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ローマンカモミール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ローマンカモミール
Chamaemelum nobile1
ローマンカモミールの花
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
: キク目 Asteraies
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: キク連 Anthemideae
: カマエメルム属Chamaemelum
: ローマンカモミール
学名
Chamaemelum nobile (L.)All.
シノニム

Anthemis nobilis (L.)

和名
ローマカミツレ
英名
Roman chamomile

ローマンカモミール、あるいはローマンカモマイル(学名:Chamaemelum nobile )は、キク科の多年草である。一般的にカモミールと呼ぶものには、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種がある。この2種は成分や形態に似ている部分もあるが、分類上の属は異なる[1][2]。ヨーロッパではハーブとして、どちらも同じように使われてきた。

語源

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カモミールはギリシア語で「地上のリンゴ」を意味するが、そのリンゴに似た芳香に由来すると考えられる[3]。16世紀にドイツの作家がイタリアを旅行した時にローマで見つけたというだけで[3]、名前と原産地とは関係がない。

生態

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ヨーロッパ、北アフリカ、アジアにわたり広く自生している[2]

一年草のジャーマンカモミールとちがって、毎年6月から7月の夏に2 - 3センチの小さな花を咲かせる多年草であり、茎は毛状に地面を這うように伸びて行く。このため芝づくりにも利用される。葉にはリンゴのような香りがある[2][1]

主な栽培品種

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ダブルフラワーカモミール A. nobilis 'Flora Pleno'
多弁花、八重咲きの栽培種で、花びらはクリーム色で二重になっている。フランスでは大規模な栽培が行われている[2]
ノンフラワーカモミール A. nobilis 'Treneague'
花をつけないで、丈が低くカーペットのように拡がるため、芝づくりに最適である[2]

また、栽培品種ではないが、同じ属にダイヤーズカモミール A. tinctoriaという種がある。和名をコンヤカミツレといい、主にフランスで栽培され、鮮やかな黄色の花をつけ、染色にも利用されている[2][1]

歴史

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古くから薬草として知られ、古代エジプトでは太陽神への捧げものにされた。穏やかで確かな薬効のあるハーブとして、アラビア、ヨーロッパで古代より広く利用された。特に悪寒に効くとされ尊ばれていた。ギリシャでは熱病や婦人病の治療に使われた。また、カモミールのように踏まれるたびに成長せよという言葉もあり、逆境にあるものを励ます言葉にも使われた[4]。このハーブの花言葉には「逆境におけるエネルギー」というものがある。そのような生命力の強さを利用して、古くから庭の小道やベンチなどに植え込まれた。イギリスのバッキンガム宮殿キューガーデンでは、それらを観る事ができる[2]。また、虫除けの効果もあるとのことから、床にまき散らして疫病などを防ぐストローイングハーブとしても用いられた[2]

薬効

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ハーブティーはリンゴに似た香りで、嗜好品として、また鎮静効果を持つとされ、不安、胃腸の不調、不眠などをの不調を治すために使われてきた[3]カマメロサイドという成分にはAGEsの増加を阻害する働きがあり、抗糖化作用アンチエイジングが期待できる。花の中心の黄色の部分に、薬効のすべてが含まれている[2]。安全で効果的なハーブといわれるが、キク科アレルギーを持つ人には用いない。カモミールティーでアナフィラキシー反応を起こし、死亡した例がある。

精油

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ローマンカモミールから採れる精油は、無色かかすかに青い色をしており、ハーブ調のフルーティーであたたかい、紅茶のような香りがする[5]。色は数週間で消える。

鎮静作用の効果があるとされるエステルの含有率が高く、その芳香はストレス解消や不眠に効能があるとされ、入浴剤にも使われている[2]。ジャーマンカモミール油と異なり、ローマンカモミール油の抗炎症作用は弱く、抗微生物活性はない[5]

アロマテラピーでは多くの効果が喧伝されるが、科学的研究でジャーマンカモミール油と混同されることがあり、知られる薬効はジャーマンカモミール油のデータに基づくものが多い[5]。これらの精油は成分組成は異なるため、ローマンカモミール油の効能を証明する研究は事実上ほとんどない。

精油や精油を含んだ軟膏などの使用によるアレルギー反応(主に接触性皮膚炎)、アナフィラキシー反応が報告されている[5]。アレルギー反応を誘発する恐れがあるため、特にキク科にアレルギーを持つ人は使用しない。

近縁種

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脚注

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  1. ^ a b c “りんごのような香りがするハーブ カモミール(カミツレ)”. 京都けえ園芸企画舎. http://yasashi.info/ka_00007.htm 2014年8月23日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h i j 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版、2005年、 p25-28
  3. ^ a b c A.W.ハットフィールド 著 『ハーブのたのしみ』 山中雅也・山形悦子 訳、八坂書房、1993年
  4. ^ レスリー・ブレムネス『ハーブ事典 ハーブを知りつくすAtoZ』文化出版局、1999年、p34
  5. ^ a b c d マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年

参考文献

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  • 英国王立園芸協会『A-Z園芸植物百科事典』誠文堂新光社、2003年6月。ISBN 978-4416403006 
  • 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版、2005年12月。ISBN 978-4490106848 
  • レスリー・ブレムネス『ハーブ事典 ハーブを知りつくすAtoZ』文化出版局、1999年8月。ISBN 978-4579206780 

関連項目

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