幅は2,420mm、全高は3,597mm、台車中心間距離は7,000mm、自重は14.5t、換算両数は積車5.0、空車1.4、最高運転速度は75km/h、台車は12t車軸を使用したTR41C、TR225である。

最後まで在籍した3両(タキ11206 - タキ11208)が1997年平成9年)度に廃車、同時に形式消滅となった。

年度別製造数

[編集]

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和43年度 - 6両
    • 川崎車輛 2両 ラサ工業(タキ11200 - タキ11201)
    • 新潟鐵工所 4両 新潟硫酸(タキ11202 - タキ11205)
  • 昭和45年度 - 1両
    • 日本車輌製造 1両 燐化学工業(タキ11206)
  • 昭和46年度 - 2両
    • 日本車輌製造 2両 燐化学工業(タキ11207 - タキ11208)
  • 昭和48年度 - 1両
    • 日本車輌製造 1両 燐化学工業(タキ11209)
  • 昭和53年度 - 4両
    • 川崎重工業 4両 サン化学(タキ11210 - タキ11213)

タキ11300形

[編集]
国鉄タキ11300形貨車
タキ11300形、コタキ11300 1995年6月3日、半田埠頭駅
タキ11300形、タキ11300
1995年6月3日、半田埠頭駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日本化学工業
製造所 川崎車輛、汽車製造
製造年 1968年(昭和43年)
製造数 2両
消滅 1997年(平成9年)
常備駅 郡山駅
主要諸元
車体色 ステンレス鋼地色(銀色)
専用種別 リン酸
化成品分類番号 80
軌間 1,067 mm
全長 10,800 mm
全幅 2,420 mm
全高 3,647 mm
タンク材質 ステンレス鋼
荷重 35 t
実容積 22.1 m3
自重 14.0 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 1.4
台車 TR41C
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 7,000 mm
最高速度 75 km/h
テンプレートを表示
タキ11300形、タキ11301
1995年6月3日、半田埠頭駅

タキ11300形は、リン酸専用の35t 積タンク車として1968年(昭和43年)8月3日に川崎車輛にて1両(タキ11300)、同年8月31日に汽車製造にて1両(タキ11301)がそれぞれ製作された。

記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「タキ」と標記する。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「80」(侵食性の物質、腐食性物質、危険性度合3(小))が標記された。

所有者は、日本化学工業の1社のみでありその常備駅は、福島県郡山駅であった。

2車の製造メーカーは異なるため、その両車の外観は大きく異なる。ドームの高低、補強環の有無が大きな識別点であった。荷役方式はマンホールからの上入れ、空気圧を使用した液出管からの上出し式である。

塗色は、ステンレス鋼地色(銀色)であり、全長は10,800mm、全幅は2,420mm、全高は3,647mm、台車中心間距離は7,000mm、自重は14.0t、換算両数は積車5.0、空車1.4、台車は12t車軸を使用したTR41Cである。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には2両全車の車籍がJR貨物に継承されたが、1997年2月の廃車と同時に形式消滅となった。

参考文献

[編集]
  • 鉄道公報
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目

[編集]