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レスリー・グリーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レスリー・グリーン
レスリー・グリーンの左横顔
1906年撮影
生誕 レスリー・ウィリアム・グリーン
(1875-02-06) 1875年2月6日
メイダ・ヴェール英語版
死没 1908年8月31日(1908-08-31)(33歳没)
職業 建築家
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レスリー・ウィリアム・グリーン(Leslie William Green、1875年2月6日 - 1908年8月31日[1]イングランド建築家である。20世紀初頭に建設されたロンドン中心部の、象徴的なオックスブラッド英語版 と呼ばれる赤褐色のタイルが貼られ、と半円形の1階部分の窓で構成されるファサード、図案化されたタイルで装飾された内装を備えるロンドン地下鉄を設計したことで知られる。

若年時代と私生活

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ロンドンメイダ・ヴェール英語版で1875年に建築家、国王所有地のサーベイヤーだったアーサー・グリーンと妻エミリーの4人の子供の第二子として生まれた[1]ドーバー・カレッジ英語版サウス・ケンジントン学校パリで学生生活を送り、就学期間の間に建築家である父の作業を手伝った[1][2]

ミルドレッド・エセル・ワイルディ(1879年 - 1960年)と1902年4月にクラッパム英語版で結婚し、娘ヴェラ(1904年 - 1995年)を授かっている。

職歴

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建築家としての職務を1897年に開始、1900年ヘイマーケットに移るまでは父親の事務所経由で仕事を請け負った。1903年 にはストランド近くのアダム・ストリートにあるアダルフィ・ハウスに移っている。1898年王立英国建築家協会 (RIBA)の準会員に、1899年に会員になり、初期はロンドン各地の店や住宅の依頼を受けていた[1][2]

1903年ロンドン地下電気鉄道 (UERL)の建築家に任命され、ロンドン地下電気鉄道傘下の当時建設中だったのちに順にピカデリー線ベーカールー線ノーザン線の一部となる3つの地下鉄会社グレート・ノーザン・ピカデリー・アンド・ブロンプトン鉄道 (GNP&BR)、 ベーカーストリート・アンド・ウォータールー鉄道 (BS&WR) 、チャリングクロス・ユーストン・アンド・ハムステッド鉄道 (CCE&HR)各社の50駅の外観、内装、装飾を担当した[1][2]

ラッセル・スクエア駅
グリーンが設計した駅ホームのタイル装飾の例

駅が設置される場所の制約にあわせながら、統一された思想の美術工芸運動スタイルの駅舎を設計した。駅舎は当時最新で、アメリカから導入されたばかりの鉄骨構造を用いることで改札口やエレベーター設置(エスカレーターが駅に採用されるのは1911年)に必要なスペースを確保した2建てとなった。駅舎外部には荷重を負担しないクラッディング英語版としてオックスブラッド英語版と呼ばれる赤褐色のリーズ耐火粘土英語版施釉テラコッタ英語版が採用された。地上階は広い2つの梁間に柱で分けられ、入口と出口を分離するとともに商業店舗スペースも設けられた。2階部分には半円形の窓が、歯飾英語版を備えるコーニスが上部に設けられた。一部駅では円窓が窓間にある場合もある。1階と2階の間の広い帯状の部分に大文字で駅名が表記された。駅舎上面は鉄骨構造のもう一つの利点として、後で事務所などを増築できるよう平面とされた[2]

駅舎内部は白と緑を基調とするタイルで装われた。プラットホーム階も標準化されたタイルを用いた内装が採用され、判別容易化を狙った駅ごとに異なるホーム全長にわたる幾何学模様のタイルで装飾された。列車進行方向もタイルで表現されている。タイルの多用は統一感の醸成とともに維持の容易化を狙ったものだった[2]

3つの鉄道は1906年1907年に順次開業し、グリーンとロンドン地下電気鉄道の契約も1907年に終了した。グリーンは1907年にロンドン地下鉄の駅の設計などを含む成果により王立英国建築家協会のフェローに選出されている[1]

グリーンの設計した駅の多くは2020年現在も残っているが、改札口などは後年の利用状況の変化に応じて改装されている。ホームのタイルによる内装も多くの駅に残されているが、ランベス・ノースマリルボンの様にいったん失われた後再現された例もある。現存する駅建造物のうち、アルドウィッチ英語版ベルサイズ・パークカレドニアン・ロードチョーク・ファームコヴェント・ガーデングロスター・ロードハロウェイ・ロードオックスフォード・サーカスモーニントン・クレセントラッセル・スクエアサウス・ケンジントンは第二級のイギリス指定建造物に指定されている[3]。ロンドン地下鉄の駅の設計はグリーンの助手だったスタンレー・ヒープス英語版に引き継がれた。グリーン設計の駅舎は一目でロンドン地下鉄の駅とわかるため、BBC昼ドライーストエンダーズ」の舞台のひとつである架空の駅ウォルフォード・イースト駅英語版などにイメージが利用されている[1]

グリーンが設計した駅

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各路線のロンドン中心部の全駅のリストはベーカールー線ピカデリー線ノーザン線を参照のこと。

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グリーンは肺結核[4] に罹患し、1908年8月31日ノーフォークムンデスリー英語版=オン=シーにあったサナトリウムで死去した[1][5]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h Paterson, Mike (2013年). “Green, Leslie William (1875-1908)”. 英国人名事典. オックスフォード大学出版局. doi:10.1093/ref:odnb/64597. 1 July 2013閲覧。(Paid subscription required要購読契約)
  2. ^ a b c d e Green, Leslie”. Exploring 20th Century London. Renaissance/博物館図書館記録保管所協議会英語版. 6 February 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。1 March 2010閲覧。
  3. ^ Historic England. "Aldwych Underground Station (Grade II) (1401034)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Belsize Park Underground Station (Grade II) (1401089)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Caledonian Road Underground Station (Grade II) (1401086)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Chalk Farm Underground Station (Grade II) (1401028)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Covent Garden Underground Station (Grade II) (1401025)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Gloucester Road Underground station (Grade II) (1080658)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Holloway Road Underground station (Grade II) (1195635)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Oxford Circus Underground Station (Grade II) (1401022)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Mornington Crescent Underground station (Grade II) (1378713)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "Russell Square Underground Station (Grade II) (1401730)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
    Historic England. "South Kensington Underground station (Grade II) (1392067)". National Heritage List for England (英語). 2014年8月31日閲覧
  4. ^ Wright, Daniel (2013年10月9日). “The Green Agenda (Leslie Green Underground stations, London, UK)”. The Beauty of Transport. 2020年6月6日閲覧。
  5. ^ England & Wales, National Probate Calendar (Index of Wills and Administrations), 1858-1995”. Ancestry.com. 2020年6月6日閲覧。(Paid subscription required要購読契約)

関連資料

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外部リンク

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ウィキメディア・コモンズには、レスリー・グリーンに関するカテゴリがあります。
Walford East Station”. Underground History (27 April 2005). 31 August 2014閲覧。
ロンドン交通博物館写真アーカイブ