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1 4 9 16 = 30 は四角錐数
四角錐数 (しかくすいすう、square pyramidal number)は球を右図のように1段目に1個、2段目に4個、3段目に9個、…というように正四角錐 の形に積んだとき、そこに含まれる球の総数にあたる自然数 である。つまり1 から順に平方数 をいくつか加えた数のことである。
四角錐数を小さい順に列記すると
1 , 5 , 14 , 30 , 55 , 91 , 140 , 204 , 285 , 385 , 506 , 650 , 819 , 1015 , 1240, …(オンライン整数列大辞典 の数列 A330 )
例: 1, 5 (=1 4), 14 (=1 4 9), 30 (=1 4 9 16), 55 (=1 4 9 16 25)
n 番目の四角錐数は 1 から n 番目の平方数 n 2 までの和に等しいので
∑
k
=
1
n
k
2
=
n
(
n
1
)
(
2
n
1
)
6
{\displaystyle \sum _{k=1}^{n}k^{2}={\frac {n(n 1)(2n 1)}{6}}}
で表される。これは以下のように証明される。まず n 番目の三角数 を Tn 、n 番目の四角錐数を Sn とすると、
S
1
T
1
=
1
1
=
3
3
,
S
2
T
2
=
5
3
,
S
3
T
3
=
14
6
=
7
3
,
S
4
T
4
=
30
10
=
9
3
,
.
.
.
,
S
n
T
n
=
2
n
1
3
{\displaystyle {\frac {S_{1}}{T_{1}}}={\frac {1}{1}}={\frac {3}{3}}\ ,\quad {\frac {S_{2}}{T_{2}}}={\frac {5}{3}}\ ,\quad {\frac {S_{3}}{T_{3}}}={\frac {14}{6}}={\frac {7}{3}}\ ,\quad {\frac {S_{4}}{T_{4}}}={\frac {30}{10}}={\frac {9}{3}}\ ,\ ...\quad ,{\frac {S_{n}}{T_{n}}}={\frac {2n 1}{3}}}
となるので、
S
n
=
2
n
1
3
T
n
=
2
n
1
3
n
(
n
1
)
2
{\displaystyle S_{n}={\frac {2n 1}{3}}\ T_{n}={\frac {2n 1}{3}}\ {\frac {n(n 1)}{2}}}
が得られる。
また組み合わせ の記号を用いると
S
n
=
n
1
C
3
n
2
C
3
{\displaystyle S_{n}={}_{n 1}{\rm {C}}_{3} {}_{n 2}{\rm {C}}_{3}\,}
となる。これは四角錐数が連続する三角錐数 の和で表せることを示しており、四角数が連続する三角数の和で表せることと類似の定理である。
四角錐数は1から順に奇数 -奇数-偶数 -偶数 といった順番の繰り返しで現れる。
四角錐数のうち三角数 でもある数は 1 , 55 , 91 , 208335 の4つのみである。(オンライン整数列大辞典 の数列 A039596 )
四角錐数のうち平方数 でもある数は 1 と 4900 (24番目の四角錐数)の 2 つのみである。また四角錐数でなおかつ三角錐数 でもある数は 1 のみである。
n × n マスの方眼 の中に含まれる正方形 の数は n 番目の四角錐数に等しい。
1
2
=
3
{\displaystyle 1 2=3}
4
5
6
=
7
8
{\displaystyle 4 5 6=7 8}
9
10
11
12
=
13
14
15
{\displaystyle 9 10 11 12=13 14 15}
…
と無限に続く足し算の等式はタルタリアの三角形 と呼ばれる。上から n 段目の等式の値は n 番目の四角錐数の3倍である。
3
2
4
2
=
5
2
{\displaystyle 3^{2} 4^{2}=5^{2}}
10
2
11
2
12
2
=
13
2
14
2
{\displaystyle 10^{2} 11^{2} 12^{2}=13^{2} 14^{2}}
21
2
22
2
23
2
24
2
=
25
2
26
2
27
2
{\displaystyle 21^{2} 22^{2} 23^{2} 24^{2}=25^{2} 26^{2} 27^{2}}
…
と無限に続く自乗和の等式も同じ名で呼ばれる。等式の値は n 番目の四角錐数の 12n(n 1) 1 倍である。この値は1から n までの立方和の 16(n 1/2) 倍と n 番目の四角錐数の和にも等しく、1から n までの4乗和(n 番目の四角錐数の {3n(n 1) - 1}/5 倍)の20倍と n 番目の四角錐数の5倍の和にも等しい。1段目から n 段目までの総和は、足し算の三角形のそれの1/3(即ち1番目から n 番目までの四角錐数の総和)の 8n(n 2) 1 倍である。