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ミクロラプトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミクロラプトル
ミクロラプトル
Microraptor gui 化石
地質時代
前期白亜紀、120 Ma
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
階級なし : 真竜盤類 Eusaurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : コエルロサウルス類 Coelurosauria
階級なし : デイノニコサウルス類 Deinonychosauria
: ドロマエオサウルス科 Dromaeosauridae
亜科 : ミクロラプトル亜科 Microraptorinae
: ミクロラプトル属 Microraptor
学名
Microraptor
Xu et al.2000
模式種
Microraptor zhaoianus
Xu et al.2000
シノニム
Cryptovolans
Czerkas et al.2002

ミクロラプトル学名Microraptor、「小さな泥棒」の意)は、中生代前期白亜紀アジアに生息した、ドロマエオサウルス科に属する獣脚類恐竜[1]。主に樹上棲の動物であり、四肢の鋭利な鉤爪は枝や幹に留まる際に役立ったと推察されている[1]

化石中華人民共和国遼寧省で産出しており、ミクロラプトル・ザオイアヌスやミクロラプトル・グイといった種が知られる[1]。小型羽毛恐竜であり、四肢に風切羽状の羽毛が生えていた[1]。ミクロラプトル・ザオイアヌスの羽毛は黒く、また玉虫色の光沢を示した[2]。なお、ミクロラプトル・グイをミクロラプトル・ザオイアヌスと同種とする見解もある[3]

ミクロラプトル・ザオイアヌス

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ミクロラプトルの最初の標本は、1999年に、鳥類に非常に近い、羽毛を持った新恐竜アルカエオラプトル・リアオニンゲンシス "Archaeoraptor liaoningensis" としてナショナルジオグラフィック誌上で記載された。復元標本が表紙を飾ったこともあり、短期間でこの恐竜は有名になった。しかしその後、アルカエオラプトルの原記載標本は2種類の動物化石を組み合わせた「合成化石」であることが明らかになり、2000年に、元アルカエオラプトルの標本の下半身が、あらためてドロマエオサウルス科の新新種ミクロラプトル・ザオイアヌス Microraptor zhaoianus として記載しなおされた。

ミクロラプトル・ザオイアヌスは鳥類を除く恐竜として非常に小型である[1]グレゴリー・ポールはその全長を0.7メートルとし[3]、日本で開催された企画展『恐竜博2006』公式図録は成熟個体の全長を約40センチメートルとした[1]。ただし、同展では63センチメートルに達する大型の標本も展示されている[1]

同じくミクロラプトル亜科に属するカンギュラプトルと比較して頭蓋骨は小さく、三角形をなす[3]。歯は厚く、また鋸歯があまり見られない[3]。頸部はやや短縮しており、胸骨は癒合して1枚の板状構造をなす[3]。後肢の鉤爪は強く湾曲しており、強い樹上生の生態が示唆される[3]。また歯の形態からは小型の獲物を捕食していたことが示唆される[3]。化石は中国北東部の九佛堂層から産出しており、生息環境はの存在する湿潤な森林と推測される[3]。冬季は冷涼であり降雪に見舞われたとされる[3]

種小名のzhaoianusは中国の古生物学者趙喜進に由来し、本種の学名全体の意味は「趙氏の小さな泥棒」となる[2]

ミクロラプトル・グイ

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2003年に記載されたミクロラプトル・グイ Microraptor gui中国語: 顧氏小盜龍Gùshì xiǎodàolóng (クーシー・シァオタオロン)、こししょうとうりゅう)の化石には、発達した羽毛が保存されていた。ミクロラプトル・グイと現在の鳥類とのもっとも異なる点は、前肢のみならず後肢にも発達した飛行用の羽毛を持つことである。どのようにしてこの後肢羽毛が発達したのかは定かではないが、羽毛の形態が現生鳥類の風切羽同様の左右非対称になっていることから、この動物が実際に飛行できた可能性が高いと考えられている[4]。翼の広げ方については前肢の翼を水平に広げて後肢の羽を斜めに広げる説と、前肢の翼と平行に後肢を広げる説がある[5]

なお、本種をミクロラプトル・ザオイアヌスのジュニアシノニムとする見解もある[3]

羽毛

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ミクロラプトルは全身におよぶ保存の良好な羽毛が知られている[3]電子顕微鏡を用いてメラノソームを現生の鳥類と比較した結果、ミクロラプトルのメラノソームは非常に細長い形状をなしてシート状に配列していることが判明した。こうした特徴は現生鳥類において玉虫色光沢を持つ羽と同様であり、ミクロラプトルにも同様の光沢があったことが示唆される[6]

ギャラリー

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大衆文化

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映像作品

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g 『世界の巨大恐竜博2006 生命と環境─進化のふしぎ』長谷川善和ケネス・カーペンター董枝明徐星 監修、日本経済新聞社NHKNHKプロモーション日経ナショナルジオグラフィック社、2006年、107頁。 
  2. ^ a b 松田眞由美『語源が分かる恐竜学名辞典』小林快次藤原慎一 監修、北隆館、2017年1月20日、360頁。ISBN 978-4-8326-0734-7 
  3. ^ a b c d e f g h i j k グレゴリー・ポール 著、東洋一今井拓哉河部壮一郎柴田正輝関谷透服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』東洋一今井拓哉 監訳、共立出版、2020年8月31日、159頁。ISBN 978-4-320-04738-9 
  4. ^ 日経サイエンス編集部 編『地球を支配した恐竜と巨大生物たち』日経サイエンス社〈別冊日経サイエンス〉、2004年、61頁。ISBN 4-7973-3547-5 
  5. ^ 『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』新潮社、2018年。 [要ページ番号]
  6. ^ 玉虫色の輝き、ミクロラプトルの羽毛”. 日経ナショナルジオグラフィック社 (2012年3月9日). 2023年11月30日閲覧。

関連項目

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