ワンオペ
ワンオペとは、
- 単一の操作・工程の意(one operation)。
- 1つの店舗・事務所などで1人の従業員・担当者にすべての業務を行わせている状態のこと。ワンマン・オペレーションの略。本記事ではこれについて記述する。下記の牛丼チェーンの深夜の労働体系が2014年に社会問題となった。
発端と派生語
[編集]すき家における深夜勤務のワンオペ問題
[編集]2014年に牛丼店「すき家」の全国の店舗の大半で、ワンオペによる深夜の労働体系が敷かれていたことが発覚[1]。この牛丼チェーンの労働体系を指した「ワンオペ」という言葉が同年に話題となった[2]。一例として、ある大学生はメディアのインタビューに対し、ワンオペの影響で9時間にわたり休憩をとらないまま1人勤務に就いたとの経験を告白した[3]。また従業員に対するアンケートによれば、「回転(24時間以上の連続勤務を週数日間連続でこなしてしまう)により、居眠り運転による事故を起こした」「年末に親に会い、20㎏もやせてみていられない。やめてくれと頼まれた」などといった意見が寄せられ、中には月あたり500時間以上勤務したという事例や、2週間以上も自宅に帰ることができなかったという人もいたとされる[4]。
これらの問題に対し、同社が組織した外部有識者らで構成する第三者委員会から「法令違反」とする指摘があったことから、ワンオペを取り入れていた多くの店では2014年10月以後、深夜0時から5時の営業を停止する[1]か、2人以上の従業員を配置しローテーションを図る[5]ことにより、ワンオペを「できるだけなくす」としている。
また、これらの過労により、勤務中に倒れてそのまま死亡した従業員のケースも発覚した[6]。
フルタイム女性におけるワンオペ育児・外部委託サービス
[編集]上記のチェーン店での労働体系「ワンオペ」が社会問題となった、その翌2015年ころからTwitterで親族の支援の無い核家族夫婦 子供の共働き家庭で、夫婦のうちどちらか1人のみが育児などを行っている状態を指す言葉として、「ワンオペ育児」が生まれた。共働き世帯がレアだった時は女性が育児・男性が稼ぎという役割分担は普通のことで、専業主婦又は親族の育児支援で社会はうまく回っていた。しかし、一家の家計を男性単独で担える程の賃金が困難となった後は余程男性側の収入が高い場合を除き、共働きじゃないと家計がやっていけない家庭が増えたことで、共働き家庭が増えている。育児女性は「仕事と両立」という社会的な風潮・核家族化で親族からの育児支援が受けられないケースが広がっている中で、特にフルタイム共働き育児女性側への稼ぐこと・育児双方の負担が問題視されるようになった[2]。
「フルタイム男性とフルタイム女性の育児夫婦」という共働き世帯は増加したことで、外部委託サービス提供企業が出来たが、フルタイム女性による家事代行や育児代行(ベビーシッター)など金銭を用いた委託文化がまだまだ浸透していない[7]。しかし、産後に働いている女性が「手取り÷職務労働に費やした時間」から「実質的な自己の時給」を計算し、コレを下回る金額の外部委託サービス(ベビーシッターなど)を使用しないことは金銭的に損だと指摘されている[8]。
出典
[編集]- ^ a b すき家が深夜営業中止 全体の6割、1167店で(サンケイスポーツ、2014年9月30日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ a b “流行語になった背景は?「ワンオペ育児」藤田結子教授に聞く実態”. kufura(クフラ)小学館公式. 2024年3月2日閲覧。
- ^ すき家バイト「ワンオペ体験」告白 「調理方法が分からずヤフー知恵袋で調べた」(弁護士ドットコム、2014年10月15日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ 「20キロ痩せた」「24時間連続勤務」…すき家元社員が明かした勤務実態(サンケイスポーツ、2014年8月2日付、2015年2月11日閲覧)
- ^ すき家、深夜営業を再開へ…人手確保にめど(サンケイスポーツ2015年1月23日 2月11日閲覧)
- ^ “すき家「ワンオペ」中に女性店員死亡 再発防止へ早朝時間帯も複数勤務体制に移行”. 日刊スポーツ (2022年6月2日). 2022年6月2日閲覧。
- ^ “年収840万円夫婦が家事代行を使うのは悪か”. 東洋経済オンライン (2018年5月13日). 2024年3月2日閲覧。
- ^ “共働きFPが実際に使っている家事代行サービスって? 利用しないと「損」な理由を徹底解説 - with class -講談社公式- 家族の時間をもっと楽しく”. with class (2022年1月12日). 2024年3月2日閲覧。